【映画レビュー8】マッスル 踊る稲妻
映画大国インド。
インドにおいて、映画というメディアの立ち位置は日本のそれとはかなり異なる。
一昔前まで、インドではテレビよりも映画のほうが大衆娯楽として成り立っており(※ヤミノの記憶ではそうなってるけど正直あやふや)今も映画のもつ影響力は日本のそれより強いと思っていただければ良い。
そんなインド映画はハリウッドにちなんで”ボリウッド”と呼ばれる。
この作品は、ボリウッドの全てが詰まっている。そんな作品だ。
あらすじ
華やかな結婚式の準備が進められていた。身分の高そうな人、きらびやかな世界、そんな中化粧をする花嫁の顔には憂いが浮かんでいた。
そんな中、路地を進む一人の人物。老人のように背を丸め、だが足取りはしっかりとすばやく進んでいき、そしてついに花嫁の控室に忍び込む。
そこで映ったその顔はひどく醜かった。
悲鳴を上げる花嫁。醜人はとっさにテーブルランプで花嫁を打つと昏倒させ、担ぎ上げて誘拐してしまった。
籠に入れられ、誘拐された花嫁。電車で進む中、その同じ顔が雑誌や町中の広告に使われている。
そう、誘拐された花嫁は超有名スーパーモデルでCM女王とも呼ぶべき女性、ディヤーだった。
何を思うのか、誘拐した犯人はそれを見て涙をぬぐうのだった。
(彼女の美しさを称える歌と踊り、そしてコマーシャルが入る)
警察の追っ手を振り切り、廃墟にて。
ディヤーは醜人に拘束され、泣き叫ぶ。彼女の言葉を無視し、彼は戸締りを進める。
「何が目的? あなたは誰 何者か教えて!」
醜人は答えず、そして扉が閉められる。
暗転。
一人の若者が目を覚まし、さわやかな朝を迎える。彼はリンゲーサン、ミスター・インドを決める大会を目指して体を鍛えるボディビルターだ。
そんな彼が脅迫を跳ねのけて地方大会を優勝する。
ある日、ディヤーの撮影のボディガードをやらないかと誘われたリンゲーサンは喜んで参加する。一方ディヤーは同じくトップモデルの男性ジョンからしつこく言い寄られていた。
大きな仕事があるが、そのジョンと一緒の仕事であり、このままでは彼に体を許す以外の方法がなく悩むディヤー。
そこにボディビルダーとしてCM撮影をしていたリンゲーサンをリーという名前のモデルに仕立て上げて、彼をジョンの代わりに使おうと提案する。
モデルとして成長していくリー。
ディヤーの体に触れることすらためらい撮影に影響が出るが、監督が機転を利かせてディヤーにリーに告白し、撮影期間だけ恋人としてふるまうように指示する。
純真なリーをだましたくないと断るディヤーだが、それならばジョンを使うしかないと言われ従うことに。
憧れのディヤーに告白され浮かれるリー。
撮影は順調に進んでいくが、ディヤーはリーをだますことに耐えきれなくなり、監督の指示で嘘をついていたことを告白する。
ショックを受けるが、それでも仕事を続けようとするリー。
そんなリーにスタイリストが慰めて肉体関係を迫るがリーは強く断る。
ディヤーはリーがほかの女に迫られるのをみて、自分が本当にリーに惹かれていることに気づくのだった。
一方で大きな仕事が新人のリーに取られたジョンは激怒し、リーに刺客を差し向けたりと妨害に出るがリーの身体能力によって退けられてしまう。
その後、ディヤーは自分の気持ちをリーに伝える。結ばれる二人は将来を誓うのだった。
モデルとしてリーとディヤーの二人は躍進をしていく。
そんな中、もともとジョンが出ていた飲み物のCMをリーがやることになるのだが、その飲み物に問題がある報道が流れる。
リーは社長にCMから降板することを宣言する。社長はライバル会社の妨害だからお前はモデルとしての仕事を続けろというがリーはその純真さから頑なだった。自分が宣伝した飲み物で健康被害がでることが耐えられなかった。
影響力を持ったリーが記者の質問にそう答えると、その会社の全商品の売り上げ、しまいには株価にも影響がでたのだった。
これまでリンゲーサン、リーに屈辱を受けたり、不利益を被った三人。
ジョン、スタイリスト、社長は共謀して彼に復讐を決意するのだった。
そして、
彼は――
なるほど確かにこれは”インド映画”の集大成である。。。のか?
もうね。とにかく言いたいのは「途中で入るCM混じりの歌と踊りがマジで長い」んよ。
この映画、三時間を超える映画なんだけど、たぶん一時間くらいはそんなシーン。
ああ、CMなのね。休憩かな? みたいなところもあればガッツリストーリーというか心情の描写もあってそこを見逃すとこの映画の根幹を逃してしまうみたいなところもあってもう大変よ。
もともとインド映画といえば歌と踊りというイメージがあったのだが、以前見た「めぐり逢わせのお弁当」とか全然イメージと違うやん! と思ったので、逆に今回バーフバリ2のような『歌と踊りと爽快感』を求めてこの映画をチョイスした。
というか上記2作のイメージが強すぎて映画の中に(劇中歌で)CMが入ってるのものすごく面食らった。劇中歌じゃないけどロッテのFitsまで流れたのマジでビビった。
このCMに関しては俺は冒頭に書いたようにインドの映画の立ち位置がある程度理解していたから受け入れられたけど、ほかの人はどうかな……
あと正直、前半は我々の求めていた『歌と踊りと爽快感』ではあったかもしれないけど、全体を通してみるとまったく違ったのを先に言っておきたい。
ここから先はネタバレよ。
さて。
この映画は主人公リンゲーサンの恋と栄進、そしてそれを嫉んだ者たちによる転落。その後の復讐を描いた物語である。
これ邦題の「マッスル 踊る稲妻」やパッケージでは全く読み取れない要素で、まーじでだまされた感がある。
いやいい映画だったと思う!
いい映画だったと思うけど俺たちが元々求めていたものではなかった!!
おいしいファストフード食いに行ったら、実はそれ前菜であとになってちゃんとしたコース料理出てきたようなようなそんな感じ!!
なんかその感想どっかで言った気がするな……まぁいいや。
ツイッターにポスターの見比べがあったので引用。
右が元のポスターである。
ね?
わかるっしょ?
ちなみに元の映画タイトルはアルファベット1文字で「I」だそうです。
ウィキペディアにその「I」に込められた意味とか書いてあったので、見終わった人、気になればそっち覗いてみてください。
最後に。
予告でも使われてるリーが獣に、ディヤーが天の使い?に扮する劇中歌のシーンは確かに彼らの心情とかを表す大事なシーンなんだけど……
やっぱり長いのよ!!!!!!!!!!!
ヤミノ君の評価
ストーリー・設定:★★★★☆(全体を通して振り返ると良い話だった。だけど見終わったときにどれくらい頭に残ってるのか。ラストシーンは痺れたけども!)
絵作り・演出:★★★☆☆(歌パート長すぎでは? お湯を沸かすところからペヤングが出来たんだけど)
演技:★★☆☆☆(メインの二人は悪くはないけど。けどこの映画多分演技はそんなに重要視されてない)
おすすめ度:★★★★☆(時間がとれるなら、一度見てみるのをおすすめしてもいいかな?)
今度は「ピザ!」っていうインド映画が気になるなぁ~~。
インド文化は本当に知らないことだらけで、そういった背景を知ると「ああ~」ってなることも多い
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