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[演劇感想]ウーマンリブ第15回公演 「もうがまんできない」

 ウーマンリブ第15回公演「もうがまんできない」作・演出 宮藤官九郎 
2023年5月20日13時の回 近鉄サンケイホールブリーゼ(大阪) の観劇感想です。

 モラルとは何か? 共通の道徳感がすでになくなってしまったように見える今の世の中。人々は、一体何を生活の規範としているのか・・・観る人の心に鋭く問いかける問題作(笑)  重いテーマを笑いで包んで軽やかに表現している(笑)

 舞台は、雑居ビルの屋上と、タワーマンションのバルコニーと、安い感じのラブホテルが隣接して建ち並ぶ東京渋谷。まさに現代社会の格差構造の象徴(笑)

 
【私が面白いと思ったところ】

○ 図らずも笑ってしまったのが、羽生(宮崎吐夢)の「あんたがた、タフマン♪」
 聞いた瞬間は「安易にTVコマーシャルのマネして」と思ったが、あまりに伊藤四郎さんの声に似ていて、セリフが終わった余韻の部分で笑ってしまった。3回位出てきたと思うが、3回とも堪えきれず笑ってしまった。

○ずっとまってるズの二人 沢井やん(仲野太賀)と隅田(永山絢斗)
 二人の息がぴったりで、本当の売れないお笑い芸人に見えた。私が劇中で共感できた人物は沢井やんだけだった。「俺は顔も普通だし、お笑いばっかりでゲームとかもやらないし、何も特徴が無い。いっそバカになりたいよ。バカになって、売れたいよ」みたいなセリフ。良かった。

○木下(宮藤官九郎)、ちづ子(平岩紙) 夫婦
 ゲームクリエイターと、手料理が上手で年齢不詳な感じの奥様。家ではしょっちゅうホームパーティが開かれている模様。二人ともいかにも「タワマンに住んでいるセレブ夫婦」という出立ちで、とても良かった。
木下が権造ちゃん(阿部サダオ)と妻の不倫に気づいても、「それを責めたらパワハラになっちゃうよね〜、ここは知らないふりしておこう」というセリフ。笑った。

○ 権造ちゃん(阿部サダオ)が、VRゴーグルを被って「没入感すごい!」と没入感という言葉を強調する所。VR作品に感想いう時、必ず出てくる言葉「没入感」。
 私はいつか「没入感」という言葉を使わずにVR 作品の感想を述べられるようになりたいと思っている(本気)

○みちる(荒川良々)
 「腸みちる〜!」のギャグとヒラヒラで黄緑の衣装がおかしかった。登場した時はボケキャラなのに、隅田と組んで舞台に出た後に、急に真面目になって本気でダメ出ししていたところ。笑った。

○神田崎(皆川猿時)、典子(中井千聖)親子
 観る人に、これ笑っちゃっていいのかな、面白がっていいのかな?という葛藤を生じさせる父と娘。神田崎役が皆川さんだったので、見た目が可笑しいので救われた。
 神田崎の「のりちゃんは、高校まではいじめられたことはないんだよ。あなたはそのままでいいんだよ〜、って言われてきたから」や、沢井やんの「君だって、同情されるよりおかしいって笑われた方が楽だろ。」というセリフ。180度、360度回って良いのか悪いのか、モラルとしてどうなのか、人の素直な感想としてどう思うのが正解なのか、わけがわからなくなって、笑った。

○シャークさん(小路勇介)
 外見と言動が一致しているので、ある意味安心して見ていられた。登場した時は「うわ〜、嫌だな、もう出てきてほしくないな」と思ったが、最後に、屋上から突き落とされた場面では「ちょっとひどいんじゃないの、かわいそう」と思った。

○ 権造ちゃんがバルコニーから雑居ビルの屋上へ、ハシゴを使って渡るところ。
開演前のセットを見た時から、最後はどちらかに人が集まってワイワイなるんだろうな、と予想はしていたが、まさか背中にアツアツのドリアが乗るとは。本当に背中が熱そうで、高い所にいるようでハラハラした。
鍋がホームパーティ映えするル・クルーゼ風の赤い器だったのが余計におかしかった。

思いつくまま、感想を書きました。他にもたくさん笑った場面がありました。面白かったです。

次回のウーマンリブ公演を楽しみにしています!


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