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※無償公開【漫画市場 ㊦】(2018.09.11発表)

※こちらは2018年9月11日発表の漫画市場に関する調査データです。最新の情報ではない可能性がありますのでご了承ください。

目次


#【漫画市場㊤】
・市場定義/市場構造
・青年向けコミック誌(週刊誌)の比較 by「X ビジネスエンジン」
・市場規模

#【漫画市場㊦】
・主要事業者の動向
・主要事業者詳細個票①(カドカワ)
・主要事業者詳細個票②(講談社)
・主要事業者詳細個票③(集英社)
・主要事業者詳細個票④(小学館)
・関連事業者簡易個票①(イーブックイニシアティブジャパン)
・関連事業者簡易個票②(パピレス)
・関連事業者簡易個票③(まんだらけ)


≪主要事業者の動向≫

集英社:


 1926 年、㈱小学館の娯楽誌出版部門として分離、設立された。現在も小学館が筆頭株主(50%弱)となっている。「小学館を中核とする企業グループは、本社所在地に由来し「一ツ橋グループ」と呼ばれる。小学館でも同じ娯楽誌出版部門の事業を現在では行っているため、競合関係にあるとも言える。
 コミック誌は、1968 年7 月に創刊し少年誌で発行部数トップを誇る「週刊少年ジャンプ」をはじめ、2018 年8 月時点で15 誌展開している。
電子書籍は、スマートフォンアプリの「少年ジャンプ+」を展開しており、900 万ダウンロードを達成している。電子書籍の販売比率は上昇しているが、コミックにおける紙と電子の構成比は7:3 程度で紙が上回っていると思われる。
2018 年5 月期の売上高は、1,164 億97 百万円(前期比0.9%減)、当期純利益は、25 億26 百万円(同52.9%減)であった。

講談社:


 「出版という事業を通して、人々の暮らしの役に立ち、心の豊かさに資すること。そして、社会の繁栄と人類の平和に貢献したい」という創業以来の変わらぬ願いがあり、この創業時の原点である「本を創る喜び」からスタートし、これまで様々な書籍や雑誌を刊行してきた。近年は、さらにコンテンツを展開する幅が広がっている。例えば、世界に向けての海外事業や、電子書籍はじめデジタル事業の充実、ドラマや映画などの映像化・アニメ化といったライツビジネスの比重もますます高まってきている。
 コミック誌は、1959 年3 月に「週刊少年マガジン」を創刊して以降、2018 年8 月時点で23 誌展開している。
 コミック分野では、電子コミックが先行した後に紙の単行本が売れるという動きが顕著となっている。一時の爆発的ブームは去ったものの、「進撃の巨人」のヒットが続いている。進撃の巨人22 巻の初版部数は187 万部、累計発行部数は7,100 万部となっている。
 コミック誌は「進撃の巨人」効果が一巡し、別冊少年マガジンは4 万部から最大18 万部まで拡大したものの、6 万部水準に落ち着いている。
 電子書籍は、大手の中で同社が最も早く動き出している。2 万冊以上のコミックを無料で試し読みできるポータルサイト「講談社コミックプラス」を配信しており、コミックの発売情報やサイン会、試写会のお知らせなど、コミックに関する最新情報をいちはやく発信している。2017 年度は249 億円と右肩上がりに拡大しており、出版社として実績トップに位置している。ただし2018 年に入ってからは、海賊サイトの影響により売上の伸びが停滞している。
 同社の独自サイトによるアプリサービスは、少年マガジン公式無料アプリ「マガジンポケット」が最も規模が大きいが、2018 年3 月に月額720 円で定期購読できる自社アプリサービス「コミックDAYS」を配信開始した。対象雑誌は「ヤングマガジン」「モーニング」「アフタヌーン」「イブニング」「Kiss」「BE・LOVE」の6 誌で、入会1 ヵ月間は無料、その後は単行本が購入できるポイントが毎月200 ポイント付与される仕組みになっている。また、同月にウチヤマユージ「葬送行進曲」など、計28 作のオリジナル作品を「コミックDAYS」から配信した。

小学館:


