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<推薦メッセージ>映像制作で育む、自己表現と成長の軌跡:不登校と発達障がいを抱えた子どもたち

F.ラボでは、プロに学ぶ映像制作を活用した授業プログラムを提供しています。現在、小中高大や特別支援学級の他、フリースクールや塾など多数の教育機関で導入をいただいております。

その中でも、長野県にあるフリースクールOZ Fieldは、2021年の開校以来のお付き合い。過去にもF.ラボのnoteで紹介をさせていただきました。

今回、OZ Fieldで支援員を務める米持先生から推薦メッセージをいただきましたので、紹介いたします。


「いいね。Sくんらしいね。これ残そう!」12月の映像授業での一コマ。Sくんの強いこだわりに対してのカントクのコメントです。
 
今年のテーマは「二十四節気 七十二候」。
身の回りの光景や事象から季節の移り変わりを目で見、耳で聞き、心と体で感じたことを、映像を通して伝えたい人に伝える活動をしています。Sくんは晩秋の落葉を歩く音、初雪を踏む音を「音」をキーワードに季節の移り変わりを表現しました。カットの構成上、どちらかを削るか残すかの協議の末、両方残そうとしたカントクの一言でした。
 
小学3年生のSくんが映像授業に参加するようになって日は浅い。小学2年から不登校になり、ASD、不安症の診断がつきました。OZ Fieldでは個室で1時間を過ごすプログラムからスタートして1年が過ぎようとしています。「安全・安心」の場を確認しつつ、外界の刺激を受け入れ、点を描き、少しずつ線としてつなぎ、やがて面を創り上げていく作業の途中にいるSくんは、ガラス細工の心を持って過ごしています。「Sくんらしくていいね」とカントクから本人の願いや想いに寄り添い、カットを肯定してもらったことで、「こんな自分でいいんだ」や「もっとこうしてみよう」とやる気をのぞかしています。1年前のSくんからは想像できない姿です。

子どもたち一人ひとりと向き合うカントク

OZ FieldにはSくんのように様々な生きにくさを感じて今を生きている子どもさんが通ってきます。どの子どもさんにも技術面に加え「ここ、いいね」と温かく伝えていただいています。年2回の保護者と一緒の発表会では、保護者にも子どもさんの表現のすばらしさを伝えていただき、みんなで子どもさんを育てる温かい場所になっています。
 
学校現場では、年々増加する不登校や発達障がいのある子どもさんへの対応が喫緊の課題となっています。先の見えない不安を抱え、自信をなくしている親御さんや子どもさんに対して、様々な角度からのアプローチが必要であると考えます。

台本作成、撮影、編集、全て子どもたち自身が行います!


OZ Fieldでの映像授業の実践は、撮影・編集などの技術の向上等の目に見える力に加え、集中力、観察力、自己表現力、自己肯定感など、目に見えない力の育ちの大きさに目を見張り、感動します。特に不登校や発達障がいを抱えた子どもさんにとって、この力の積み重ねこそ、自分を支え、自分らしく生きていく力につながると信じています。
 
映像授業は映像授業に留まらず、ここで得たかけがえのないもの、人、ことは時代が変わっても変わらない価値を与え続けてくれることと思います。映像というすてきな時間に出会えたこと、そしてすばらしいカントクに出逢えたことに感謝し、子どもさん達の「自分づくり」を精一杯応援し、私たちスタッフも子どもさん達に負けないよう「自分みがき」をしていきます。


米持絹子(よねもちきぬこ)先生
フリースクールOZ Field支援員


1954(昭和29)年、長野県北部の山間地、現・飯綱町生まれ。教員としてスタートした初任地の小学校でダウン症候群のAくんと出会い、特別支援教育に関心をもつ。その後、養護学校(知障・病弱)、盲学校、ろう学校に籍を置き、管理職も含めて教員生活の22年間を特別支援学校で過ごす。

長野県教育委員会事務局指導主事時代では職員研修担当として「総合的な学習の時間」や初任者・十年経験者研修等の企画・運営に携わる。また上級教育・ガイダンスカウンセラーの資格を活かし、学生や教育・福祉関係機関等への授業や講演の講師を務める。日本医師会長・文部科学大臣表彰等、各種表彰を受賞。退職後は福祉の現場で未就学や学齢の子ども達に学び、現在に至る。



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