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平日エッセイ011:終電とコンポタ缶のもちつもたれつ。


酒臭い電車内に、混んでもないのに抱きついて支えあうカップルとおつかれぎみ頭をたれてゆらゆらするよれたスーツ。

隣同士YouTubeでジャニーズをみているらしき女の子たち久しぶりの再会を懐かしんであげた笑い声がちょっと大きくてたしなめる、おばさま。

ここ最近毎日終電帰りだったので観察する癖がついてしまっていたらしい。

基本的に朝型な私は、終電なんて眠気以外の何者でもなかったのだけど。

そんなここ2週間毎日終電だった私が唯一、なんとなくクセのような感覚で買っていたのが缶のコンポタ。

実は缶のコンポタをほとんど飲んだことがなかったから、なぜ買ったのかも全くわからない。
ただ、なんとなく、”ちゃんと1日終わった”ことの確認のように買っていた。

強風のホーム、時間感覚は3分から7分になった終電間際、マフラーを少し下げて、コンポタを飲みながら、なんとなくいろんなことを考えた。

おかしな話だけれど、考えた末に
「今日も1日楽しかったなあ。」と思える自分に驚いた。
理不尽なことはたくさん言われたし、お気に入りのお菓子はどこのコンビニも完売だったし、全く関係ない件で詰問されたりしたし、コーヒーをパーカーにこぼしたりもした。

本日も清々しいほどにドジっぷりは健在だったし、嫌な気持ちにもたくさんなったはずなのに。

たった1本のコンポタ缶は全てをなし崩して幸せへと導いてくれるらしい。
そして多分、これは自販機のコーヒーでもミルクティーでもダメだ。
コンポタでなければならない。

終電間際に、1人間の人生幸福にするって、どんなボスキャラなのか。

たかだか120円で買える幸せ。
なんとも単純だと思うけれど、たった120円の幸せは、間違いなくその日いちにちの理不尽やミスや不安の全てを打ち消してくれたのだから、よしとしよう。

もし今日の帰り道、自販機見つけたら、飲んで見て欲しい缶のコンポタ。
とにかく今日も”いってらっしゃい”

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