ダリ、ベラスケス、エル・グレコを数倍楽しむ! 事前に学ぶべく美術史・建築史おすすめ動画・ページ (スペイン旅行計画のイロハ、旅行準備)
バロック、ロマネスクなど美術史には時代によって特徴的な形式があります。これを知らないと、なぜこの絵画が素晴らしいのか、この建物は世界遺産に登録されたのか鑑賞のポイントがわからず、印象に残らない旅になってしまうかも。美術を数倍楽しむためのおすすめの動画・Webページを教えます。
大前提として・・・・美術史・建築史を全般的に網羅する
スペインの美術史を学ぶ前に、ざっくりとした芸術史を学んだ方がなぜスペインのこの画家は評価されたのか、背景知識が身につきます。実は、スペインの芸術史は歴史が古いです。なぜなら、古代ローマの支配を受けていたため古代ローマの建築物、芸術品(モザイク画)が多々あります。また、原始美術として有名なアルタミラ遺跡の壁画に至っては2万年以上前の物です。そのため、原始美術から古代ローマ美術を学び、近代・中世の宗教美術史をざっくり学んだ方が、理解が深まります。おすすめYoutubeは以下です。
【美術史】美術の流れを全て紹介します。フェルが教える!西洋美術史 (全8回)
ロマネスク式、ゴシック式などの建築用様式の違い、なぜそうなったかの背景、また美術史を理解する上で必須のルネッサンス→ゴシック→マニエリスム→ロマン主義→印象派と近世から現代までの流れがとてもよくまとまっています。
古代美術史、古代ローマの美術もざっくりとしてまとまっており、モザイク画やフレスコ画などをみる際のポイントなども学べます。
特に5回目には、「裸のマハ」を描いたゴヤの説明が簡潔よくテンポよく解説されています。裸婦画の先駆けとなったこの絵の理解を深める上で、必須の動画です。
スペインは実はロマネスク風の建築物が結構あります。特にセゴビアなどキリスト教の巡礼地となった北部には随所に見られるので、その様式の違いを学ばないとこの地でなぜロマネスク風の建築が流行したのかが分かりずらいと思います。。。
ベラスケス、ゴヤ・・・スペイン黄金時代の芸術家を学ぶ
続いてスペインの画家に移りましょう。個人的な見解ですが、スペインの芸術が最盛期を迎えるのはルネッサンスより後、バロック時代からという印象です。国として繁栄したのが大航海時代なので、芸術が最盛期を迎えるのはそれより後になるのは至極当然なのですが、中世から近代までは有名な画家はいないという印象です。やはりルネッサンスの中心部はイタリアとオランダですね。
この動画は、混乱を招きやすい近世から現代の流れ、特にゴシックからロココ美術までの流れを把握しやすいのでおすすめです。
エル・グレコ、ムリーリョ 、スルバロン、ミロ スペインを代表する画家のリスト
エル・グレコ (El Greco)
時代: 16世紀後半から17世紀初頭。もともとギリシャ人だったため、「ギリシャ人(エル・グレコ)」と名付けられた。本名はドミニコス・テオトコプロス
評価: エル・グレコはマニエリスムとバロックの画家として知られています。彼の作品は宗教的なテーマや個性的な様式で知られ、その独特の表現力と色彩使いが高く評価されています。マニエリスムは身体の線を細長く誇張したスタイル。そのため、彼の絵は比較的簡単に見分けることができます。
代表的な絵: 「エル・エスコリアルの埋葬」(The Burial of the Count of Orgaz)
展示場所: スペイン・トレドのエル・グレコ美術館 (Museo del Greco)
ベラスケス (Diego Velázquez)
時代: 17世紀
評価: ベラスケスはバロック時代のスペインの最も重要な画家の一人であり、「ラス・メニーナス」などの作品で知られています。彼は写実主義の先駆者として高く評価され、特に絵画における光と影の扱いや人物表現の巧みさが称賛されています。宮廷お抱えの画家であったため、題材は貴族や王族の肖像画が多い。また、スペインはキリスト教以外を題材にした絵にも寛容だったため、ビーナスなど古代ギリシャの神々を題材にした絵も残している。
代表的な絵: 「ラス・メニーナス」(Las Meninas)
展示場所: スペイン・マドリードのプラド美術館 (Museo del Prado)
ムリーリョ (Bartolomé Esteban Murillo)
時代: 17世紀後半
評価: ムリーリョはバロック時代のスペインの画家であり、特に宗教画や聖母マリアの表現で名高いです。彼の作品は柔らかな色彩と感情豊かな表現で知られ、バロック美術の中でも特に人気があります。聖母マリアの青い布地や柔らかいタッチの顔の表情はとても人気だった。ベラスケスと違い、宮廷画家ではなかったため、キリスト教絵画が中心。
代表的な絵: 「聖母の昇天」(The Assumption of the Virgin)