 1922 年に創業し、小学生を対象にした学習雑誌を起源としている。現在は児童分野において、積み上げた資産やコンテンツの発信力など圧倒的な存在感を持っている。総合大手各社も児童カテゴリーへの参入、シェア拡大を図っているが、今なお児童分野における同社の地位は揺るぎなく、コロコロコミックを軸にゲーム、アニメと連動しながら社会的現象を作り出す力を持っている。
 コミック誌は1959 年に創刊した少年向け漫画雑誌「週刊少年サンデー」以降、2018 年8月時点で19 誌展開している。
 電子書籍は、コミック、ライトノベル、ミステリーを中心に展開しているが、その内コミックが80%を占める。
 2017 年度はコミックス市場が低迷している中で、同社はプラス成長している。販売部数も48,688 冊で、前期からプラス1.2%となった。

KADOKAWA:


 カドカワグループは出版から総合メディア企業を目指す㈱KADOKAWA と、ネットとリアルの融合を目指すIT 企業㈱ドワンゴの創造性を結集し、あらゆるコンテンツの価値を高めるプラットフォーマーとして、世界に類のない企業体への飛躍を目指している。日々新たなサービスが生まれ、競争環境が変化するインターネットサービス市場においては、高度な技術力に裏付けされた独創的なコミュニケーションの場を提供し、多様なユーザーニーズに応えている。また、リアルなイベントとの連携がユニークなカルチャーを創出し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が広がっていく中、出版、映像、ゲーム等の制作で積み上げてきた企画力、編集力等を駆使して魅力あるコンテンツを創造し、あらゆるメディアにマルチ展開させて収益を最大化させるメディアミックス戦略を積極展開している。
 漫画関連では、総合メディア企業の同社において出版ブランド別にコミックを展開している。角川書店では、少年コミック誌「月刊少年エース」「月刊Asuka」、BL コミック誌「CIEL」、ゲーム情報・コミック誌「コンプティーク」、アニメ情報誌「月刊ニュータイプ」などのコミック誌及びコンテンツ誌を発行している。また、角川書店ではコミックやライトノベルの単行本も多数発行している。さらに、「涼宮ハルヒの憂鬱」「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」など、アニメやライトノベルとのタイアップ作品の連載など、積極的なメディアミックス戦略を展開している。
 アスキー・メディアワークスでは、コミック誌「月刊コミック電撃大王」、「電撃マオウ」のほか、ゲーム雑誌「電撃PlayStation」「電撃G's magazine」などを発行している。
 エンターブレインでは、老舗ゲーム雑誌「週刊ファミ通」「てれびげーむマガジン」「ぴこぷり」「月刊コミックビーム」などを発行している。
 メディアファクトリーでは、コミック誌「月刊コミックフラッパー」「月刊コミックアライブ」「月刊コミックジーン」などを発行している。
 コミックスは、「角川コミックス・エース」「あすかコミックス」「ニュータイプ100%コミックス」を展開している。
 電子書籍コンテンツにおいては、コミックが50%強、ライトノベルが30%弱、書籍が20%弱となっており、紙の出版物と大きな構成比の違いはない。
 コミックは全般的にヒット作品が少なかったものの、「文豪ストレイドッグス」が最も堅調な動きで、シリーズでは500 万部超、既刊も好調な売れ行きとなっているほか、テレビアニメ化や映画化も後押ししている。

