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★仏像展★「みちのく いとしい 仏たち」in 龍谷ミュージアム

 地方仏と民間仏の仏像展です。本展示の民間仏は苦しさを聞いてもらうために、有名仏師以外が造ったりした仏像とのこと。今の仏像たちは定朝、慶派、院派、円派など彫刻系の立派で感動的な仏像が残っているが、昔から民間仏はあったようで、様々な理由で減っていったよう。ただし、東北にはまだ残っているようで、民間仏を特集したのがこの仏像展とのこと。

 中学の美術で仏像関係の授業があった記憶がある。大人になり、快慶、運慶の仏像を見仏して見仏好きになる。徐々に奈良・平安時代の仏像の味もわかってきた。ただ円空は難しい。本展示会は円空仏に近いと思ったので行く気がなかったのだが・・・。
 ちょっと京都駅周辺に行く用事が出来て、妻が行きたいというので行ったのだが面白かった!大満足だ!!
 彫刻として仏像を見ると稚拙な仏像たちだが、何とも言えない愛らしさと、トリッキーな仏像、円空仏を彷彿とする神仏習合の姿など数が多く、見どころが多い仏像展だった。

この仏像展は以下のスケジュールになっており「龍谷ミュージアム」に行きました。

 #岩手県立美術館 2023/4/8~5/21
 #龍谷ミュージアム 2023/9/16~11/19
 #東京駅     2023/12/2~2024/2/12

変更履歴


▼公式HP

▼博物館

開催会場 : 龍谷大学 龍谷ミュージアム
会期 : 2023年9月16日(土)~2023年11月19日(日)

▼メディア紹介(リンク)

 岩手県立美術館での紹介動画です。

八幡平市・兄川山神社の「山神像」は優しい笑みを浮かべた独特の表情が特徴です。
 また葛巻町・宝積寺の「六観音立像」は、水害などで犠牲になった人たちの鎮魂のため作られたとされています。

岩手放送
↓院尿元

 龍谷ミュージアムより!!

▼ニュースメモ

奈良や京都などでいつも拝観している、従来の荘厳な仏像のイメージを大きく覆す展覧会『みちのく いとしい仏たち』が9月16日、「龍谷大学 龍谷ミュージアム」(京都市下京区)で開幕。クスッと笑ってしまう、ユーモラスな姿の仏さまが一堂に会する。
 
ホッと癒されるかわいらしい姿の仏像は「民間仏(みんかんぶつ)」と呼ばれ、仏師の手によるものではなく、その土地の大工やお坊さんといった素人が制作した素朴な神像・仏像のこと。多くが江戸時代に制作されたものだという。

↓引用元

▼民間仏って?

 地方仏は地方仏師が造った仏像なのは知っていた。民間仏って??

  • 仏師は仏像ルールを基本として、姿、色など高い技術で造るが、民間仏は仏師以外が作るものなので稚拙な仏像である

  • 民間仏は、人々の思いが強くあり、味があると思った

  • 今私たちが行く寺の仏像は、奈良・京都・大阪・鎌倉で技術が培われた仏師作の仏像が販売されたものである(私見だが、良い仏像あるとこ、カネと権威・権力・商家がある)

  • 江戸時代までに、本来、地域で大事にされた仏像が、中央仏師の仏像に替えらることが繰り返されるので、今の本堂には立派な仏像が安置されていることが多い

  • 一方、江戸時代までは、地方仏師や大工などが、その地の思いを形にした地方仏・民間仏があった

  • 東北の民間仏は表情が柔らかく、表情がニコニコしており、ニコニコ仏(造語)が多い

  • 私見だが、ニコニコ仏は厳しい寒さに耐えてきた人々が、苦労を聞いてもらったり、愚痴ったりできる仏像だったのだろうと思う

  • この仏像展の特徴は江戸時代の仏像が多いのだが一木である

  • 一木は大きな材木がないと成立しない。理由は中央部分は割れる原因になるため、中心部分は仏像には使えないからだ。(鎌倉時代以降の寄木造りは材木不足もあったと思っている)

  • 最後に、この企画展を計画・監修した方曰く、本展は傾向や偏りがある民間仏と記している

  • 理由は、調査しているところが限定的であること、民間仏の展示を断念したところもあるとか(想像だが、先祖から代々伝わっており、大事にしてきた仏様なので出さないと判断したところが多かったのだろう)

