闇鍋プロジェクト

闇鍋プロジェクトとは、小説に興味を持った同士が集い、互いに切磋琢磨して、より高度な文章…

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闇鍋プロジェクトとは、小説に興味を持った同士が集い、互いに切磋琢磨して、より高度な文章力を獲得しようという試みです。

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闇鍋プロジェクトについて

始めまして、闇鍋プロジェクトの広報担当です。 闇鍋プロジェクトとは、小説に興味を持った同士が集い、互いに切磋琢磨して、より高度な文章力を獲得しようという試みです。 現在は、 ・シェアワールド企画(企画段階) ・作者人狼企画(毎週開催) を実施しています。 この度、Noteの開設に至ったのは、 作者人狼(持ち寄った短編小説を作者を伏せて品評する企画)に 寄せられた短編小説を投稿し、さらに多くの方の目に留まることで、 より大きな改善効果を得られないか、と考えたからです。

    • 第六回闇鍋作者人狼 8/30(日)開催回

      こんにちは。 闇鍋プロジェクト広報担当のXNicholasです。 この記事では、第六回参加作品を投稿する前に、開催概要をご紹介します。 前回からの変化メンバーの変化はありますが、他は特にありません。 参加者一覧(順不同)XNicholas、さざめき、日々鷹、音屋さばちゃ 参加作品リスト参加者4名で、4作品です。  ・浦島太郎は玉手箱にアインシュタインの夢を見るか      ・怪しい封筒  ・最後の時間  ・呪いの手帳 全作品の投稿後、総評の記事として、作者名とあとがき

      • 第五回闇鍋作者人狼 総評

        「ああ、俺、お盆のつもりで書いたんじゃないんだよな」 こんにちは。闇鍋プロジェクト広報担当のXNicholasです。 第5回の全6作品を投稿しました。お読み頂けたでしょうか? この総評記事では、作者名を公開するとともに、 私の主観で総評を述べていきます。 最後には各作者から寄せられたあとがきを掲載しますので、是非とも読んで頂ければと思います。 作者名公開まずは作者名から公開。  ・てんし-とおぼえ/音屋さばちゃ  ・ラーメン屋の話/日々鷹  ・ルール/ksin  ・人の

        • 冷たいほうじ茶

           茹だるような暑さに汗を拭いながら顔を上げれば、陽炎が信号機の赤を歪めている。  しかし、盆休みになっても休日出勤とはやるせない。一日とは言え、誰もいないオフィスで仕事するというのは、やる気を削がれるものだ。  ましてや、いつもなら社食を使ってるというのに、休日だから閉まっているときた。暑い中、コンビニまで昼飯を買いに出なければならない。  日陰のない交差点で呆然と立ち止まっていると、ふと、焦げ臭いような……でも懐かしく感じる匂いが漂ってきた。  懐かしさの元は何だ、と思い振

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        闇鍋プロジェクトについて

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        • 闇鍋Project作者人狼 第六回短編集
          1本
        • 闇鍋Project作者人狼 第五回短編集
          9本
        • 闇鍋Project 作者人狼短編集
          32本
        • 闇鍋Project作者人狼 第四回短編集
          8本
        • 闇鍋Project作者人狼 第三回短編集
          6本
        • 闇鍋Project作者人狼 第二回短編集
          11本

        記事

          祖父の家

          広大な畑にポツンとたつ家 私は久々に祖母の家に来ている。 こんな早朝でも、農家の祖母なら起きているだろう。 私は玄関への足を進め、扉に手をかけた。 「ガタ、」 閉まっている。 そういえば、2年前から起きていても、正面玄関を開けるのは7時以降だったな。 裏口に周るか。 生い茂る植物を横目に、裏口に周る。 「ざあー」と窓から、洗い物をしているであろう音が聞こえる。 「僕だよー、開けてー」 「なんだい、誰だい?」 「僕だよ~、開けてー」 「なんだい、太郎かい」 「そうだよー、開けて

          人の夢と書いて「儚い」という字となる

           世界は「儚い」に満ちている。  例えば、道路脇に咲いた一輪のタンポポ。排ガスにまみれてもなお、凛々しく力強いその佇まいから力を貰った人も多いことだろう。生きるための土壌が減っていく中、奇跡的に芽吹いた命。逆境にもめげずに逞しく生きている。やがてその花は白い綿毛に覆われ、次の命へと繋いで行くのだ。その姿はどこか、旅立つ種たちが、どうか自分と同じような境遇にならないようにと、吹く風に精一杯の願いを込めているようにも見える。  例えば、講義をサボろうと策を弄する大学生。悪友た

          人の夢と書いて「儚い」という字となる

          ルール

          「お前、赤信号渡ったらしいな。地元じゃ有名人だぜ。」 前からうざかった地元の奴がいつにもなくうざい事を言ってくる。軽い殺意を覚えた。 いつからこんな事になってしまったのか分からない。誰もルールを破らないのだ。あの横柄そうな奴の運転する車は歩道の前では必ず一時停止する。いつもならクソ迷惑な所を渡ろうとする老人たちは誰にも迷惑をかけずに白く塗られた歩道の上しか歩かない。何もかも気持ち悪い。 少し前までみんながしれっと破っていたルールを誰も破らなくなったのだ一体なぜこんな事にな