≪主要事業者詳細個票①(カドカワ)≫

1.事業概要
●KADOKAWA とドワンゴのシナジーを活かした総合メディア企業を目指す
 カドカワグループは出版から総合メディア企業を目指す㈱KADOKAWA と、ネットとリアルの融合を目指すIT 企業㈱ドワンゴの創造性を結集し、あらゆるコンテンツの価値を高めるプラットフォーマーとして、世界に類のない企業体への飛躍を目指している。日々新たなサービスが生まれ、競争環境が変化するインターネットサービス市場において、高度な技術力に裏付けされた独創的なコミュニケーションの場を提供し、多様なユーザーニーズに応えている。また、リアルなイベントとの連携がユニークなカルチャーを創出し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が広がっていく中、出版、映像、ゲーム等の制作で積み上げてきた企画力、編集力等を駆使して魅力あるコンテンツを創造し、あらゆるメディアにマルチ展開させて収益を最大化させるメディアミックス戦略を積極展開している。
 漫画関連は、㈱KADOKAWA において出版ブランド別にコミックを展開している。角川書店では、少年コミック誌「月刊少年エース」「月刊Asuka」、BL コミック誌「CIEL」、ゲーム情報・コミック誌「コンプティーク」、アニメ情報誌「月刊ニュータイプ」などのコミック誌およびコンテンツ誌を発行しているほか、コミックやライトノベルの単行本も多数発行している。さらに、「涼宮ハルヒの憂鬱」「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」など、アニメやライトノベルとのタイアップ作品の連載においても積極的なメディアミックス戦略を展開している。
 アスキー・メディアワークスでは、コミック誌「月刊コミック電撃大王」「電撃マオウ」のほか、ゲーム雑誌「電撃PlayStation」「電撃G's magazine」などを発行している。
 エンターブレインでは、老舗ゲーム雑誌「週刊ファミ通」「てれびげーむマガジン」「ぴこぷり」「月刊コミックビーム」などを発行している。
 メディアファクトリーでは、コミック誌「月刊コミックフラッパー」「月刊コミックアライブ」「月刊コミックジーン」などを発行している。
 コミックスは、「角川コミックス・エース」「あすかコミックス」「ニュータイプ100%コミックス」を展開している。
 電子書籍コンテンツにおいては、コミックが50%強、ライトノベルが30%弱、書籍が20%弱となっており、紙の出版物と大きな構成比の違いはない。

2.業績概況
●2018 年3 月期の業績は増収減益、主要3 部門全てで減益に
 2018年3月期の連結業績は、売上高が2,067億85百万円(前期比0.5%増)、営業利益が31億44百万円(同62.6%減)、経常利益が37億16百万円(同49.8%減)、当期純利益が10億38百万円(同49.8%減)と増収減益であった。
 セグメント別売上高は、Webサービス事業が290億23百万円(同7.2%減)、出版事業が1,126億91百万円(同0.3%減)、映像・ゲーム事業が474億40百万円(同6.8%増)、その他が208億21百万円(同3.0%増)となっている。
 コミックは全般的にヒット作品が少なかったものの、「文豪ストレイドッグス」が最も堅調な動きで、シリーズでは500万部超、既刊も好調な売れ行きとなっているほか、テレビアニメ化や映画化も後押しした。

3.事業体制・事業戦略
●デジタル印刷機導入により返品率の改善に努める
 引き続き強力なIP の創出に努め、メディアミックス戦略の強化と返品率のさらなる改善を推進していく。返品率の改善については、2020 年4 月からフル稼働を予定している製造・物流一体の最新鋭工場の建設に先駆けてデジタル印刷機を先行導入し、小ロット製造のテスト運転が順調に進んでいる。デジタル印刷機導入による小ロット・適時製造と最新物流設備の導入による適時配送を実現することで、製造コストの削減やさらなる返品率の改善を行い、中長期的に収益力を向上させていく。加えて、同様の設備を備える海外拠点およびその協力会社との連携により、デジタルと紙の多言語サイマル出版やメディアミックスの多国同時展開を推進していく。

●外部電子書籍ストアと協調したキャンペーンを実施
 電子書籍のプロモーションにおいては、毎年10 月に開催している「ニコニコカドカワ祭り」で自社サイトに加え、外部電子書籍ストアと協調したキャンペーンを行うなど、売り伸ばしを図っている。また2018 年4 月には、ドワンゴの電子書籍事業である「トリスタ」をブックウォーカーの子会社としている。トリスタが運営する「ニコニコ漫画」は多くのアクティブユーザーを有しており、課金化を進めることで「BOOK☆WALKER」に並ぶ電子書店にしていく考えである。

