見出し画像

やさしいやさしい「ホームにて」

やさしさに包まれたなら」ではユーミンについて語ったが、同時代を生きたシンガーソングライターとしては、最初に「時代」を聞いた時にこの人は天才だと感じた中島みゆきが、ユーミンの陽に対して陰だなとよく考えた。実際後に工藤静香が暗い中島みゆきの大ファンだと言って中島みゆき作詞のヒットを連発している。井上陽水が仕事が無い時に安全地帯に救われたと言っていたが、中島みゆきにとっての安全地帯は工藤静香だったように思う。

中島みゆきの歌はとてもやさしい。一度聞くだけで何を謳っているかすっと入ってくるのは、歌詞の意味通りに区切って素直にメロディーに乗せているからだろう。ミリオンセラーとなった「地上の星」について、和田アキ子が『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』の主題歌だからと羨ましがっていたが、中島みゆきの歌が番組をヒットさせた。名画に名曲有りも逆で名曲が名画を育てる。番組最後に余韻を残す「ヘッドライト・テールライト」が至極だ。

その至極の「ヘッドライト・テールライト」を聴いてすぐに思い出したのは中島みゆき初期の曲である「ホームにて」だ。ふるさとに帰りたくても帰れない人に寄り添うとてもやさしいやさしい曲だ。こんな言葉は駅長でなくてもしゃべらないだろう「ふるさとへ向かう最終に乗れる人は急ぎなさい」は中島みゆきの胸の中だけに響いたのだろうか。プロジェクトXに取り上げられるような仕事にようやく携われたなと感じた頃番組は終了してしまった。

その仕事はデジタル放送をデジタルのまま記録するブルーレイ初号機の設計たが、ピークは音声だけCD同様にデジタルだったアナログBSの設計だ。BSすなわち衛星放送はNHKとWOWOWのみで、当初話題になったのは大谷翔平に繋がる大リーグに初めて挑戦した野茂英雄ぐらいだった。それが変わったのが「冬のソナタ」である。BSなんてスポーツ中継を楽しむおじさんだけだったのが、ドラマを楽しむおばさんもこんなに見てたと感激だ。

当時のワイドショーでは「冬のソナタ」のテーマ曲が流れると視聴率が上昇するほどの大ブームになったのだが、最初に「冬のソナタ」を放送したのはNHKの衛星放送だ。このブームでようやく世の中にBSが受け入れられたと喜びがこみ上げた。会社は商品分析に商品ジャンル毎の売上を調査する。単価アップのためVHSからより高画質なS-VHSへシフトを狙ったが、S-VHSよりもBS内蔵VTRが上回って評価されたのもいい思い出だ。

#はたらいて笑顔になれた瞬間

この記事が参加している募集

思い出の曲

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?