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これまでのgoen゜とわたし

goen゜アドベントカレンダー参加投稿1本目として、何がいいかな。
クリスマスに関連したことがいいのか、それとも小話的なものがいいのか、いまいちこれ!というタイムリーなものがないので、いい機会でもあるので、これまでのことを一気に振り返ってみようと思う。

出会い

goen゜とのこれまでを振り返るとなると、当然、森本千絵(en゜側として今回だけ”さん”付略で呼ばせてもらう)とのお付き合いからになり、2005年のkurkku(クルック)立ち上げ以来なので、かれこれ15年ほどになる。

まずは、森本千絵との出会いから。

ちょうど2005年〜2006年にかけてkurkkuという小林武史さんが中心となっている新しいプロジェクトにサイト制作として入ったのがきっかけ。このkurkkuの立ち上げから今もなお、ずっといる大学時代の友人の江良くん(現在は、kurkkuの代表)が繋いでくれた縁。「ちょっとすごいのがいるよ。ミスチルのアートワーク絡みでADとして今回ジョインしているのだけど、なかなかすごいよ。」と江良くんが言うので、ちょっと事前にネットで調べていたら若手女性アートディレクター、新進気鋭の〇〇、〇〇を作ったあの人、など様々な称賛とともに紹介されていた数々のビジュアルワーク。あー、あれもか、え?これも?といった感じで、すごく柔らかであったかいものもあれば、ダークファンタジーというか、いい意味で深淵な重さを感じさせるものがあったりと。

出会った印象は、ちょっと人を寄せ付けないオーラを醸し出しつつ、突然距離が近くなったり離れていったり。掴みどころを探るのに少し時間掛かる人。自分への厳しさというか、完璧主義というか、用意周到なところは、今も昔も変わらないけど、一言で言えば、尖っていた。それもひっくるめてカッコ良かったけど。

たぶん、10数年以前にあった人と最近出会ったばかりの人だと、受ける印象は結構違うと思う。本人も語っていたように「飛ぶ鳥を撃ち落とす」勢いだった。

kurkkuのサイトを作る時に非常に大変だったのが、アナログ的な表現手法をデジタルに置き換える作業。素材として提供されるこまどりアニメや写真を一枚ずつ切り出しFlash(当時のWEB技術として最盛期を迎えるころ)の中で再構築するのは、とても面白かったが大変だった。数値指定ではなく、フリーハンド的な感覚的な作業が多かったので、彼女のもつ感覚や手法に正直追いつけていない気がした。それでもなんとかひとつひとつ丁寧に組み上げると面白いものができあがるのは不思議だ。この感覚は、goen゜の最初のサイトを作った時もあったし、最近公開した「にゅ〜盆踊りNEO」もそれに近い感覚は久々にあった。

そんなこんなでkurkkuからスタートして少しずつ、一緒に仕事をしていくことも多くなってきた。ぼく個人としては、ほぼ同時期に独立して会社を立ち上げて、この13年ほどen゜側として一緒に走り、歩んできて、乗り越えて、共に成長できたことはひとつの財産でもあり、ちょっとキザなことをいうと、戦友のひとりかな。AB型同士というのも何かあると思う。どこかで輪の中からふと離れてみたり、感情をコントロールしきれないように見えたり、そういうところが不思議に思われたり。なので、AB型は、AB型を意外と呼ぶ。周りにふといたりする。なので、森本さんの空気感がen゜側にいると不思議と心地よく感じる。

PEN集合写真

雑誌PEN「一冊まるごと 森本千絵」掲載の集合写真(2011)

HOME

ぼくのなかでは、「HOME」というミスチルのアルバムのアートワーク、映像抜きでは、森本千絵との関係を語れないほど、衝撃をうけた。作り手の想いが、こんなにも暖かく感じることができるなんて思いもよらなかった。単純にかっこいいなー、素敵だな、ヤバいなーと思って、その当時、ジャケ買いするCDやDVDは数あれど、見た瞬間に、自分の中にこんなにも溢れ出るもの、こみ上げてくるものがあるのは、この人生、そう滅多にあるものではない。