≪主要事業者詳細個票②(講談社)≫

1.事業概要
●「週刊少年マガジン」をはじめとした人気コミック誌やコミックスを展開
 講談社は、『出版という事業を通して、人々の暮らしの役に立ち、心の豊かさに資すること。そして、社会の繁栄と人類の平和に貢献したい』という創業以来の変わらぬ願いがあり、この創業時の原点である「本を創る喜び」からスタートし、これまで様々な書籍や雑誌を刊行してきた。近年は、さらにコンテンツを展開する幅が広がっている。例えば、世界に向けての海外事業や、電子書籍をはじめとしたデジタル事業の充実、ドラマや映画などの映像化・アニメ化といったライツビジネスの比重もますます高まってきている。
 漫画関連では、1959 年3 月に「週刊少年マガジン」を創刊して以降、2018 年8 月時点で23 誌のコミック誌を展開している。少年誌は「週刊少年マガジン」「別冊少年マガジン」「月刊少年マガジン」「少年マガジンR」「月刊少年シリウス」「ネメシス」「少年マガジンエッジ」、青年誌は「ヤングマガジン」「月刊ヤングマガジン」「ヤングマガジン3」「モーニング」「月刊モーニングtwo」「アフタヌーン」「good!アフタヌーン」「イブニング」、少女誌は「なかよし」「別冊フレンド」「デザート」「ARIA」、女性誌は「BE・LOVE」「ITAN」「kiss」「ハツキス」を発売している。「マガジンSPECIAL」は2017 年1 月で休刊となった。
 コミックスは、少年誌に対応した「講談社コミックスマガジン」「講談社コミックス月刊マガジン」「シリウスKC」、青年誌に対応した「ヤンマガKC」「ヤンマガKC スペシャル」「モーニングKC」「イブニングKC」「アフタヌーンKC」「コミックDAYS KC」、少女誌に対応した「講談社コミックスなかよし」「講談社コミックス別冊フレンド」、女性誌に対応した「KC デザート」「講談社コミックスkiss」「BE LOVE KC」「KCx」のほか、コミッ
ク誌に対応していない「KC デラックス」「KC スペシャル」「KC ピース」「REKC」「プレミアムKC」「アニメKC」「講談社プラチナコミックス」「講談社漫画文庫」「講談社の動く学習漫画MOVE COMICS」「星海社COMICS」を展開している。
 電子書籍は、大手の中で同社が最も早く動き出している。2 万冊以上のコミックを無料で試し読みできるポータルサイト「講談社コミックプラス」を配信しており、コミックの発売情報やサイン会、試写会のお知らせなど、コミックに関する最新情報をいちはやく発信している。
 電子書籍の売上高は、2011 年度14 億円から2012 年度27 億円、2013 年度50 億円、2014年度84 億円、2015 年度121 億円、2016 年度171 億円、2017 年度249 億円と右肩上がりに拡大しており、出版社として実績トップに位置している。ただし2018年に入ってからは、海賊サイトの影響により売上の伸びが停滞している。

2.業績概況
●2017 年11 月期業績は2 年連続の増収
 2017 年11 月期の売上高は、1,179 億57 百万円(前期比0.4%増)で2 年連続の増収、当期利益は17 億48 百万円(同35.6%減)であった。
 売上高のうち、出版事業売上高が1,148 億円(同0.6%増)、このうち製品売上高(「雑誌(コミック含む)」+「書籍」)が735 億円(同8.2%減)、事業収入が357 億(同26.0%)である。
 事業収入ではデジタル売上と版権ビジネスが引き続き成長しており、売上高全体の30%を超えて第2 の柱になりつつある。事業収入の内訳としては、「デジタル関連収入」が249億円、「国内版権収入」が63 億円、「海外版権収入」が43 億円であった。
 利益においては、原価面で直接製造費を削減したものの、発行部数の減少による売上率の低下により、製品原価率は前期を上回った。費用面では、パートワークの創刊宣伝費、デジタル関連の販売費増、社屋の修繕費、年金費用の増加などにより費用が上昇している。
特に社屋のメンテナンス費用の増加が減益の大きな要素を占めており、本業ベースでは増収増益となった。
 コミック分野では、電子コミックが先行した後に紙の単行本が売れるという動きが顕著となっている。一時の爆発的ブームは去ったものの、「進撃の巨人」のヒットが続いている。進撃の巨人22 巻の初版部数は187 万部、累計発行部数は7,100 万部となっている。
 コミック誌は「進撃の巨人」効果が一巡し、別冊少年マガジンは4 万部から最大18 万部まで拡大したものの、6 万部水準に落ち着いている。

