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親魏倭王の小話集

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#即身仏

民俗学小話集③

民俗学小話集③

【赤飯と魔除け】
その昔、ある男が山道を歩いていると、「首吊らんか」という声がしたので、男は「帰りに吊るから待っててくれ」と言ってしまった。目的地についたのは昼で、そこで赤飯をご馳走になった。帰り、声がしたところに来ると、別の人が首を吊っていた。以後、赤飯は魔除けになると言われるようになった。
奈良県の伝説である。私も母から「赤飯は見逃すな」と言われて育った。赤飯は魔除けになるので、振る舞われたら

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民俗学小話集⑥

民俗学小話集⑥

【即身仏、舜義上人】
即身仏の1体、舜義上人は、鎌倉・宝戒寺の住職を勤めた高僧で、隠居先の茨城県妙法寺に祀られている。入滅後、阿弥陀如来の石仏の胎内に納められ、阿弥陀堂に祀られていたが、ときの住職の夢枕に立ち「我再び世に出て衆生を救わん」と告げた。そこで棺(石仏)を開けてみたところミイラ化していた。入滅から78年後のことである。上人は入滅時に「五辛を絶ち、南無と唱うれば頭痛を治さん」と遺言したとい

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即身仏についてわかったこと

即身仏についてわかったこと

即身仏について調べていたらわかったことをいくつか書いてみる(堀一郎、戸川安章、松本昭、松田壽男の各先生の研究に基づく)。

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即身仏を志した行者は一世行人という下級の行者で、火の管理をするため生涯妻帯禁止(ケガレ忌避のため)、ほぼ寺院の雑用係で、出世しても本山末寺の行人寺の住職にしかなれなかったとなかなか厳しい生活。しかし、即身仏を志すと上人号が授与されるなど、格段に待遇が上がったらしい(命と

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