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エリクソンの発達心理学をヒントに自分のキャリアを考える。

自分のキャリアに悩んだ時には、
漠然と自分が何をやりたいのか考えても
つかみどころがなく考えが深まりにくいものです。
では、何を足掛かりに考えていけばいいのでしょうか。

例えば、生涯を8つの年代に分けて、
各年代での心理的な発達課題(成長課題の様なもの)
を表したエリクソンの発達心理学の理論を
ヒントにするのも有効です。

この理論の説明は省きますが、
本コラムの読者の方々の年代である20代~40代を
取り上げてみます。

<20代、30代前半の場合>

成人前期(20代~30代)は
10代でのアイデンティティの獲得を基にして、
親密性が主な発達上の課題となります。

何かと言うと、他者の個性を受け入れて
自分のそれと上手く融合していく能力です。
プライベートでは恋のお付き合いから、
結婚へと至るものです。

社会的には、仕事をして経済的に自立して、
仕事で一人前になって社会で認められることです。

その為には、他者と適切な人間関係を築けることが必要です。
そして、他者から仕事を任されて、それに応えていきます。
その様にして、社会的な責任を果たしていくのです。

よって、20代から30代前半くらいまでの人々で、
キャリアのことで方向感が定まらず悩んでいるならば、
今の仕事を一人前と言えるまで修得しているのか、
仕事関係で適切な人間関係を築いているのか、
職場やクライアントからの期待に応えられているのか、
といった観点を検証してみると良いでしょう。
そして、足りないことがあれば、それを補うことです。

尚、上記でアイデンティティの獲得を基にして、
と書きましたが、ここで失敗していたら、
その上には20代以降の発達課題である親密性は
積みあがりません。

その場合は「自分とは何者か?」
「何の為に生きるのか」
といったポイントで自分を振り返るのもお勧めです。

<40代以降の場合>

次に、40代くらいからは世代性が主な課題です。
つまり次世代の育成への興味です。

40歳前後はキャリアで大きく悩む時期です。
その理由は従来の興味・関心が変化しはじめているからです。

従来は「自分は〇〇の専門家で、
その専門性やスキルで顧客や社会の役に立つ」
という考えだったのが、
それをやっていてもイマイチやる気がわかない、
という状況に陥ることなどが起こります。

それは自分では気づいていないのですが、
自らがプレーヤーとして活躍することよりも、
後輩を育てることに深層心理では関心が移っていたりします。

プライベートでは、自分や夫婦二人で過ごすことから、
子供の養育に関心が移るといと分かりやすいですね。
ただし、人の心理や価値観は多様ですので、
あくまで大きな傾向であって、そうで無くても
おかしいことではありません。

要は、40代になって今まで上手くいっていたことが
上手く機能しなくなることや、
興味を持てていたことに関心が無くなってきたら、
世代性の観点で自らについて考えてみるとよいでしょう。

「自分が成果を上げるよりも、
部下が成果を上げることが出来る様に
育成に力をいれてはどうか?」

「自分が手を動かすよりも、
部署の皆が成長して全体として成果が上がるように
する為に出来ることはあるか?」

などなど、後進の育成に目を向けてみることです。
そこに大きなヒントがあるかも知れません。

<社会との関わりで心は変化していく>

20代30代(前半)の成人前期と、
40代以降の成人期を取り上げて、
その時期の発達課題を基に自分のキャリアを
考える時の観点を示してきました。

人は社会性の生き物ですので、
常に社会との関わりの中で安心もし、
生きがいも感じていくものです。

社会、他の多数の人間集団の中において
「自分な何者なのか?」
「自分が存在する価値とは何なのか?」
という問いに自分なりの答えを出せることが
とても大切です。

満足できるキャリアや人生とは何かと
漠然と考えても答えを出しづらいものです。
そんな時は世代ごとの人の発達課題を切り口にして
自らを振り返って内省すると良いでしょう。

(2021年6月14日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
プロフィール


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