3.事業体制・事業戦略
●ターゲット別に事業局を編成
 同社は出版市場低迷の中で2015 年に大幅な組織改革を実施している。これまで30 余りの局および室を12 局2 室体制にした。組織の数を減らし、担当職員や局長の権限を拡大し、スピーディーかつ大胆な取り組みを促している。
 コミックにおいては、若年層向けの児童コミックを担当する第三事業局と、比較的高い層向けに青年コミックを担当する第四事業局があり、ターゲット別に編成されている。媒体に寄らない編成により局内の情報共有は進んでいるものの、全編集部員に浸透するまでに至っておらず、さらに改革を継続していく考えである。

●自社アプリ「コミックDAYS」の配信サービスを開始
 同社の独自サイトによるアプリサービスは、少年マガジン公式無料アプリ「マガジンポケット」が最も規模が大きいが、2018 年3 月に月額720 円で定期購読できる自社アプリサービス「コミックDAYS」を配信開始した。対象雑誌は「ヤングマガジン」「モーニング」「アフタヌーン」「イブニング」「Kiss」「BE・LOVE」の6 誌で、入会1 ヵ月間は無料、その後は単行本が購入できるポイントが毎月200 ポイント付与される仕組みになっている。
また、同月にウチヤマユージ「葬送行進曲」など、計28 作のオリジナル作品を「コミックDAYS」から配信した。
 開発に際しては、(株)はてなと(株)グッドパッチとで企画も含め共同で行った。講談社の青年向けコミック雑誌、女性向けコミック雑誌6 編集部の持つ豊富な人気コンテンツと、はてなとグッドパッチ両社の持つスマートデバイス向けサービスの開発・運営ノウハウが組み合わさることで、スマホ初心者からコアな漫画ファンまで誰もが簡単に楽しめるマンガアプリとなっている。

≪主要事業者詳細個票③(集英社)≫

1.事業概要
●「週刊少年ジャンプ」をはじめとした人気コミック誌やコミックスを展開
 集英社は1926 年、㈱小学館の娯楽誌出版部門として分離、設立された。現在も小学館が筆頭株主(50%弱)となっている。小学館を中核とする企業グループは、本社所在地に由来し「一ツ橋グループ」と呼ばれる。現在では小学館でも同じ娯楽誌出版部門の事業を行っているため、競合関係にあるとも言える。
 漫画関連では、1968 年7 月に創刊し少年誌で発行部数トップを誇る「週刊少年ジャンプ」をはじめ、2018 年8 月時点で15 誌のコミック誌を展開している。少年誌は「週刊少年ジャンプ」「V ジャンプ」「ジャンプスクエア」「最強ジャンプ」、青年誌は「週刊ヤングジャンプ」「ウルトラジャンプ」「グランドジャンプ」、少女・女性誌は「りぼん」「マーガレット」
「別冊マーガレット」「YOU」「ザ・マーガレット」「office YOU」「Cookie」「Cocohana」を発売している。
 コミックスは、少年誌に対応した「ジャンプ・コミックス」、青年誌に対応した「ヤングジャンプ・コミックス」「プレイボーイコミックス」、少女誌・女性誌に対応した「りぼんマスコットコミックス」「マーガレットコミックス」「クイーンズコミックス」「オフィスコミックス」を展開している。
 電子書籍は、スマートフォンアプリの「少年ジャンプ+」を展開しており、900 万ダウンロードを達成している。電子書籍の販売比率は上昇しているが、コミックにおける紙と電子の構成比は7:3 程度で紙が上回っていると思われる。

2.業績概況
●2018 年5 月期の業績は減収減益に
 2018 年5 月期の売上高は、1,164 億97 百万円(前期比0.9%減)、当期純利益は、25 億26 百万円(同52.9%減)であった。