ミスチルの「HOME」発売は、2007年の3月。ちょうど自分の誕生日が近かった。
その頃は、わたしは、ゲーム業界からWEB中心とした業界に移って1年ほど経った頃で、フリーランスとして、三宿のたまり場(EVOLUTIONというスタジオ)に顔を出して、仕事をさせてもらったり、いろんな人に会っていた。その頃は、よく毎日のように深夜遊んでいたので、仕事終わりの森本さんや坂本美雨ちゃんともちょこちょこ夜遊びしてた。お茶したり、酒飲んだり、アジブリというリフレ屋にいったり、ファミレス行ったり。でもって、三宿のスタジオにもふらっと遊びにくることも多かった。美雨ちゃんの『Harmonious』も確かこのあたりかな。

で、当時、森本さんが愛してやまない祖母がいらしゃって、色々と心配などが重なり、気が滅入っていたときでもあったけど、H社で相変わらず忙しくしていて、結構、色々と感情や言動の起伏が激しい時期だったかと記憶している。ま、ぼくの場合は、夜中とかに電話あって、「ちょっとさっき出来上がったばかりの映像試写するのにやのっちのスタジオ行ってもいいかな?」とか、「やばい!わたしの車(当時の愛車のGOLF)がもののけ姫になってる!」というわけわからん感じで連絡があったりと。で、ある時も、何気なく、完成したばかり、出来たてホヤホヤの映像を三宿のスタジオにあった巨大なプロジェクターで投影して見せてもらったことが、今になっても、その時に感じた不思議な感覚は、10年以上経った今もほんとうに鮮明に覚えている。

あー、すごいな。なんだろ。暖かくて柔らかくて温度を持って繋がっている。FAMILYでもなくHOME。言葉もしっくりくる。映像からもジャケからも。PV見て泣いたのは、後にも先にもこれだけ。不思議でした。

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自分を確かめる、自覚するのに、一番手っ取り早い方法は、家族であり、家族のルーツ、ストーリーを紡ぎ出し、今いる自分がどういう在り方をしているのかを確認することだと思う。自分の生きている証。でも、当たり前すぎて、素通りしちゃうというか、ちゃんと向き合おうとすると、結構面倒なんだよね。父・母、祖父、祖母、曽祖父、曾祖母あたりまでは、自分の記憶と今の自分で繋がりも感じることができるのだけど、一緒にいる時は、その存在が溶けているというか、居て当たり前でその存在の大切さや尊さを忘れている。ぼくも可愛がってくれていた曾祖母に東京に出てきてからは、ちゃんと向き合えてなかった。特に痴呆が進行してから。何度か会いに行ったけど、なんか受け止めきれなくて。ある日、そのまま亡くなってしまって、もっとちゃんとお話聞いておけばよかった、もっと会いにもっと顔見せにいけばよかった。色々お話ししたかった。あんなにも喜ぶのに。。。今も後悔の念しかない。

でも結婚して、自分が子供を持つようになって、あー、この関係図、家系図の中で一番下ではなく、枝分かれして自分の下に息子がいること、自分のパートナー(妻)にも家族がいて、その家族とつながっていること。このことは、当然なことでもなく、何か使命とか何かの意味とかを与えられたひとつの形なのかと。ぶら下がっているだけじゃなくて、支えていく。つながっているだけじゃなくて、つなげていくこと。生まれてきた意味というか。

この「HOME」のアートワークと映像を見て、今もなお、当時とは違った感覚ではあるが、こみ上げて、想い溢れ出るものがある。ぜひ、見て欲しい。「彩り」という曲にあわせて、胸がじわっと熱くなる。


ごen゜ごと

kurkkuの時は、僕も会社(EVOWORX)を立ち上げておらず、森本千絵もgoen゜独立・創業前だったので、お互いフリーランスとH社社員(それなりに自由に動きまくっていたけど)だった。それが、2007年にお互い独立して、goen゜ができた数ヶ月後に独立したぼくは、会社のロゴをお願いした。

会社名の由来エピソードなどは皆無だったので、文字面から感じる印象、事業内容などを伝えて後はお任せで。出来上がってきたロゴが、こちら↓

ロゴ_モノクロ_final

名刺は、こちら↓

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↑敢えて、読みにくい、見えにくいデザインに。視認性が悪い加工もされているのだけど、光のかざし方を変えたり、注意深く見ることによっって、ちゃんと見える。そこに意味をもたせてくれました。初見で会う人に名刺を渡す時に、このエピーソードを入れると「なるほどーっ。へー。」ってすごく納得してくれます。