展示場所: スペイン・セビリアのムリーリョ美術館 (Museo de Bellas Artes de Sevilla)
スルバロン (Francisco de Zurbarán)
時代: 17世紀
評価: スルバロンはバロック時代のスペインの画家で、宗教画や聖人の肖像画で知られています。彼の作品はリアリズムと宗教的な情熱を組み合わせ、その静謐で荘厳な雰囲気が評価されています。
ただし、近年人気なのは宗教画よりも静物画。黒をバックグランドに壺やフルーツなどを描いたその画風が、視覚的にはとてもユニーク。同時期に活躍したベラスケスなどに押され、知名度は低いものの、スペインでは見かけることが多い印象。
代表的な絵: 「サン・フランシスコの廟」(The Apotheosis of Saint Francis)
展示場所: スペイン・マドリードのプラド美術館 (Museo del Prado)
ゴヤ (Francisco de Goya)
時代: 18世紀後半から19世紀初頭
評価: ゴヤはロココからロマン主義への過渡期に活躍したスペインの画家であり、特に政治的・社会的なテーマを描いた作品が知られています。彼の風刺的な作品や暗い色彩は、後の芸術運動に影響を与えました。全体的に暗い作風。スペイン独立戦争の影響で、これまでと打って変わって、華やかな印象はない。その中でも、裸体画など、芸術に一石を投じるような作品を描いた画家。
代表的な絵: 「マハ」(The Third of May 1808)
展示場所: スペイン・マドリードのプラド美術館 (Museo del Prado)
ホアキン・ソローリャ (Joaquín Sorolla)
時代: 19世紀後半から20世紀初頭
評価: ホアキン・ソローリャはスペインの印象派の画家で、特に光と色彩の扱いに優れた作品で知られています。彼の絵画は明るく生き生きとした風景や日常の場面を描き出し、特に海辺のシーンが有名です。ソローリャは自然光の捉え方に独特の才能を持ち、そのリアリズムと印象派の技法を融合させたスタイルで多くの人々に感銘を与えました。彼の作品はしばしば「光の画家」として称賛され、スペイン美術界において重要な地位を占めています。
代表的な絵: 「浜辺を歩く二人の少女」(Walk on the Beach)
展示場所: スペイン・マドリードのソローリャ美術館 (Museo Sorolla)
パブロ・ピカソ (Pablo Picasso)
芸術様式: キュビスム、シュルレアリスム、抽象表現主義など
代表的な絵: 「ゲルニカ」(Guernica)
展示場所: スペイン・マドリードのレイナ・ソフィア国立美術センター (Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía)
評価: ピカソは20世紀を代表する画家の一人であり、キュビスムやシュルレアリスムなど多くの芸術運動に影響を与えました。彼の作品は革新的なスタイルや強烈な表現力で知られ、特に「ゲルニカ」はスペイン内戦での無差別爆撃を描いた作品として世界的に有名です。
もはや説明不要ですが、彼はアフリカの芸術作品や日本の浮世絵などにも影響を受けました。そのため、遠近法を無視して、多面的視点で描き、かつどこまで対象物を省略してもいいかということを突き詰めた画家であるといえます。
サルバドール・ダリ (Salvador Dalí)
芸術様式: シュルレアリスム
代表的な絵: 「記憶の固執」(The Persistence of Memory)
展示場所: ニューヨーク近代美術館
評価: ダリはシュルレアリスムの20世紀の巨匠として知られ、夢や無意識からインスピレーションを得た作品で有名です。「記憶の固執」は柔らかい時計が溶ける様子を描いた作品であり、ダリの象徴的な作品の1つです。
風刺画の先駆けとして活躍したのがダリ。対象物を極端に歪めたその芸風は、まさに我々がきちんと物事を見ているのかと投げかけているようです。
ホアン・ミロー (Joan Miró)
芸術様式: シュルレアリスム、抽象表現主義
代表的な絵: 「青の星」(The Starry Night)
展示場所: スペイン・バルセロナのミロ財団 (Fundació Joan Miró)
評価: ミローはシュルレアリスムや抽象表現主義の先駆者の一人であり、彼の作品は幻想的でありながらも抽象的な要素を含んでいます。彼の独創的な作品は、色彩や形態の自由な表現によって高く評価されています。
丸、三角、四角で描く作風。これだけ抽象的にしても、人間は「人」とか「動物」だと認識してしまうのが、人間のすごいところ。人間の認識力の可能性を考えさせてくれます。
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