3.事業体制・事業戦略
●「ジャパン マンガ アライアンス」を設立してバンコクに進出
 海賊版の流通が横行している海外で著作権・権利関係が尊重・保護され、ファンが正規品に接することが可能な場所を提供し、海外ファンのさらなる獲得を目指すことを目的に、同社をはじめとして小学館、カドカワ、講談社、アニメイトの5 社で株式会社ジャパン マンガ アライアンス(JMA)を設立した。JMA では、まずは日本のマンガ・アニメの宣伝、ファン獲得、海賊版対策、海外市場のリサーチ、インバウンド(日本への海外旅行誘致)の4 つの機能を担う拠点(実店舗)を作るため、2016 年バンコクに第1 号店舗を出店している。

●アニメ配信サービス会社を通じて市場活性化に貢献
 同社は、2015 年3 月にエイベックス・ピクチャーズ、講談社、小学館と共同でアニメ配信サービス会社「株式会社アニメタイムズ」を設立し、アニメ配信サービスを提供している。アニメに対するユーザーの楽しみ方がデジタル技術の進化によって変わりつつあり、従来のテレビやDVD 等のパッケージを中心とした楽しみ方に加え、デジタル配信による楽しみ方が拡大している中、映像配信サービス向けにアニメ作品の供給を行う会社を設立することで、いつでもどこでも観たいアニメを楽しめる環境づくりに寄与し、アニメ市場の活性化を目指している。

●他社との連携による事業機会の創出を継続
 近年アニメを取り巻く市場環境は多様化してきており、アニメは「日本の文化」という様相を呈している。このため、アニメを取り巻くビジネスも単独で展開するよりも他社と協業して取り組む方がダイナミックな展開が可能となってきている。同社においても、必要に応じて同業他社との連携を適宜行いつつ、ビジネスの拡大を図っていく方針である。

≪主要事業者詳細個票④(小学館)≫

1.事業概要
●「コロコロコミック」を軸として児童分野で圧倒的な存在感を持つ
小学館は1922 年に創業し、小学生を対象にした学習雑誌を起源としている。現在は児童分野において、積み上げた資産やコンテンツの発信力など圧倒的な存在感を持っている。
総合大手各社も児童カテゴリーへの参入やシェア拡大を図っているが、今なお児童分野における同社の地位は揺るぎなく、コロコロコミックを軸にゲーム、アニメと連動しながら社会的現象を作り出す力を持っている。
漫画雑誌は、1959 年に創刊した少年向け漫画雑誌「週刊少年サンデー」以降、2018 年8月時点で19 誌のコミック誌を展開している。少年誌は「週刊少年サンデー」「月刊コロコロコミック」「別冊「コロコロコミック」Special」「「コロコロイチバン!」「ゲッサン」、青年誌は「月刊サンデーGX」「ビッグコミック」「ビッグコミックオリジナル」「ビッグコミッ
クスペリオール」「ビッグコミックスピリッツ」「月刊スピリッツ」「コロコロアニキ」、少女誌は「ちゃお」「ちゃおデラックス」「Sho-Comi」「ベツコミ」「Cheese!」、女性誌は「プチコミック」「月刊flowers」を発売している。
同誌とのタイアップコンテンツは、その時代の子供達のブームの仕掛け役として大きな影響力を持つ。「ミニ四駆」ブームの火付け役「ダッシュ!四駆郎」や「ポケットモンスター」はもとより、「デュエル・マスターズ」は現在のトレーディングカードゲームブームの火付け役となっている。さらに、少女漫画雑誌「ちゃお」でも「あっちこっちたまごっちタウンシリーズ」、「きらりん☆レボリューション」などキャラクターとのタイアップ作品
によるコンテンツ開発で高い実績を有している。
コミックスは、少年誌に対応した「てんとう虫コミックス」「少年サンデーコミックス」、青年誌に対応した「ヤングサンデーコミックス」「サンデーGX コミックス」「ビッグコミックス」「ゴールデンコミックス」「イッキコミックス」「レアミクスコミックス」「コロコロアニキコミックス」、少女誌に対応した「ちゃおコミックス」、女性誌に対応した「フラワーコミックス」、コミック誌に対応していない「My First BIG シリーズ」「My First WIDE」を展開している。
電子書籍は、コミック、ライトノベル、ミステリーを中心に展開しているが、その内コミックが80%を占める。
2.業績概況
●2018 年2 月期は総売上高が減少するもコミックはプラス成長
2018 年2 月期の売上高は、945 億62 百万円(前期比2.8%減)、経常利益3 億13 百万円(前期は9 億34 百万円の損失)、当期損失は5 億72 百万円(前期は8 億13 百万円の損失)であった。売上高は減収ながら経常ベースでは黒字転換となったものの、純利ベースでは赤字決算となった。
部門別売上高では、「出版売上」が568 億41 百万円(前期比6.7%減)、うち、一般雑誌が250 億47 百万円(同8.5%減)、コミックスが194 億46 百万円(同0.4%増)、書籍が105 億88 百万円(同11.8%減)、パッケージソフトが19 億61 百万円(同17.0%減)であった。その他は、「広告収入」が95 億63 百万円(同15.0%減)、「デジタル収入」が176億99 百万円、「版権収入等」が104 億59 百万円(同10.4%減)となった。
コミックス市場が低迷している中で、同社はプラス成長している。販売部数も48,688 冊で、前期からプラス1.2%となった。