あと、mono goen゜にもシェルフとテーブルなどをオーダーさせてもらいました。下の写真の中央が一昔前のMACの画面をモチーフにしたシェルフ。右端のプランターが「en゜木」です。

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その後も色々と仕事でご一緒させていただくことも多く、ありがたいことに色々なヒト・モノ・コトを繋げてくれる。とにかくこの森本千絵という人物は、つなぐことにかけては超一流。この時、この場所で、この人とベストな引き合わせ方をする。これは一種の才能。森本さん自身が意識してやっているとは思えないほど自然とあらゆる角度から丁寧につなぐので、そのつなぎこみにはホント感服する。それ以上に巻き込み方は半端ないけど。

会社同士としてご一緒したのが、ワコールのLALANというブランドプロモーションになる。当時、すでにLALANのCMなどを手掛けていた中でウェブの方にもお声をかけていただき、ご一緒することになった。弊社に関しては、このブランドサイトを制作させてもらったことがきっかけで今もなおガッツリとワコールさんとはご一緒させていただいており、ウェブストア全体、各ブランドのサイトの制作・運用など含めしっかりと繋がり続けている。このご縁にも心からにgoen゜に感謝している。会社にとってもわたしにとっても大切な出会いだった。

その後もCANONやAUやらNOAMAPやら三井不動産やらで色々とご一緒する機会がたくさんあった。最近の中で印象深いのは、滅多に弊社からgoen゜に協力をお願いすることはないのだが、珍しくこちらからお願いした「エスクリ」というウェディング会社のお仕事。

弊社は、元々この会社と取引があり、ちょこちょことサイト制作のお仕事をしていた。ある時、エスクリさんからリクルートのサイト、できれば映像(プロモーションビデオ)もパンフも一緒にというお話をいただいた。弊社は、まず、映像に関しては、外注することを決めていて、普通ならフリーランスとかの映像クリエイターなどをアテンドする。ただ、今回、社長直案件だったこと、新しいブランディングをしていくことも念頭にいれたサイト企画だったので、少し大きな視点で映像やパンフなどを森本さん、goen゜にお願いしてみようという(規模感からすると通常依頼しない、できないの案件)ことで、相談してみた。

すると、、、まったく予想外の言葉がかえってきた。

オリエンシートを見て、このタイミングでエスクリのリブランディングから提案する余地があるのなら一緒にやる、やりたいとのこと。たぶんオーダーシートにはそんなことひとつも書いていないのだが、たぶん、見ている視点、視座、視野が違うのだろうね。なんか、このタイミングでもっと大きな変化、刷新をすべきなんだと。そういう提案をすべきなんだと。

とにかく、社長に会わせて話がしたいとのことで、セッティング。プレゼン。
もうこうなれば、、、まぁ、普通の社長も、そんじょそこらの保守的な社長もいつの間にかに乗り気になってしまう。いかにトップダウンの強い会社と言えども、CIやVIを変更することは、とくに上場している会社ならなおさらとても強い意志と実行力、調整力、そして勇気を求められる。そこもひっくるめて引き取ってしまう。
森本千絵の、goen゜の世界に引き込まれてしまう。
会ってしまったら最後。その波に乗って、いってこーい!と。

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あの森本千絵自らの怒涛のプレゼン。自身の結婚式の体験(これもいつか語ってみたいが...)、これまでの体験や知識をフル活用して、いつも仕事でもプライベートでもやりきっていることが全て糧というか武器にして。とにかく量に圧倒される。そこに想いもたっぷりとのせてくるから。彼女自身に圧倒されるというよりも、彼女が作るもの、作ってきたものに圧倒される。裏打ちしてくる。逃げ場ないように。さらけ出していくるので。結局、全部のCI/VIを変えて、それにそって、サイトも再設計、再構築。当初の規模の数倍の大きさでプロジェクトはスタートしていく。だから大変だけど、めちゃめちゃ面白い。

