1年4か月で大手企業を辞めて2人だけのベンチャーに飛び込んだからこそ思うキャリアの選び方__17_

面接で「志望動機」を聞くべきか否か

こんにちは。今回は志望動機の是非についてです。

最近何かとこの志望動機についてTwitterがアツいですね。

https://twitter.com/yame2_recruit/status/1030049442882179072


さて、前回「採用ブランディング」について「企業側こそ自己分析をして自分が何者なのかを学生に示した方がいいんじゃなかろうか?」という記事を書いたわけですが、今回は学生の自己分析に対する人事側からのコミュニケーションについて書いてみます。

「志望動機をつくれない学生」は、悪いのか?

志望動機ってすごくシンプルに「他の企業とは違って、御社のこういうところがいいんですよね」「御社のこういうビジネスじゃないと自分のやりたいことってできないと思うんですよね」ということを伝えるものに他ならないものです。

その違いは、他社との社風の違いや理念、はたまたビジネス上の優位性・差別化などにまで多岐に渡ります。


ですが、学生に対してその志望動機を明確に持たせられるくらいの説明を人事側は果たして出来ているのでしょうか?

もちろん、学生側も上記のような各社の違いを調べるよう努力すべきですが、悲しいことに現状の大学のシステムの関係上の問題で経済・経営・商学部などの一部の学生以外はビジネス等とは程遠い内容のみを勉強して過ごしてくるので、そもそも調べる要素すら全然分からない学生が多いのが事実です。

「利益率」や「差別化」をはじめとするビジネスマンとしては当たり前の言葉が分からないので、説明会で業界用語・ビジネス用語的なカタカナや数字を並べても8割くらいの学生はチンプンカンプンな訳ですね。

これは日々学生の相談に乗っていてもそう思いますし、現に僕自身が就職活動をしていた時もグループディスカッションをする際に隣の法学部の男の子が「PDCAってなんですか?」って言い出した時には「まじかよ...議論が進まないから帰ってくれないか...」と思っていましたが、今思えばある種しょうがない部分ではあったというようにも思えます。

※ちなみに「そうは言ってもそういう能動的に動いて色々調べられる優秀そうな学生が欲しいんだ!」という人事の方もいるとは思いますが、そういう優秀な子は残念ながら大手企業・有名企業に取られていってしまいがちですので、そうするとそもそもの採用目標数に達しない可能性が出てきます。

そんな誰もが羨む学生を取りに行こうとするとレッド・オーシャンですからね。基本的にはそこに執着するのはマーケティング的にナンセンスな気がします。


少し脱線しました。話を戻します。

その8割のチンプンカンプン学生の中には、たとえ今すぐに志望動機を練るための業界知識・ビジネス知識などが無かったとしても、あなたの会社に合う価値観や能力などを兼ね備えた人がいる可能性があるわけです。

正直、業界知識や専門用語は入社後の研修や実務の中で訓練されれば大体の人が身につけられる後天的なものです。

しかし、そもそもの人の性格や価値観といったものは先天的な要素の方が多いので、入社後に変わることはそこまで多くないのです。(もちろん変わることはありますが、それ相応の時間がかかります。)

たとえハイスペックな人材を採用したとしても、社風や価値観的なものが合わなければ辞めるのは時間の問題ですので、実はこの先天的なヒトの要素がかなり大事になってくるわけです。

以上から何が言いたいかをまとめると、「志望動機がうまく言えていないから」という理由だけで落としてしまっているケースがあるのであれば、採用すべきはずの人材を自分たちから取り零している可能性があり、もったいないのではないでしょうか?」ということです。


志望動機は「いくらでも嘘をつける」

正直、これをやっている学生は非常に多いです。

僕の大学時代の友達でも某大手生命保険会社に内定したあとに「よく内定までいけたなぁ!」と言ったら「面接の大半は嘘を事前に構築していってその通りに話しただけ」とニヤニヤしていました。

もちろん面接官側に相手の価値観や経験を原体験レベルまで聞き出してメモして、次の面接官にも同じくらい深堀りさせて面接の受け答えで齟齬がないかを確認するのもありですが、時間も人員も少ないのにそんなことやってたら企業によっては大変かもですね。


さて、ここで改めて言いたいのは、「言葉は嘘をつける」ということです。

たった300字のES、たった1時間の面接であれば、自分で作ったストーリーを空で言えるくらい暗記して臨むことで誰でもいわゆる「理想の学生」を演じることができますので、既存の手法に頼りすぎるのはいかがなものかなと僕個人としては思っています。

(※もちろん時と場合と目的に応じて既存の手法を取り入れるのはアリです。なぜ?を繰り返して嘘のつきようがない原体験をひたすら聞きまくるという企業の情緒性に偏重した面接方式ならあえて既存の面接でいく方がいいかも知れません)


再三になりますが、特に志望動機というものは企業を深く理解できる素養が無い学生がおいそれとすぐに持てるものではありません

「嘘をつく学生が悪い!」ではなく、「嘘をつかせないようにして且つ自分たちの求める人材かどうかを見極める選考」を考えることが、本質的な採用に近づく一歩になるのではないかなと個人的には考えます。


志望動機は「選考を通じてつくられていくモノ」

さて、上記を踏まえた上で、僕はこのように「選考を通じて企業理解を企業側から促していく方が良いのではないか?」と考えています。

学生側がうまく調べられない・ビジネスの素養や知識が無いのが前提であれば、企業側から歩み寄っていく必要があるのではないかなと。

だからこそ、とりあえず当たり障りの無い説明会やES提出・面接をするのではなく、その選考の流れの中で一貫して「その企業の"企業らしさ"」を学生へ訴え、「この企業は他社とは〇〇という点で違うような▲▲という特徴を持った企業だ」と認識させてあげる必要があるわけです。

選考でワークショップをやらせることでビジネスモデルの理解を促進している企業なんかもちょこちょこと出て来始めていますが、そのようなイメージ感ですね。

しいて言えばこれくらいした後で、最後に志望動機を聞いてあげるくらいにしてあげれば、学生の多くも志望動機を自信を持って話せるかもしれませんね。


こういうところからも前回の記事で書いたような「採用ブランディング」という考え方で選考をつくっていくと、各選考フェーズが相乗的に企業理解を深めさせることになるので、非常に効果的になっていきます。

どこの企業も選考で聞いているからつい聞いてしまいがちな「志望動機」。

意義次第なので、これを聞くことに正解も不正解もありませんが、本質的になぜ「志望動機」を聞くのか、改めて考えたいところですね。

----------------------------

採用やキャリアや生き方、その他もろもろ呟くTwitterもどうぞ!

Twitter:@yhkyamaguchi


サポートされた分、誰かをサポートしたいと思います。