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【死神の浮力】を読んで

今回の読書も引き続き伊坂幸太郎さん。
週末は天気が悪い予報だったので、そんな時に最適の死神千葉さんに会いたくなり、図書館で借りていた【死神の浮力】の残りを読み進めた。

先週から少し読み始めてはいたんだけど、平日に全然読めなかったのよね…
やっぱり一気読みできる時間が取れる休日は最高です。(安定のおひとり様満喫宣言w)


土曜日の夜に0時過ぎまで読書をして、8時間しっかり睡眠を取る。
日曜日の朝にはあんこたっぷり、バターしみしみのホットサンドを作ってのんびり食べる。
思いのほか天気が良かったから買い物に出かけて、夜に感想を書く。

めちゃくちゃ幸せな週末じゃないか!!!!!

平日もこれくらい余裕ある生活ができたらいいのにな。。


さて感想を。

【死神の浮力】は、前回の【死神の精度】より少し苦しくてツラい内容だった。
短編では無くひとりの対象者の7日間を丁寧に描いているからだけど、私自身が『理不尽な痛み』に対して以前より弱くなったんだと思う。
特に子どもが巻き込まれるのは苦しい。。

年を取った証拠かな。
それとも感覚がまともになったのかな(笑)


今週は心がザワザワして気持ちが毛羽立ってしまい、ちょっと落ち着かない日々だった。
だから、全体的に湿り気があってトーンが低めなこの作品には助けられた。読みながらだんだんと気持ちに落ち着きを取り戻せた。


千葉さんの「仕事に対してやる気はないけど真面目に取り組む姿勢」がやっぱり好き。
わかるー。

私も仕事に対するモチベーションがそんな感じだから、手を抜く同僚に対する気持ちとかにも共感しちゃう。

相変わらずのちょっとずれた返答もクスッとなる。

その千葉さんの返答のおかげで、「ああ、たしかにその言葉はそうやって受け取れるか!」と、日本語の不思議?難しさ?にも改めて気付かされる。




それにしてもこの前には【陽気なギャング〜】を読んでいたので、作品のテンションの高低差といったらさぁ…




作家さんってほんとにすごいな。


あ、あと、テンションの差だけじゃなく、作家さんってすごいなぁと思ったのが、【死神の浮力】というタイトルの理由がわかるシーン。

その前までずっとスピード感があり、ハラハラしながら読み進めていたのに、このシーンでいきなりクスッとして、ほっこりしちゃう。
【死神の浮力】というタイトルに心の底から感心してしまった。


感心といえば、「のっぴきならない」の回収もすごかったなぁー。
あと「物語としてはつまらないけど、現実に起きたらすごい出来事」もしっかり回収しててさぁ…

《決着〜オチ〜エピローグ》も綺麗な流れでとてもスッキリ。

どうすればこんな流れを思いつくのか教えて欲しいわー(笑)


最後の方は夜遅くに読んでいたので、山野辺さん(今回の対象者)と、父親が【死】に対して話している部分では涙が止まらなかった。
「子に対する親の想い」のところで、もうね、涙腺崩壊。。
ドバーッと泣いた。

特に最近は親の年齢とか、一緒に居られる時間についてよく考えていたから、余計に涙が止まらなくなってしまったのかな。

あと、夜は情緒不安定になりやすい(笑)


独り身だから、親のこととかいろいろと考え始めてるお年頃なんですわ。



時間は有限。
死は身近。
日々を大切に。


当たり前だけど忘れがち。

押し付けがましくなく、無駄に恐ろしすぎず、そっと【死】について囁いてくれるこの作品。

今回は1人のエピソードだけで長い作品だから、なかなか何度も読み返すことは無いかな…とは思う。

でも、今回を読んだからこそ【死神の精度】が洗練された短編小説だったんだなぁと気付く。


うーむ。
これはまた千葉さんに会いたくなりそうだな。
【死神の精度】はちゃんと買って手元に持っておこうかなー。


私にとって千葉さんは、気持ちが落ち着かないときや、浮き足立っているときに一旦落ち着かせてくれる、ひと息ついて自分の立ち位置を再確認させてくれる、そんな存在になりそうです。


うん。
出会えて良かったな。

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