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マンガの専門学校について考える2

マンガの技術面もこの10年くらいで大きく変わっている。パソコンソフトの普及がでかい。画材で一番高かったトーンをソフトで使えるようになって、トーンが売れなくなった。10年前230円くらいだったものがいま、320円くらいになっている。みんながソフトに向かったのでソフトの開発もドンドン進んで、積み重ねないとできなかった技術が、ソフトにデフォルトに備わるようになってきた。ペンの練習として奨励されてきたカケアミとかカケナワは、描いたことないどころか名称すらしらない学生がほとんどだ。
昨年フランス・パリにあるAaaという学校のマンガコースを見学に行ったらカケアミを教えていた。

担任の吉川先生は「私はちゃんと教える」と話していた。2年くらいあとには地球上でカケアミを教える学校、描ける学生はここにしかいなくなるかもしれない。冗談ではない。


もう一つ…最大の問題になるのが賃金…原稿料である。
ボクが漫画家を始めたの20年ほど前で、その頃週刊少年マガジンの新人の原稿料は1ページ1万円だった。さすがに大手。もっと小さいところは8000円が多かった。小学館の新人が13000円と聞いて「いいなあ」と思ったことがある。
で、その頃、高い原稿料はいくらかって言うと野球マンガの大ベテランの先生が1ページ10万円と教えて貰った。ちょっとだけ復活した『カムイ伝』(主役のカムイが出てこないので『カムイ出ん』と揶揄されたりしてた)が20万円だと噂された。
なんだよ、それ。

20年経った今はどうか?
なんと5000円とか6000円なんである。
なんだよ、それ。
ベテランのいしかわじゅんさんが、
「ネットマンガが普及して昔の貸本マンガ時代と同じになってきた。ただでも描きたい人に描かせてるから」
と話しておられた。そうすると、買い手の思うさまの値段になってしまう。テクニックなくてもなんかの弾みで売れちゃう事もあるわけだし。
しかし…毎月30ページ描いたとして5000円だと150000円。年収180万円。暮らしていけるとは思えない。
「ベテランの言葉は含蓄あるな」と思っていたが、よくよく考えたら貸本マンガの時代に新人の20人分の原稿料を持っていく作家はいなかったろう。いしかわさんだって毎日新聞朝刊四コママンガが1本5000円ってことはあるまいに。
まとめるとこうなる。
日本のマンガ業界では編集者とベテランの漫画家は仕事としてマンガに携われる。
新人は趣味、こづかい稼ぎとしてしかマンガ作りに携われない。

日本のマンガ専門学校はこう言う状況と向かい合ってるわけである。


この稿、もう少し続けます。

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