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【➁自己破産時の実務マニュアル】

前回の『①会社倒産時の実務』に続いて、連帯保証人である経営者が「自己破産」する際の実務です。重ねて皆さんはご参考にされません様に(^_−)−☆

会社への融資の「連帯保証人」となっている社長も、現実的に返せなくなれば「自己破産」を選択せざるを得ない。「死んでお詫びをしろ!」とか「お天道様の下を歩くな!」という問題では無く、ここでは破産処理の段取りを説明していく。


①代理人弁護士に対して、債権者と債権額、自分の資産の中から換金して債権者に払える(配当できる)ものをリストアップする。

✅個人名義の普通預金・定期預金・有価証券を換金

→これは2年間遡って調べられるため、破産の直前に現金化したり、家族の口座へ移した場合『資産隠し』として逮捕される。そしてその家族には返還義務が生じる。申告する銀行口座を隠しても、裁判所権限ですべてバレる。私の場合は妻の口座もすべて通帳の提出を命じられた。(但し、ビット◯インまでは…?弁護士談)

もちろん個人名義の家や土地建物、車や貴金属、会員権、その他の「金目のもの」も(価値にもよるが)すべて没収されて換金する。まあこれは当然だと思う…。

②自己破産後の暮らしを立て直して、社会復帰させる『破産法』の趣旨のもと、社長とその同居家族が必要な生活費の明細を3ヶ月分提出させる。
差押えられる現金も、99万円までは手元に残せるのも「3〜4ヶ月の内には、職に就いて収入を得なさい」という意味合いからである。(そうもいかないのが現実💦)


☝️まずは会社の倒産処理を優先するため、社長個人の自己破産は後回しとなる(私の場合は3ヶ月後〜)

③さて、資料が揃った所で裁判所から「お呼び出し」が掛かり、代理人弁護士と共に状況を説明に行く。
弁護士からは「聞かれたことだけ答えてください」との指示。3分も黙っていられない私にとっては拷問に近い…。

→しかし警察の取り調べではないので、資料の確認と多少の質問のみ。会社の連帯保証人としての破産を裁判所は責めることはしない。(責めるとすれば債権者)

④会社の債権者集会に遅れること3ヶ月、今度は個人のそれが始まる。
債権者はほぼ同じなので、会社と個人を連続して審議していく。しかし会社の時間が終わると、金融機関の参加者はすぐ帰っていく。資産のない個人など、そもそも相手にしていないということw

⑤会社の破産処理終了に併せて、個人の『免責』許可が降りれば全て終了!(会社とは関係ない個人の自己破産は、換金する資産が何もない場合、債権者集会もなく一回の審査で即終了)

✅連帯保証人の社長が裁判所や債権者に許しを乞い、もう一度頑張って生きていこうと再起を違う!
→家無し・金無し・車無し・信用無し・クレカダメ・退職金無し・失業手当無し・就職あっせん無し…。当然とも言えようが、倒産社長の再起は険しいものとなる。7割以上の人がその後は生活保護でひっそり食い繋いで生きていくという。


👤あれほど雇用を生み出し、税金や社会保険料を払い、会社が潰れたら身包み剥がされ、家族共々世間の批判に耐えながら、その人生を終える…。これが日本の「倒産社長」の姿である。ここにはSDGsの精神は無い。
私は若い人に軽々しく「起業しよう!挑戦しよう!」なんて言えない。

私など本当に恵まれていると痛感する🙏🏻
身近な倒産社長は一人も地元に住んでいない。

それでも法律でもう一度頑張る機会を与えてくれるなら『打つ手は無限』にある!上手いこと破産して逃げ切る術などないが、袋小路に迷ったら、私がいくらでも相談に乗りますよ👍【経験者より】

※ 皆さん覚えているだろうか?
私の会社が倒産したのは、ちょうど成人式直前で逃げた「晴れ着屋の社長」や、旅行代理店の「テルミクラブ」の倒産と同じ時期だった。あの姿を見て「逃げちゃダメだ!辛くても」と思ったおかげで、なんとか今の私があるんですm(_ _)m



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