実践例:北鎌倉女子学園中<編集~発表編>
北鎌倉女子学園(中2)の「先進的な学びの時間」(週2回、計3コマ)での実践例を紹介しています。
準備編、撮影編に続いて、今回はいよいよ<編集~発表編>です。
編集には8コマの授業を使いました。
他の授業や生活に支障のない範囲で課外の作業を認めたので、グループによってはプラスアルファの作業時間が掛かっていると思います。
セットアップをキッチリ
撮影が終わって、いきなり編集作業には入らずに、まずはその準備です。
改めてサンプル映像を観ました。
この段階でようやくドキュメンタリーの完成形のイメージが沸いてきたのではと感じました。
続いて、
①実際の撮影素材を観て、構成表の見直し
②タスク整理
③スケジュール確認
を行います。
編集作業は、ついつい没頭してしまいがちなので、このようなセットアップをキッチリ行います。
そして、毎回、進捗確認をしていきます。
インタビューの取捨選択
5分の作品にするためには20~30分のインタビューをぐっと圧縮しなければなりません。
そのために、テーマに沿った取捨選択が必要なことを伝えました。
生徒はこの作業に一番難航していたようです。
いい答えを引き出すためにいろんな角度からさまざまな質問を投げかけているからです。
音楽には権利があることを知る
BGMは音楽のサブスクリプション・サービスを使いました。
膨大な楽曲の中から、作品にあったものを選曲します。
さすがにこれは楽しい作業だったようで、とても盛り上がっていました。
もちろん、教育目的、しかも授業内での使用なので、既成の楽曲を使っても問題はありません。
しかし、ここでは音楽には著作権・著作隣接権があって、それを無断使用することは権利の侵害になることを学びます。
初めて観る人が理解できるように
だいたい形が出来てきたところで、中間発表をしました。
映像の世界では「プレビュー(試写)」といいます。
ここでのポイントは、第三者を入れて、客観的な評価を受けることです。
その上で、いくつか修正のコツを教えした。
例えば、
・テロップの表示時間は初見で3回ぐらい読める程度にする
・テロップの「、」は半角スペース、「。」は全角スペースに置き換える
・音楽は全体の1/3ぐらいの時間にする
などです。
ここで身につけて欲しいのは、「初めて観る人が理解できるための視点」です。
日常の娯楽と一線を画す
プレビュー段階では果たしてできるのだろうかとハラハラさせられましたが、さすが、踏ん張りを見せてくれて、全7グループが無事完成!
校長、教頭、学年主任の先生方、さらに外部のゲストもお招きしての立派な発表会でした。
おかげさまで、みなさんからも取り組みに対して高い評価をいただきました。
作品としてもしっかりした出来で、YouTube動画のような日常の娯楽の延長上にはなっていなかったことに安心しました。
「映画みたいなエンディングにしました!」という生徒のコメントが嬉しかったですね。
完成作品: 浄智寺
完成作品: 常楽寺
情報を発信する立場を体験
最後に私から総括をしました。
その中で強調したのは、ふだん、ネットやテレビに氾濫する情報を受けるだけの立場から、今回、みんなは情報を発信する立場を体験したことです。
そこには100%の事実がないということ。
いわゆる、メディアリテラシーですね。
それもまたこのプログラムで学んでもらいたかったことです。
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