1年4か月で大手企業を辞めて2人だけのベンチャーに飛び込んだからこそ思うキャリアの選び方__14_

「悩める時間があるだけ贅沢だ」という言葉は、ヒトをうつ病に陥れかねない。

この記事を何人の方が読んでくださるかは分かりませんが、読者の方の目の前に自分と同じようなうつ病で苦しんでいる人が現れた時、これから書くようなコミュニケーションを取ると精神的に落ちている人をさらに突き落とすことになってしまう可能性があるということを知ってもらえたら、これから先、少しでも救われる人がいるのかなと思い、今回noteに書いてみようと思います。


まずですが、僕は25歳時点で働き始めてからうつ病を2度経験しています。

どちらの時も、タイトルの「悩める時間があるだけ贅沢だ」という言葉をかけられて「悩んでしまう自分は普通じゃない。努力不足だ。だからもっと頑張らねば」と、精神的にキャパオーバーなのに自分をさらに危ないところへ追い込んでいたなと、今になって振り返ると思います。

ベンチャー企業だったので、環境的にもなおさらそういう空気感を感じていたのも大きかったのかもしれません。

後述しますが、結果として「こんな自分、誰に必要とされるんだろう?死んだ方がいいのかな?」と思うところまで至りました。

「甘えだろ」「悩めるくらい健康な身体があるじゃないか」という意見はあると思いますが、そのような意見に対して、当の本人たちは「言いたいことは分かるけれど、今まで育ってきた思考回路的に"悩まない"ことができないんだよ」という気持ちを持っているので、今回はそのことについて少し書いていこうかなと思います。


なぜ悪意ない言葉で追い込んでしまうのか?

さて、このnoteのタイトルの言葉は一般的な人の感覚、まして体育会系的な感覚の人であれば悪意はなくてもついつい出てしまうような言葉なところが非常に厄介なのです。

この言葉を口にした当人たちは「こいつを鬱にしてやろう」なんて思って言っていた訳ではないのも理解していますし、僕もこの記事で彼らを罵りたい訳でもないのです(今回は「この言葉によって傷つく人がいるのだから、その事実だけは知っておいてほしいと」いう想いから筆をとっています)。


そんな悪意も何もないところからポンっと出てきたこの言葉によって、自分のケースではありますが精神的に落ち込んでひどい時は、「普通の人が悩まないところで悩む自分はやっぱりおかしい。

これだとどこへ行っても結局迷惑がかかる訳だし、だったら死んだ方がいいんじゃないか?」と駅のホームに立つ度に線路を見つめては、ホームにやってくる電車とそれに飛び込む自分を脳内で衝突させてグチャグチャの状態にして、数秒後に「ああ、何を考えていたんだろう」と我に戻る日々を過ごしていました。

自分がここで自殺しなかった理由は最後の方に書きますが、人によっては本当に飛び込んでいたかもしれません。

そう考えると、この言葉で誰かを死に追いやる可能性があるのではないのかなと個人的には経験上どうしても思ってしまいます。

では、なぜこのような言葉1つでこんなにも精神的に追い込まれてしまうのでしょうか?


当人は「真面目だから悩んでしまう」

うつ病になりやすい人の特徴としてこの「真面目な性格」が挙げられます。

真面目な人ほど集中して物事に取り組みますが、きちんと取り組もうとするからこそ、取り組めば取り組むほど「なんでこんなにも自分がこの課題をすぐに上手く解決出来ないんだ」という思考回路になるのです。

なので、タイトルの言葉をかけられると「そうか、普通の人はここで自分なんかとは違って深く考えたり悩んだりしないんだ。ということは、真面目にやってるつもりだけれど、もしかしたら真面目にやっていないから悩んでしまうのかもしれない。だとしたら、なんて自分は出来ない人間なんだろう」と感じて、どんどんネガティブになっていく訳です。

はたから見れば「そんなに相手からの言葉を深く受け止めなくてもいいのでは?」と思っても、これも真面目さが邪魔をして「相手があえて言いたくないことを言ってくれてるのに、適当に流すなんてありえない」と心の底から深く受け取ってしまうのです。

当の本人としては真面目に一生懸命取り組んで頑張るよう育てられて生きているので、周りが上手く流している事実を知ると「なんでそんなことができるの?もしかして自分だけが出来ないの?」と、さらに自分を追い込んでいく訳ですね。

この「真面目さ」の短所を理解しないでタイトルのような強い言葉を迂闊にかけてしまうと、当人たちは一気に気持ちが落ち込む可能性があるので、もし口にしそうになったら注意してもらえたらなと思います。

(※「なぜこんなに真面目な性格になってしまうのか?」に関しては、人によって様々な教育環境などのバックグラウンドが影響して一概に言えないので今回は言及しません。)


「悩める」のではなく「悩んでしまう」

本記事のタイトルにある「悩める時間があるだけ贅沢だ」という言葉は、うつ病になりやすい人からすると「悩める」のではなく「勝手に悩んでしまう」という感覚なので、上述の通り、本人は言われると非常につらいものです。

当人からしてみれば、悩みたくて悩んでいる訳ではありません。悩みを頭から遠くへ置いておくことができないのです。

とはいえ、それを言い張っていても仕方がないですので、このような状態である人は精神科のカウンセリングなどを始めとしたところでこうした思考を取り除いていくようにするのがいいかなと思います。

具体的には「認知行動療法」などで直していったりするのがオーソドックスなやり方ではあるので、周りで苦しんでいる人がいたら一度そのことを伝えてあげてもいいかもしれません。


なぜ実際に自殺するまでに至らなかったのか?

後述すると言って忘れていたのでこちらも記述しておきますね。

自殺に至らなかったのは自分の場合、母と父の影響だと言い切ることができます。

まず、僕は15歳の時に母を亡くしています。

超急性大動脈解離という即死的な形での死でしたので、朝に「行ってきます」と言って学校へ行き、下校すると朝まで元気だった母が死んでいるという、多感な年齢だったことも重なりトラウマ的な出来事でした。

そして、母が死んだことで父親は小さな会社の経営者でありながらも、仕事に家事にと(裁縫まで出来る人です)、自分と妹を男手一つで育ててくれました。

これらの経験から「生きたくても死んでしまう人がいること」「ここまで必死に育ててもらった命を手放すことは出来ないこと」が僕の考え方・価値観の根底に固く出来上がっていたので、うつ病になったものの死ぬというところまではいきませんでした。

そういったバックグラウンドがもし無かったら、今頃あの世に行ってたかもわからないと思うと、少しはラッキーだったのかなと思います。


否定的で強い言葉をヒトに浴びせてはいけない

この記事はつい相手が自分の思い通りにならないと強くいってしまいがちな人に読んでもらいたくて、非難轟々あっても構わないので書いてみました。

大変だとは思いますが、このような生真面目な人は上記のような心の持ちよう・思考回路で悩んでしまっているので、それを汲み取った上で言葉を選んで伝えてもらえたらなと思います。

当人が悲しいのはもちろん、マクロ的に見ても労働人口が減少する世の中で、そんな言葉一つでその労働人口も減ってしまうのはあまりにも勿体ない。

なるべく多くの人が少しでも生きやすく働きやすい世の中になっていければなと思います。

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