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あの苗がこんなに立派になりました。トウモロコシ収穫体験。

ほんのり曇った空模様の中、6時半頃に安藤農園さんに到着。こんな早い時間に誰かのお家にお邪魔することがあまりなかったからか、なんだか新鮮で人も少ないこの時間は非日常感があってそわそわする。

どうしてこんなに早い時間に農業体験を企画したのか。というと「実際に生産者さんが、働いている時間に近づける」という目的がありました。

もちろん日中の暑さを考慮してということもあります。開催時期が6月下旬ということもあり、9時を過ぎれば気温は27から30℃。作業に不慣れな私たちでは、到底厳しい体験になる。そんなことで今回は早い時間での農業体験。いつも食べている野菜がどんな環境の中で育って収穫されているのか、「生産者さんの視点になってもらおう」という意図もあり、今回は早朝からの農業体験となりました。

安藤農園さんにお邪魔します。

「このまま日差しがきつくならないといいな。」

なんて考えながら、安藤さんを探して敷地の中へ。作業場に伺うと中にはせかせかと働く安藤さんの姿が見えた。聞くと安藤さんは、朝5時くらいに収穫して房の駅に納品するトウモロコシを詰めているところだった。

現在の時刻は6:40前ほど。そんなに早くから働いてたのかと驚くばかり。なんでもトウモロコシは、夜に糖を蓄える性質があるので朝採ると甘く美味しいと言われているそうです。

なんでもトウモロコシを専門的にしている農家さんは、午前2時とかもっと早い時間から動いているとか、収穫の場面という今まで知らない事まで、お話を伺うことができた。美味しい状態で出荷しようとする、生産者の方々に頭が下がり、それと同時に美味しく実ったトウモロコシを食べたいという思いが、自分の中でさらに強くなって行くのがわかった。

素敵な時間になる予感。

集合時間に近づくにつれ、続々と一般参加を希望していただいたお客様の車が到着し始めた。

到着されたお客様にご挨拶に伺うと、お客様は帽子や飲み物を持ってもうすでに準備万端!わくわく感がスタッフにも伝わってきます。中には、以前の野菜苗体験に参加してくれたお客様もいらっしゃいました。

お客様のご様子から、始まる前にもかかわらずこの企画を楽しみしてくださっていることが伝わってきて、この瞬間を私たちのお仕事が生み出しているのだと思うとなんだか誇らしい気持ちになります。体験が始まったらもっと楽しい時間を提供してもっと楽しんでほしいと心から思った瞬間で、それと同時に参加してくださるお客様に感謝の気持ちが溢れてきました。

生産者さんのお話から視えること。

全員が安藤農園さんに集合し、安藤さんからトウモロコシの説明をお聞きする時間がありました。忘れがちだけど安藤さんの「トウモロコシは穀物です」という言葉に、確かにそうだったとトウモロコシの認識を改めた。

そしてトウモロコシは生でも食べられるんだとか。安藤さん自身は、加熱調理されているトウモロコシの方がおいしくて好きなんだそう。

「生で食べたことは…さすがにないなあ。」

新しい食べ方を聞くと食べてみたくなるのが食いしん坊の性…。生で食べても美味しいのは、いろんな種をつくるお店屋さんが甘くて美味しいトウモロコシになるように、品種改良を頑張った結果なんだと安藤さんの説明してくださった。野菜は育てる生産者さんだけじゃなく、その前の段階からたくさんの方が関わって、たくさん努力した結果、美味しものができているんだと見えなかったものが見えてきた気がしました。

ハウスの中で安藤さんからのお話を聞く。

そして今回収穫するトウモロコシは、『ゴールドラッシュ』という品種。

房の駅でもたくさんの品種があり、ドルチェドリーム、サニーショコラ、ミルキースイーツ、ホワイトショコラなどいろんな品種を取り扱っていますが、中でもゴールドラッシュは人気の品種。

あまり詳しくない私でも「聞いたことがあるな」と思う程度には認知も高い品種です。皮が薄く、先端まで実がびっしり生り、果肉は生でも甘く食べれるそう。今日はそれを収穫しているということで、楽しみで仕方がなかった。

いざトウモロコシ畑へ。

安藤さんのお話が終わり、いざトウモロコシ畑へ出発!

