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『アマゾンが描く2022年の世界』

 立教大学ビジネススクールで教鞭を取る著者によるこの本、実は2018年に上梓されたもの。2023年に読んでみたら、なかなか面白い頭の体操になりました。
 2018年当時といえば、アメリカでスマート店舗のAmazon Goが開店したり、アレクサを搭載したAmazon Echoが発売されてスマートホーム時代の幕開けといった時代でした。既にAWSは世界最大のクラウド事業に成長していたし、Fulfillment Centerというスマート物流拠点の展開でも圧倒的な存在になっていました。
 クラウド上に蓄積されるビッグデータをAIで分析して、顧客が求めに圧倒的な規模とスピードで応えていくことで爆発的な成長を続けるビジネスモデルを称賛する一方で、CSR(企業の社会的責任)面での評価が低迷しているといった負の側面も指摘しています。
 以上は今振り返ってもアタリと言える部分ですが、ハズレもあります。アレクサの可能性についてはちょっと過大評価気味で、まして最近話題の生成型AIの出現という下克上までは予測されていません。また、パンデミックに伴ってネット通販に追い風が吹くこと、寡占化に伴う情報の非対称性に批判が集まること、そのような傾向へのアンチテーゼとしてのWeb3の萌芽といったことにまでは言及されていませんでした。
 もう一つ、Amazonのライバルとして中国のアリババとの比較分析をする中で、アリババ最大の懸念はいわゆるチャイナ・リスクであると指摘しています。実際、国家を凌駕するほどの影響力を持つ可能性を警戒されたジャック・マー氏は会社を去らなければならなくなり、この点は残念ながら予測が当たってしまった形です。 
 まあ、答え合わせは悪趣味だし、どうでもいいのですが、こうして当たったことと外れたことを踏まえて、さらに4年先の未来を生活を想像することがまた楽しいですね。

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