  • この仏像展より、過疎化などに苦しむ財政難回復するきっかけになればよいなと思った

▼仏像感想

 展示リストはこちらです。以降、気になった、惹きつけられた、面白かった、興味深かった仏像のみ記載します。

第1章:ホトケとカミ

No.5&6 #尼藍婆像 #毘藍婆像

 岩手県立博物館の模造で、原像は岩手県花巻市の熊野神社・毘沙門堂のもの。って、普通に奈良、滋賀あたりなら、この手の仏像あるよなと思わせる良い仏像に感じた。 

No.3&4 #如来立像 #伝吉祥天立像 ( #天台寺 )

 龍谷ミュージアムは3Fから始まるのだが、トップバッターとして見仏されるかと。この如来立像は、地域の人が昔から大事にしている奈良、滋賀の地方仏でも存在しそうな仏像だった。
 岩手県二戸市にある天台寺は奥州藤原氏が反映する前から観音信仰があったようで、掴みはフツーだなと感じさせる展示だった。
 なお、吉祥天立像は保存状態は良くなく、両腕はなかった。

No.7 #女神像 #恵光院

 鎌倉時代作で、青森県南部町の恵光院である。はい!神像ですよね??と思った。京都・松尾大社の神像を思い出す。

 お姿は次のHPで見れます。

No.8 #十一面観音立像

第2章:山と村のカミ

No.9 #男神像   #広船神社 (青森県平川市)

  顔を見た瞬間、日本じゃない!モアイ像だと思った。解説を読むと「モアイ像」という説明書きが。ですよね(笑)

  • 807年、坂上田村麻呂が創建した広船観音堂の神社

  • 1428年と1605年、それぞれ再建されたとか

  • 2019年、津軽三十三霊場の第28番札所として知られる広船神社の所有する

  • 平船観音堂の本尊・千手観音像が、1986年以来、33年ぶりに御開帳された

 寺のHPを見ると良い仏像がありますね。

No.10 #山神像 #兄川山神社 (岩手県八幡平市)

 本仏像展の主役です。大きく長細い顔で2.5頭身ぐらいかと。頭は如来で体は真四角のような。。。
 本仏像展のドキュメンタリ映像を観ていたが、山の仕事をしている所なので大事にされているようだ。

No.11&12 #山神像 #某社蔵 (岩手県八幡平市)

No.13 #山犬像 #某社蔵 (岩手県八幡平市)

 異質を放っていた山犬像は狼なんだそうな。ちなみに神社などでは山犬像はあるようですね。ただ、お札や石像がほとんどで、木造なのはレアなんだそうな。なお、しっぽ以外は一木。なにか、言い伝えがあるような気がする。もしかしたら、御神木なのかもな~。
 ちなみに、歴史は江戸時代作とも言われており、最近まで地元の子供たちの遊び道具だったとも!?

No.14 #役行者倚像 #恵光院 (青森県南部町)

 さすが役行者!ここまで広がっているのか?と思ったが、違うかもしれない。ただの修験道、山伏かも・・。
 通常、役行者像は両足を踏み下げており、右手は錫杖であるのが仏像ルールなのだが、杖を持ち片足を上げている。

 恵光院には「山の神」として伝えられてきたが、青森県史叢書『南部の仏像』では、「役行者半跏像」江戸時代以前の作と紹介されている。役小角(えんのおづぬ)は役行者(えんのぎょうじゃ)とも呼ばれ、修験道の開祖として尊崇される人物である。
名称については、像が右手に持つ「マサカリ」により、専門家の意見の分かれる所ではあるが、恵光院住職の見解と、僧侶の頭巾、衣装、袈裟を身に付けていることから「木造僧形山神半跏像」とした。総高約55cm。

青森県南部町
↓引用元

No.15 #蒼前神騎馬像 #某社蔵 (岩手県八幡平市)

No.16・17 #厩猿像 #二戸歴史民俗資料館 (岩手県二戸市)

第3章:笑みをたたえる

No.18&19  #観音菩薩立像 #如来立像 #二十五菩薩像保存会 (岩手県一関市)

