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がん様々 19 対策も治療の1つ

がん患者による、がん患者のための、
がん治療対策マニュアル


3章 抗がん剤治療・後半戦

6 抗がん剤副作用の肉体研究

後半の抗がん剤副作用。5・6日目辺りから、副作用のオンパレードです。それも進化系副作用。
ベースになる身体が衰えれば、副作用もそれなりの変化をして現れてくるものです。でも、抗がん剤副作用経験はもうプロ並なので、メモからは余裕と無駄なく詳細な様子が受け取れます。

最後の抗がん剤治療の頃は、高齢者になるとこのような状態なのだろうなぁ、と想像できる身体になっていました。
実際にまだ高齢者経験はできていないので想像レベルですが、関節の動きも筋肉状態も反応も、一足早く、高齢者になった時の身体を実体験している感覚で、これもまた施術家の私にとっては大きな経験になっています。
実際に高齢者になったとき、「最近、衰えてきたな…」と思うのではなく、「そうそうこんな感じ、懐かしい」と思えるような気がしています。

一方で、脚だけが気圧が低いところにいるような膨張具合で、その上、重力を感じる浮腫み具合で、タップンタップンの締まりなく波打つ太もも。
これは機能低下によるものですが、これらの副作用で変身した身体も、細胞が生きていてくれる限り元に戻っていくのです。少しの名残りを感じつつ。

後半の抗がん剤副作用は、筋力低下との戦いでした。軽いサルコペニアに陥っていたと思います。この経験は、後に生まれる予防法や対処法の対策の道へと導いてくれました。
吐き気や皮膚対策は身に付いていたので、その大変さは無かった分、他の副作用研究を集中して行えました。

そして現在、この5年前の状態は回避できています。タップンタップンのカケラもありません。
まだ抗がん剤治療は続きますし、5年前には経験していない回数を受けるため、未踏の地に踏み入れる感覚で、今後も日々観察です。

抗がん剤は、後半はやらないと選択される方もいます。最初から選択しない方もいらっしゃると思います。
抗がん剤をやるべきかやらざるべきかを言いたいのではなく、“やる”を選択したならば、患者として自分の身体に責任をもって全うしたいと思っていました。

お陰で、“人に頼る” こと、“副作用は対策することでダメージを軽減できる”ことを知りました。

7 対策も治療の1つ

植物など命あるものすべて、栄養なくして生き続けることはできません。普通に生きていくエネルギーにプラスして治療のために使うエネルギーを思ったら、普通に栄養を摂っているだけではいられないことが想像できるでしょう。

栄養補給は、この後に行う手術や放射線治療時にも大きな助けになりました。

私の副作用研究は、すべてのタイミングがよかったように思います。
吐き気や肌の痒みがなかったら、「豚カツを食べる」ことに想像が繋がらなかったり、「タベモノ」を摂れていなかったでしょうし、ここに書かれた成果は得られなかったと思います。
最初から上手に乗り越えていたら、副作用がどんなものかをきちんと知ることができなかったでしょう。

どんなに知識や情報をもっていたとしても、何事も経験してみないと本当のところは分からないですよね。
知識や情報を仕入れることは大事なことだと思うのですが、抗がん剤副作用のように当事者の体調に影響が起きると、気持ちはそちらに流されやすく、余裕がなくなりやすく、治療の先に起きる事態の対処への想像はなかなか働きにくくなるでしょう。

だからこそ、現状の副作用対策は発展途上であることを強く感じ、自ら研究していくことに心踊ったのでした。

病院は丁寧に説明をしてくださいます。ですが、病院がくださる情報だけでは、経験しなくてもよい副作用を経験するとも思っています。
研究の視点で言うと、治療が始まる前から対処できていたら、“しなくてもよい副作用の経験”はできなかったのです。

養ってきた副作用対策の知識でこれから治療をしたらきっと、研究してきた以上に上手に乗り越えられることでしょう。
何より、私の治療を見届けてくださっている方々から、がんになるのが怖くなくなった、という声をたくさん聞くようになったことが、私の当事者研究の貴重な成果です。

ということで現在、その恩恵を自分自身でいただき、治療生活を送っております。


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