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前略 15歳の俺へ

前略 15歳の俺へ

マジな話、その道を選ぶのは辞めておけ。

信じるかどうかは知らんが、俺は20年後のお前だ。今俺は自分の人生を根本からやり直せる千載一遇のチャンスを得て、この手紙をお前に書いている。もしも俺が過去からやり直せるのだとしたら、お前が今立っている選択の岐路において他ならない。この手紙は俺が俺の過去を変えるためにお前に送るアドバイスであり、忠告であり、警告だ。


さて、今お前は若くして人生の岐路とも呼べる重大な決断を迫られているだろう。
はっきり言っておく、迷いがあるようであればその選択肢は選ぶな。

今のお前が自分の才能だと感じているそれは錯覚だ。お前は幼いが故の全能感にビギナーズラックが重なって、成功体験を得てしまった凡才に過ぎない。世界にはお前レベルの才能であれば掃いて捨てるほど居る。俺やお前のような凡人が血反吐を吐いてようやく乗り越えられる壁を、何でもないかのようにやすやすと超えて行ってしまう、そんな圧倒的な才を持ったやつらがやがてお前の前に現れる。

そこから先、お前の歩む道は茨の道だ。お前よりも才に優れ、環境に恵まれ、運を持ったやつらがお前の相手だ。お前は朝が来るたびにに自らの不才を実感し、夜が来るたびに自らの選択を呪うだろう。

お前は自らを知らず、敵を知らず、そして何よりも世界を知らない。

お前が努力だと思ってやっているそれは、はっきり言ってレベルが低い。才で劣り、経験で劣るお前が、頂へと至るためには数多くを犠牲にした努力が必要だ。お前がその道を選んだ時、お前は知らず知らずのうちに数多くの可能性を犠牲にする。この先お前に要求される努力は、文字通り血反吐を吐いて、それでもなお足りないのだ。お前は幾度となく挫け、幾度となくつまづき、幾度となく選択を呪うだろう。

俺からお前に言ってやれることはこれだけだ。

最後に、もしこれを読んでもお前の気持ちが変わらないのであれば、俺にその選択を止める権利はない。お前が自分の進む道の先を垣間見てなお、その選択をするのであれば俺はそれを祝福しよう。

お前のゆく道は地獄だが、そこに一輪の花が無いわけでは無い。尊い出会いや生涯の友、忘れがたい思い出がその道には無数にある。そしてそれは、無味乾燥な日常では決して得られないものだ。

どちらを選ぶにせよ、お前の人生だ。他ならないお前が選べ。

お前のゆく道に幸多きことを。その道を俺は祝福しよう。

草々

追伸
お袋の事は大事にしろよ。


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