栗屋敷のユリ【最終章】新世界より
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
引越し先の部屋は古い建物の一番上の階にあって、エレベーターは今にも壊れそうな音をたてている。ここも幽霊屋敷かもしれない。管理人さんがドアを開けてくれて入ると、家具には白い布がかけられていて少し埃っぽかった。ソファもテーブルも食器も何もかもが古かったけれど、すぐに使えるようにすべてが揃っていて、まるで昨日まで誰かが暮らしていたみたいだった。
全部の窓を開けて、一通り部屋を確認してから三人でソファに座り込む。私は目の前の本棚に布張り