 柔らかく微笑んでおり、おっぱいの形がある珍しい観音立像である。

 さて、安置している「二十五菩薩像保存会」が気になったので調べた。やはり、「二十五菩薩像」とあるので極楽浄土を表すべく、阿弥陀如来を本尊とし、楽器を奏でる二十五菩薩もいるということでしょう。と、一関市の資料でも書かれていますね。なかなか良い阿弥陀如来です。一関市の資料はこちらです。

 そして、如来立像はよりニコニコで同一仏師だろうと書かれていた。いや~面白い仏像である。

No.20 #観音菩薩立像 #個人蔵 (岩手県一戸町)

No.21  #童子立像 (聖徳太子像) #個人蔵 (岩手県一関市)

No.22-26 #僧形立像 (伝聖徳太子像) #個人蔵 (岩手県一関市)

 見仏好きが知っている聖徳太子像とは異質である。二才像、三才像、十六才像のどれにも分類できない。ただ、1体だけ西欧人立像がある・・。やはり聖徳太子はイエスキリスト??そして、この地域にキリシタンがいたのか??という感じで造形が違う(笑)

No.27&28  #僧形立像 (聖徳太子像) #長徳寺 (岩手県一関市)

 前述のNo.21の聖徳太子像とは違う雰囲気を持つ仏像。やはりNo21以降も含め神像で造ったのかも・・いや神仏習合している時代だから、神でもあり仏でもあるのかも。姿を見せない神様だったので妄想を形にしたとか??

第4章:いのりのかたち 宝積寺六観音像

六観音立像 6軀 江戸時代 #宝積寺 (岩手県葛巻町)(No.29 #聖観音 No.30 #千手観音 No.31 #馬頭観音 No.32 #十一面観音 No.33 #准胝観音 No.34 #如意輪観音

 ああ~変化六観音だぁ~~~!!!
 観音さまは相手に合わせて姿を変える性質がある。神奈川・長谷寺などでは三十三種類の観音菩薩像で表現しているが、多くは六体で表現することが多い。昔は多くあったようだが焼失しているところが多く、コンプリートしている寺は少ない。全部残っており、鎌倉時代作で重要文化財と言えば、京都の千本釈迦堂こと大報恩寺なのだが、それと見比べてみた!!

 ビックリ仰天だった・・。いや~面白い!!箇条書きでどうぞ!!

  • すべての仏像の顔が1面で、腕が2本だった・・(通常、聖観音のみ)

  • 6体ともカツラの一木造り

  • 仏像の表(正面)にヒビが入っていないことから、かなりの大木で造られていることがわかり、倒れた御神木で造ったのかもと思った(中心部分は割れるので一木では使えない=木の端を使う=一木はかなり大きな木が必要)

  • 如意輪観音は坐像ばかりだが、初めて見た立像だった・・

  • 准胝観音が金剛界式大日如来の印相・智拳印風味だった・・・

  • 千手観音、十一面観音共に顔が1面しかない・・・(馬頭は大安寺など1面はある)

  • 観音だが、腕は2本しかない・・・

  • 馬頭観音だが印相も違うし、頭は馬ではなく烏帽子だった・・・

  • 如意輪観音の印相は馬頭観音の印相に似ている気がしたので逆??

  • 各仏像の衣文は頑張っていた

 この仏像は背後に回れるようになっており、背中に仏像名が書かれていた・・。やっぱ展示の名前であっているようだ・・ということで、大報恩寺と見比べてください。あなたはどっちが好き?

 さて、この変化六観音を安置する青森県八戸市の宝積寺を紹介します!!

  • 明治の廃仏毀釈の影響と思うが、藤岡家の屋根裏から見つかったらしい

  • 現在は宝積寺の観音堂に安置されている

  • 民間仏ながら県文化指定された異例の待遇

第5章:ブイブイいわせる

 不動明王、矜羯羅童子、制咤迦童子と密教系のゾーンでは、全然怖さを持たない天たちで、ユルカワ系といえばわかるか??なお、天については奈良・京都・滋賀・鎌倉を意識した仏像は多いようだが、この展示会は、そういう仏像は来ていないようだ。

No.35-37 #不動明王二童子立像 #洞圓寺 (青森県田子町)
No.38&42&43&44   #不動明王立像 #毘沙門天立像 #吉祥天立像 個人蔵 (青森県五戸町)

 No.42の毘沙門天立像は邪鬼を踏んでおり、邪鬼がキュートだった。

No.39 #不動明王立像 #萬松寺 (青森県平川市)