一度、一緒に仕事でもワークショップでも遊びでも、なんでもやってみるといいと思う。自分にクリエイションの力がなくとも、想いがあって、それを伝えることさえできれば、goen゜は、森本千絵は、あらゆる手を使って、期待を超えてあなたに届けてくれます。ただし、その前に自分がなんたるかをさらけ出す覚悟は必要です。すごく観察して洞察してくるので(笑)
森本千絵≒goen゜の取扱説明書があるとしたら、そんな感じかな。

強さと弱さ

彼女もいつの間にかにパートナーと巡りあい、家族を持った。愛する娘を。夫を。
とくにそれからの彼女は、さらに強い。ゴッドマザーっぽい。千年樹。
一方で、これまで同様に人一倍繊細で、敏感で、慎重なところは変わりない。
強さと弱さ、豪快と繊細、陰と陽まさに相反するものが同居している。AとBも。

昔のgoen゜は、彼女の心の機微の揺れ方によってあっちらこっちら行っていた。それが面白さでもあったが、en゜の中にいる人たち(スタッフ)にとっては、その動き、変化についていくのが精一杯そうで、日々奮闘していた気がする。回転が早すぎる森本千絵というエンジンにギアの材質が柔らかすぎるのか、硬すぎるのか、なんだかすり減っている感じ。エンジンも疲労している。森本さん自身も気がついていたと思うけど、止まることができなかった、緩めることができなかった時代。だからこそ今のgoen゜があるんだけど。en゜側から見ても、ちょっと大変な時期だった気もする。心配するほどに。

ちょうどそんな時に震災(2011年3月11日)が起きた。彼女もgoen゜もすぐさま動いた。節電ポスターやサントリーシルキーブラックのCM、IDEA FOR LIFEというプロジェクトなど当日からフル回転で。たぶん、信じていたものや価値観が一瞬にして一変したけど、想いを届けつづける勇気というか、信念というか、愛というか、身近にかかえていた問題とか課題とか不安をぜんぶひっくるめて、引き連れて、巻き込みながら繋げながら、前に前に進んでいく強さがそこにはあった気がする。goen゜の根幹ってそんなとこ。

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その翌年だっかな、2012年だったと思うけど、これまでの森本千絵、goen゜を一気に吐き出したのが、「en゜木の実」だったと思う。これで洗い流した。

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この展示を見て、goen゜は、森本千絵という主宰によって成り立っているクリエイティブ集団ではあるのだが、強さと弱さなど相反するものを兼ね備えてともに活動する思想や思念体のようなものに近いなとも思った。カタチがあるようでないような。

そんなgoen゜は、ここ数年、穏やかでたおやかで、なんだか波待ちしている状態な気もする。ちょっとそろそろ波を起こしそう。な気がしないでもない(苦笑)


最近のgoen゜とわたし

いまのところ、en゜側として、個人としても会社としても縁側に座っている感じ。これからもずっと座り続けるのか、中に入っていくのか、それともgoen゜とどこかに飛び出し浮遊していくかもしれない。2020年、ほんとならオリンピックが開催されて、東京に日本にいろんなヒトとコトとモノが溢れ出していた世界があったはず。でもコロナというある種の侵略者によって、あらゆるものが停滞したり離れたりする世界がやってきた。前触れもなく。

だからこそ、goen゜は、繋いで紡いでいくでしょう。
目に見えるカタチだけではなく、不可視な世界でも、感情や思想の中でも。
どことどこを、だれとだれを、どのように。

これからも楽しみにでしかない。

森本千絵という一個体としても、goen゜という塊としても。

この15年に改めて感謝するとともに、これからもen゜側に腰掛けながらゆるりとさせてもらいます。時には、台所に立ったり、居間で寝たりするかもだけど。

SUPER goen゜としても何か一緒にできればと。

よろしくね。

これからのことは、「これからのgoen゜とわたし」につづく。

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EVOWORX & SUPER goen゜ 矢野 賢史


P.S 今年の二子玉川のクリスマスツリーは、12月25日まで!23時半がベストだそうです。ぜひ、防寒して訪れてみてください。絶対その価値ありです。クリスマスまであと2週間!メリークリスマス!

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