3.事業体制・事業戦略
●電子書籍の充実化
 同社は、電子書籍を売上高の最大化を目指すツールとして位置づけている。多くの新刊が発刊される中で埋もれてしまった優良な作品を電子書籍を通じて再商品化し、プロモーションを展開することで新たな市場を創っていきたいと考えている。コミック分野では、マンガ読み放題アプリ「マンガワン」が一定の成果を収めている。「マンガワン」は、曜日ごとにコンテンツを毎日更新し、いつでも1 話から最新話まで全話公開するかたちで常時
100 タイトル以上が楽しめるようになっている。また、「少年サンデー」の過去の人気作品も期間限定で提供している。2017 年8 月の総ダウンロード数は1,150 万、アクティブユーザー数は250 万人/月である。読者投票によるランキングを重視しており、新作を積極的に投入することで新たなコンテンツの供給源としても期待されている。
 電子書籍は2011 年7 月に設置されたデジタル事務局が担当しているほか、コミック局にも電子書籍専任を置いており、コミック局が電子書籍化する作品の選定を担当している。

●シンガポールに「小学館アジア」を設立し、アジア展開を強化
 同社では、以前から積極的に海外での出版事業を展開している。1986 年からアメリカ・サンフランシスコにおけるVIZ コミュニケーションズ設立を皮切りに、パリとベルリンにVIZ ヨーロッパ(以上は集英社、小学館集英社プロダクションとの合弁)、中国・上海市に上海VIZ、台湾では台湾小学館を設立し、それぞれの地域性や文化に応じて出版事業、広告事業を自社で行っている。
 アジアにおいては、各国の現地出版社をパートナーとしてライセンス出版を行ってきたが、グローバル化が進行し、さらにアジアにおける新興国の台頭から、より積極的なアジア進出の必要性が生じてきた。このため、2013 年に経済・文化の発展著しいシンガポールに100%子会社の現地法人「小学館アジア」を設立してアジア市場を強化している。
 新会社では、「ドラえもん」をはじめとするコミックスの英語版や、子どもの図鑑、学習を楽しくサポートする書籍などの英語版を提供しているほか、各国ローカルパートナーとの連携をより密にし、アニメーションの導入によるメディアミックス戦略や、それに続く商品化など多角的に市場を盛り上げるノウハウを提供している。また、将来をにらんだデジタル化の展開において、デジタルファーストなどの実験的な取り組みを行う事も目的となっている。

≪関連事業者簡易個票①(イーブックイニシアティブジャパン)≫


≪関連事業者簡易個票②(パピレス)≫


≪関連事業者簡易個票③(まんだらけ)≫