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『Little Bit War(リトルビットウォー)』発売開始

 拙作 Nintendo Switch 向けのインディーゲーム『Little Bit War(リトルビットウォー)』が、2019年12月5日にニンテンドーのeショップで発売になりました。

eショップ https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000019723

紹介ページ https://crocro.com/shop/item/little_bit_war.html

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 『Little Bit War(リトルビットウォー)』は、1プレイ5~10分で手軽に遊べるリアルタイムの戦争ゲームです。時間のない現代社会で、サクッと爽快に遊びたい。シミュレーション・ゲームは好きだけど、なかなか時間が取れない。そうした層に向けて開発しています。私自身が、シミュレーション・ゲーム大好き人間なのですが、なかなか時間が取れないため、こういったゲームを開発しました。

 ようやくゲームが発売になったということで、「どんな特徴のゲームか」「どういった経緯で開発されたゲームなのか」という話をしようと思います。後者は、拙作小説『レトロゲームファクトリー』と密接にからむ話になります。

● どんな特徴のゲームか

 シミュレーションや、リアルタイム・ストラテジー(RTS)と呼ばれるジャンルのゲームです。ありていに言うと「戦争ゲーム」です。

 この手のゲームはだいたいマニア向けで、大量のパラメータが出てきて操作も難しかったりします。また、やることも多かったりします。

 そうした部分を徹底的にシンプルにすることで、それこそ小学校の低学年ぐらいから遊べる内容にしました(実際のゲーム画面には漢字を使っているので、一人で遊ぶなら、もう少し上の年齢からになりますが)。

 このゲームで、プレイヤーがおこなうのは、建物の「建築」のみです。地図上に、兵舎や工場などの建物を配置すれば、自動的に兵士や戦車などが生産されて、敵陣に攻め込んでいきます。

 逆に攻め込んできた敵は、塔や要塞、対空ミサイルなどの砲台を建設することで迎撃します。煩雑になりやすい戦争ゲームの要素を「建築」に絞り込み、シンプルで遊びやすい内容に仕上げました。

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● 2つの前身となる自作ゲーム

 どうして、こういった内容になったのか。その理由は、2つの前身となる自作ゲームにあります。

 1つ目は『キングオブアース』という、iモード時代に、携帯電話向けに作ったリアルタイム・ストラテジーです。このゲームは、240×240ドットの画面で、1000体以上のユニットと建物が戦争を繰り広げるという内容でした。

 こちらのゲームは、スクロール可能な広大なマップだったのですが、『Little Bit War(リトルビットウォー)』は1画面に収めるようにしています。そうした違いはありますが、この2つのゲームは、よく似た設計思想を持っています。

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 2つ目は『ArmyDefense』という、自由配置型のタワー・ディフェンス・ゲームです。こちらは、パソコン向けに3作まで続編を作っています。

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 この2つのゲームを合体させることで、手軽に遊べるリアルタイム・ストラテジーを創造しました。そのためゲームの雰囲気は、リアルタイム・ストラテジーにタワー・ディフェンスを少し混ぜたような感じになっています。

● どういった経緯で開発されたゲームなのか

 そもそもの開発の切っ掛けは、2017年に『レトロゲームファクトリー』という小説を書いたことです(世に出たのは2018年ですが、執筆は2017年になります)。

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 この小説は、レトロゲームの移植会社を舞台にしています。この小説を書き終えたあと、私の中でレトロゲーム熱が高まりました。そこで、その年の12月末の冬コミに向けて『TinyWar』という、ドット絵の戦争ゲームを作りました。

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 『レトロゲームファクトリー』は、ファミコンのゲームを移植するという話でした。そのため、『TinyWar』のグラフィックは、ファミコンで使われていた色だけで仕上げました。パレットを元に、ドット絵をポチポチと描いたわけです。その結果、見た目はファミコン風、しかし中身は最新のゲームという面白い雰囲気のゲームになりました。この『TinyWar』が全ての始まりです。

 『TinyWar』は、冬コミで好評を博して完売しました。調子に乗った私は、次のステップに進みました。世界最大のゲームダウンロード販売サイト「Steam」で、このゲームを売るために改良をおこないました。そして、翌年2月に『TinyWar high-speed』として世界に向けてリリースしました。世界デビューです。

 海外向けに売ってみたのですが、買ってくれたのは、ほとんど日本の方だったのはご愛敬です。それでも、海外の人が遊んでくれて、レビューを書いてくれたりして面白かったです。

 その時期ぐらいから、『レトロゲームファクトリー』の連載が yomyom や cakes で始まりました。『レトロゲームファクトリー』と『TinyWar』は、密接にからんで進行していったわけです。

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TinyWar high-speed
https://crocro.com/shop/item/tiny_war.html

 2018年の10月末、『レトロゲームファクトリー』が新潮文庫nexから発売になりました。その広報として、同人ゲームを開発したり、Steam でゲームを出したりしていることを、積極的にアピールしました。小説に少しでも興味を持ってもらうためです。

 その年の年末、『レトロゲームファクトリー』の元ネタのひとつである「自転車創業」さんの忘年会に行きました。すると、代表で友人の かざみみかぜ。 さんから、「柳井さん、Switchでゲームを出しなよ。『TinyWar』は、Switch 向きだしさ」と言われました。

 確かにそうだなと思いました。それとともに、『レトロゲームファクトリー』の宣伝になるかもと考えました。「現役の家庭用ゲーム機で、たった1人でゲームを開発している作者が書いたゲーム小説」。そういった説明ができるようになれば、小説の価値が上がるかもと思ったわけです。

 その忘年会で、かざみさんから Play,Doujin! を紹介されたのでアクセスしたところ、その年の冬コミのブースに社長さんが来てくれて、「やろう」という話になりました。

 翌2019年の1月に機材が届き、2月から開発を始めました。その際に、より分かりやすいタイトルにした方がよいと考え『Little Bit War(リトルビットウォー)』に改題しました。またグラフィックを現代風にしました。

 ただ、ファミコンの遺伝子を残すために、ファミコン風の色使いはそのまま残しました。また、「8bitモード」を用意して、ファミコン風のグラフィックでも遊べるようにしました。そうした、ちょっとした仕掛けを用意しています。

 開発開始から8ヶ月ほど経った10月末に開発が終わりました。そして11月に任天堂のチェックが終了して、発売が決まりました。私自身がいろいろな仕事をやっている関係で、開発は断続的に進み、だいたい100日強の作業日数が掛かりました。

 こうした経緯で誕生した『Little Bit War(リトルビットウォー)』は、『レトロゲームファクトリー』という小説と密接に関係があります。それだけでなく、ファミコン時代のレトロゲームの遺伝子を濃厚に受け継いでいます。

 『TinyWar high-speed』を出した際に、海外の人がレビュー記事を書いてくれて、「この人、絶対『ファミコンウォーズ』が好きだろう」と言われました。大正解。そうした過去に体験した様々なゲームの影響が、本作にも入っています。

● ゲームと小説をセットで楽しんでもらいたい

 『Little Bit War(リトルビットウォー)』と『レトロゲームファクトリー』は、開発・執筆した本人にとっては地続きになっている作品です。

 片方に興味を持った方は、もう片方も手に取ってもらえればと思います。というわけで、両作品とも、よろしくお願いします。

Little Bit War(リトルビットウォー)
https://crocro.com/shop/item/little_bit_war.html

レトロゲームファクトリー
https://crocro.com/novel/item/retro-game-factory/

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