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映画『浅草キッド』を観て

またまたNetflixの映画について書こうと思う。

劇団ひとり
が監督した『浅草キッド』だ。

劇団ひとりの初監督作品『晴天の霹靂』が面白かったので、今回も期待していた。

『浅草キッド』はビートたけしが描く同名の自伝小説が原作である。
彼の下積み時代を描く青春ドラマだ。
ビートたけしが深見千三郎の下で修行を始め、やがて芸人として頭角を表していく姿を描いている。

面白かったところ

1.役者の演技力

柳楽優弥扮するビートたけしは素晴らしかった。
よくあるビートたけしのモノマネではなく、自然な演技で、たけしの持っている迫力を感じた。相当な思いで役に挑んだことが伝わる。
そして大泉洋の深見千三郎も良かった。芸人としての佇まいがカッコいい。
その他に脇を固める鈴木保奈美、門脇麦、ナイツの土屋伸之など、キャスティングにセンスがあった。

2.深見千三郎とビートたけしの関係

そして、師匠と弟子の関係性がこの映画のいちばん面白かった点である。
この時代は浅草の演芸場が廃れ、テレビが隆盛を極める。ちょうどテレビが廃れ始め、YouTubeが活発になっている現在と似ている。

漫才とテレビを認めず浅草で舞台に立つ深見、浅草を飛び出して漫才コンビを組むたけし。
たけしは深見の下を破門になったが、テレビの世界で成功していく。
反対に深見の経営していた「フランス座」は潰れ、彼は没落していく。

それでも、たけしにとって深見千三郎は尊敬する師匠なのだ。
深見にとってもそれは同じで、破門になった後もたけしが立つ劇場に一升瓶持って「弟子をよろしく」と頭を下げて回る。

立場が変わってもお互いを想っている姿はまるで親子のようだ。

3.タップダンス

劇中で深見がたけしにタップダンスを伝授するシーンがある。大泉、柳楽共にタップの見せ場が用意されているが、どちらも素晴らしい。相当な練習を積んだんだろう。
このシーンも凄く好きな点だ。

残念だった点

主題以外のことが深掘りされていない

上記の面白かった点は、けっこうネットやラジオでも言われている。それだけでも観る価値はあると思う。

しかし、それ以外のことはさらっと描かれたり、そもそも描かれてなかったりする。
鈴木保奈美があっさり亡くなってたり、脚本家を目指していた芸人仲間のその後が描かれていなかったり。尺的な問題かもしれないが、もっと深掘りできれば更に良い映画になったと思う。

まとめ

映画を作るに当たって、劇団ひとりは「尊敬するたけしさんや他の芸人に恥ずかしくない映画を作らないといけない」という覚悟を持って作品に挑んだという。
その熱い思いは主演の柳楽優弥を通して凄く伝わった。

そして、繰り返しになるが、人間ドラマや役者の鬼気迫る演技は一見の価値がある。
私自身は2回も観ているので、オススメしたい。ちなみに2回とも泣いている。

しかし、そもそもビートたけしを知らないと面白さが半減するんじゃないかとも思った。
この映画は芸人界隈で評判良いが、若い子の感想はどうだったんだろうか?

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