No.40&41  #矜羯羅童子立像 #制咤迦童子立像 #蓮正院 (青森県板柳町)

No.45 #多聞天立像 #本覚寺 (青森県今別町)

 1790年から御神体として安置されていたようで、今でも目の前の津軽海峡で働く漁師から大切にされている。この多聞天が面白いのは頭の上に龍を乗せ、超いかり肩、いやパットを入れたような風貌で、邪鬼は白鳳時代と思わせるのが良い。

No.46 #達磨像 個人蔵 (青森県南部町)

 達磨大師が本当のダルマやないかいっ!!達磨さんが転がるわ・・・。
↓ここの一番下の写真。

第6章:やさしくしかって

No.47〜50 #十王像 #黒石寺 (岩手県奥州市)

 大丈夫!地獄じゃなくて天国に行けるでぇ~という顔であった。

No.51〜56 #十王像 #三途川集落自治会 (秋田県湯沢市)

No.57〜62 #十王像ほか # 龍像院 (秋田県大仙市)

No.63〜68 #十王像 #最勝院 (青森県弘前市)

No.69〜74 #十王像 #日庵地蔵堂 (岩手県奥州市)

No.75&76 #十王像 #正福寺 (岩手県葛巻町)No.77・78 # 司命・司録立像 #正福寺 (岩手県葛巻町)

No.79〜85 #鬼形像ほか #正福寺 (岩手県葛巻町)

 よく見ると女性を引き連る鬼がおり、火焔におぼれた像があった。地獄行きましたね(笑)ということがないように造り、治安と秩序を守ったのかもな~。

第7章:大工 右衛門四良

 民間仏で数少ない仏師が分かる仏像群。1779年頃、大工の右衛門四良が100体も造っている。

No.86〜102 #地蔵菩薩立像 #青岩寺 (青森県七戸町)

 地蔵菩薩ならば錫杖を持つだろうが持っていないので、仏像を拝む人たちに見えるとか。

No.103〜114 #三十三観音坐像立像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

 前述の通り、観音は相手によって姿を変えるのだが、ここに三十三種類の観音が安置されている。ただ、円空仏風味で、修験道に見えたりキュートな仏像が多い。前章までと違うところは坐像が多くなっていることかな。

No.115〜117 #十王像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

 やはり円空仏風に見える。

No.118 #鬼形像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

No.119 #童子跪坐像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

No.120 #地蔵菩薩立像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

 右手に錫杖、左手に宝珠と地蔵菩薩のお約束を守っている仏像だが、やはりコミカルである。

No.121 #地蔵菩薩立像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

 両乳に手でつかんでいる様子。子安地蔵なのかなと思った。

No.122 #僧形倚像 #法蓮寺 (青森県十和田市)

No.123&124 #恵比寿像 #大黒天像 #青岩寺 (青森県七戸町)

 農家や商家でも祀る大黒さんと恵比寿さん。大黒さんは仏師が造る大黒天風味である。

No.125 #役行者倚像 #青岩寺 (青森県七戸町)

第8章:かわいくて かなしくて

No.126 #観音菩薩坐像 #円空 #正法院 (青森県蓬田村) 

 円空だ!解説に円空というのがなかったら民間仏と思っていたかも。こう見ると、円空は基礎的な技術があって崩したんだろうなと思わせる。

No.127-129 #如来坐像 #正法院 (青森県蓬田村)

No.130&131 #如来立像 #菩薩坐像 #観音寺 (青森県青森市)

No.132 #菩薩立像 #福昌寺 (青森県外ヶ浜町)

 ツッパッている髪型が印象的。言葉は悪いが授業で仏像みたいなもの彫りました、という感じ(笑)

No.133 #子安観音坐像 #慈眼寺 (青森県五所川原市)

 この子安観音坐像は、説明を読んで赤ん坊を抱いているとわかったが、赤ん坊が、こけしに見えた。ただ、光背はあり、仏像自体は白鳳時代を念持仏を彷彿とさせる。

No.134 #子安観音坐像 #龍像院 (秋田県大仙市)

 この子安観音坐像はリアルに赤ん坊を抱いている女性仏像である。

▼過去の関係・類似展

#岩手県立美術館 」で行われて、この後は「 #東京ステーションギャラリー」でもあるようです。

この仏像展を書いている人もいたので貼っておきます。

▼旅行記


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