          ラーメン屋の話

          ラーメン屋に行くのが趣味である。自宅の周りにある有名どころは大体2年ほどかけて回り切り、隣町のラーメン屋でも噂を聞けば居ても立っても居られなくなり、ついつい足を延ばしてしまう。魚介、豚骨、博多、家系、喜多方……簡単にカテゴライズするだけでも多くの種類が上がり、同じ味の店は一つとしてない。ラーメン屋と言うのは書くも魅力的で個性的なのである。 ラーメンの魅力についてはここで語りつくすには勿体ないので、違った視点からの話をしよう。ラーメン屋の裏の顔、サイドメニューについての話であ

          ラーメン屋の話

          ____とおぼえ

                         おれは柵を飛び越えた。そこまでは勢いよくできるものだ。そして、そこ知れぬ不安と、微妙な期待が襲ってくる。                              現実世界に何かを望んだおれが馬鹿だった。誰も彼もがおれに劣等感を植え付ける。その劣等感は自分を勝手に蝕んで、精神に反吐を突きつけ、心臓に針を突き立てた。 最高だった思い出はない。おれはだからこそここに来ることができた。ここに来てそして、最後の一歩というところまでやってきた。      

          ____とおぼえ

          てんし-

          ねえ、そこで何をしているの?                                                      まあ何をしようとしているかくらい分かっているんだけどね。                                                                                                                                           でも君の足

          第五回闇鍋作者人狼 8/22(土)開催回

          こんにちは。 闇鍋プロジェクト広報担当のXNicholasです。 この記事では、第五回参加作品を投稿する前に、開催概要をご紹介します。 前回からの変化先週は参加していた木常月氏、さざめき氏は今回不参加です。 入れ替わりで第二回に参加していた、たい氏、momiji氏が久しぶりに参加します。 他は前回と同じメンバーが継続して参加し、併せて6名での開催となりました。 参加者一覧(順不同)XNicholas、さざめき、日々鷹、音屋さばちゃ、ksin、momiji、たい 参加作品

          第五回闇鍋作者人狼 8/22(土)開催回

          第四回闇鍋作者人狼 総評

          「あー、悪魔は出したかっただけだね」 こんにちは。闇鍋プロジェクト広報担当のXNicholasです。 第四回の全6作品を投稿しました。お読み頂けたでしょうか? この総評記事では、作者名を公開するとともに、 私の主観で総評を述べていきます。 最後には各作者から寄せられたあとがきを掲載しますので、是非とも読んで頂ければと思います。 作者名公開まずは作者名から公開。  ・ギャルゲーは簡単/XNicholas  ・シャボン玉/ksin  ・瓦礫の中で/音屋さばちゃ  ・修繕/さ

          第四回闇鍋作者人狼 総評

          二度寝

           窓から差した光の一筋が、飲み残しの水を入れたグラスの中で跳ね回って、テーブルの上に陣を描いた。  波打つ光の円は、規則的に、波打つようなリズムで、イバラのようにわたしの周りを囲んでいく。  わたしはその中を歩いている。光の筋が幾重にも輪になってトンネルを作る。そしてトンネルの中を歩いているわたしに、外から光が射している。  半円のアーチを作る光の筋は、いつしか本当のイバラになっている。その葉や蔦の間から光が射す、眩しい、と思う。  わたしは先程まで光の筋の中を歩いていたこと

          前略 15歳の俺へ

          前略 15歳の俺へ マジな話、その道を選ぶのは辞めておけ。 信じるかどうかは知らんが、俺は20年後のお前だ。今俺は自分の人生を根本からやり直せる千載一遇のチャンスを得て、この手紙をお前に書いている。もしも俺が過去からやり直せるのだとしたら、お前が今立っている選択の岐路において他ならない。この手紙は俺が俺の過去を変えるためにお前に送るアドバイスであり、忠告であり、警告だ。 さて、今お前は若くして人生の岐路とも呼べる重大な決断を迫られているだろう。 はっきり言っておく、迷い

          前略 15歳の俺へ

          修繕

          優しいけれど、どこか不思議な感じのする彼女が好きだった。 「この子、タロちゃんっていうの。私が一歳のときから可愛がってるの」 そういって見せてくれたクマのぬいぐるみは、シミ一つなく、一目見て古いものとは思えないほどだった。今でも売っているほどの、ブランドもののロングセラーだとは言っていたけど、それにしてもここまで色あせないのはどういうことだろうか。 よく見ると、ところどころに自分で施したであろう縫い目があって、彼女の物持ちの良さと、ぬいぐるみへの深い愛情を感じさせた。 「シ

          瓦礫の中で

           瓦礫から顔を出して周囲を伺う。気色悪いゾンビどもの気配はない。ぼくは倒れた冷蔵庫に近寄り、中を見る。どれもこれも腐っていてなかなか食べられたものではない。ため息が溢れる。拠点にある食べ物はあと二日も持たない。腐りにくくて、腹持ちするものを早く見つけなければ。 「あいつは、死んだよ」  昨日、紗奈は釘バットを引きずりながら、無表情で呟いた。友人の死の知らせを聞くのも何回目だろう。あいつらの仲間になったやつも、ぼくらがとどめを刺したやつもいる。  彼女は、最後の話し相手になった