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人と社会の役に立つ仕事をやる為に必要なこと

2/19(日)の日本経済新聞で日本の名目GDPが
ドイツに肉薄されて世界3位から脱落しそう…
との記事があったけれど、
GDPの数値やランキングが国民の生活に何の意味があるのでしょうか?

豊かさを追求して個人が貧しくなる矛盾

例えば、地方自治体が所有する水道事業。
水道を民営化すれば、その収益がGDPに
乗っかってGDPを押し上げるだろうけど、
それによって人々が豊かになるのか?
プラスの影響は限定的でしょう。

むしろ営利事業となれば需要が少なくコスト高の
過疎地には水が届かなくなることや、
水道料金が高騰することもあり得ます。

そんなことが起これば(起こり始めていますが)
GDPが増えて国が豊かになったはずが、
実際に住んでいる人々の生活は不便に、
貧しくなってしまう…という矛盾が生じてしまい兼ねません。

人に、社会に必要な仕事

例として水道を取り上げましたが、
人が生きていく上で必要な社会インフラの運営や、
病院や介護施設などで人々をケアする仕事、
学校で子供達を教育する仕事などの
エッセンシャルワークは、
我々が健全な生活を送る為に必要な仕事です。
これらの社会に重要な仕事に従事する人々は、
数多くある職種の中でも最も大切にされるべき
ではないかと思います。

もちろん事業を健全に運営することは必要ですが
一般の営利企業のように絶え間ない事業成長や
事業拡大を追求すべきものでは無いでしょう。
この領域で競争と効率を優先してしまうと、
働く人々が疲弊し(重労働、低賃金、等)、
且つ、サービスを利用する社会の人々も
一部の人々に大きな不便や不利益を生じさせる
可能性があります。

これらの仕事では、働く人々の負担を減らす
業務の効率化などは必要ではありますが、
同時に賃金のUPや労働環境の改善などは
待ったなしではないでしょうか。

「働きがい搾取」を続ける社会は、
掃除当番を特定の子に押し付け続ける
いじめっ子のクラスと同じようなものです。

非営利事業では何を動機に働くのか?

一方で、稼ぐ為に、競争に勝ち残る為に、
収益を追求することは、良いことも多いのは事実。
サービスの質向上に繋がりますし、
利用者の役に立とうと仕事にコミットします。

サービスを利用する立場からすると、
責任を持って仕事をしてくれる人や会社は
やっぱり重宝します。
悪い意味での「お役所仕事」では困りますよね。

では、多くのエッセンシャルワークのような
非営利事業や公的要素が強い営利事業では、
何を動機に働くのでしょうか?

これからその仕事を選ぶ人も、
現在その仕事に就いていて今後もその仕事を
続けるべきかどうか悩んでいる人も、
「仕事を通じてどんな価値を生み出したいのか?」
「仕事で自分のどんな感情を満たしたいのか?」
「自分にとっての仕事の意味とは?」
・・・といった問いを考えてみるべきでしょう。

自分が最低限必要な報酬水準を理解しているか?

そう考えれば、自分が何を動機に働くのか?
自分が働きがいを持てる職業は何か?
明確に出来るはずです。

これが自分のキャリア形成を考える時の、
「働きがいの視点」です。

そして、もう1つ大切な視点は
「収入や労働環境の視点」です。

自分が許容できる最低限の収入水準は幾らか?
同じく、許容できる労働環境はどのレベルか?

これら自分が受け入れることができる
ミニマムの水準を明確にしましょう。

そして、働きがいの視点で選びたい仕事が、
これらの収入や労働環境のミニマム水準を
上回っているのかどうかを検討します。
そして、上回っていたら、ヨシとして
働きがいを追求すれば良いでしょう。

しかし、下回っていたら、
(生活していく資金を他で得らえるのでない限り)
その仕事を選ぶべきではありません。
人の為に働くことは素晴らしいですが、
まず、自分を心身ともに健康に保ってから、
その上で他人の為に働くということが、
あるべき優先順位です。

2つの視点で基準を満たしていなければ去る

ドライに聞こえるかも知れませんが、
自己犠牲を続ける仕事は本人にとって
サステイナブルではありません。

報酬や労働環境が悪すぎて働く人が
集まらないとなれば、
雇用主は給料を上げて、働き方の改革を
せざるを得ないでしょう。

ま、それが出来ない場合は、
会社は市場から退場することになるだけです。
まっとうに経営する雇用主のもとに
人が集まればそれで良いはずです。

エッセンシャルワークに限らずではありますが、
それが個人が健全に、且つ、やりがいを持って
働く為に必要なことです。

尚、まっとうな会社まで退場せざるを得ない場合は、
そもそも営利企業としてでは事業が出来ない
ということです。
そうなるとこれは民間が担う役割ではありません。

また、こうやって少しずつ産業社会が、
労働市場が、良くなっていくのかも知れませんね。

(2023年2月20日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

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