畑までの道はとても狭く駐車スペースも小さい為、スタッフの車でピストン送迎してもらいます。乗車した車からトウモロコシ畑が見えてくると「うん?」と前回来た時とは様子の違う畑にちょっとした戸惑いを覚えた。

「これはなんだ?」

トウモロコシ畑を覆うネット。網目は細かめ。

トウモロコシ畑を覆う、一面に広がるネット。このネットは、前回の記事でも紹介した害獣・害鳥被害から守るためのネットだった。後から合流した安藤さんが、丁寧に説明してくださった。

最初はタヌキやハクビシン対策に畑の周りぐるっと囲むようにネットを張っていたそうですが、今年はカラスなどの害鳥被害も出てきたため、上のネットも張ったんだとか。前回伺ったときは実がなる前だからなかったという事がわかった。

簡易的に作られた、ネット要塞の入り口からトウモロコシが生っている場所まで移動していくと、5月ごろは私の腰くらいの高さしかなかったはずのトウモロコシが、私の背丈を追い抜いて170cmくらいにまで成長していた姿がそこにあった。

いざ収穫体験!

トウモロコシは、1つの株から2本採れるそう。上になる実は大きく、下に生ったものは少し小ぶりなんだとか。実を持って下に下げるように手を動かすと、トウモロコシが採れる。それでも採れないものはひねると採れるそう。

「意外と簡単そうだな!」

説明を聞きながらそんなことを思っていると、一人ずつコンテナが渡され始めた。これに採れたトウモロコシをいれていくみたい。普段の生活であまりコンテナを見ないからか、農業体験っぽいコンテナに一人密かにテンションが上がっていた。コンテナを渡された人から思い思いにトウモロコシ畑へ入っていく。

安藤さんから採るときのコツと注意点を教えてもらう。

トウモロコシ畑に向き合うと、道の無いジャングルが広がっていた。

「みんなどこから入ったんだろう?」

となるくらい茂っていて先が見えない。畑に入り慣れていない私はなかなか畑に入れずにいるが中、みんな大きいものを手にジャングルからコンテナに戻ってきた。

これはなかなかの大物!
両手にトウモロコシ!これもまた立派な大きさ!

意を決して中に入ると、自分より高い草に囲まれ、ちょっとした探検気分になれた。気になったトウモロコシを持って取ってみると、思っていたよりも簡単に採れた感覚があった。

「こんなに簡単に採れるなら、たくさん採れそう!」

と手あたり次第、もいでもいでもぎまくった。そして、興味に負けて生のトウモロコシをちょっとだけ齧ってみた。

「若干青臭いきがするけどこんなに甘いのか!」

人生初のトウモロコシの生かじり体験は、加熱したトウモロコシと同じくらい生でも甘く、安藤さんの言う言葉よりも驚きのあるものでした。少し最初に草のような香りがしたが、そこまで気にはならない。確かにこんなに甘いと野生の動物たちも食べたくなるなと一人納得していた。

30分ほど夢中で収穫していると、渡されたコンテナはすぐに満杯になってしまった。その時間の過ぎる早さに、「もっと採っていたい!」そんな思いもあったが、今回はグッとこらえた。

大漁です!

終わった後の服をみてみると意外にもドロドロで、農業を体験するには短く感じた時間でしたが、心地よいくらいの疲労感もあった。トウモロコシが入ったコンテナをトラックに積んで、朝一番で集まった場所へとへ移動していきました。

ガタゴト軽トラに揺られるトウモロコシたち。なんだか旅立ちみたい。

いただきます!

朝の集合場所に行くと、香ばしい匂いが漂ってくるのがわかった。それもそのはず!スタッフがトウモロコシを焼いていてくれました。このビジュアルとだけで美味しいのがわかります。

焼き上がりが気になるご様子!楽しみだね!

焼いたトウモロコシとトウモロコシおにぎり、冷製コンポタージュ、トウモロコシ三昧の食事。収穫したトウモロコシが食べれるのは収穫体験ならでは!疲れた身体に沁みわたります。

見よ!この大きな一口!
おにぎりにトウモロコシが入っています!

食事の後、安藤さんの計らいで急遽きゅうりの収穫体験も!ハサミを片手にキュウリを収穫していった。ひらがなの「し」のように曲がったキュウリもあって、個性的で見ているだけでも面白い。どんな形になるのか生ってみなくちゃわからないけれど、栽培するのはそれも含めて楽しいのかもしれないと感じた瞬間です。

終わりに。

キュウリも収穫して、今回の農業体験は終わりを迎えた。楽しいと感じると同時に、生産の裏側を垣間見た体験になったと感じました。美味しいものができるまでに、たくさんの時間とたくさんの人の努力があって、私たちはそれを口にできる。心から「いただきます」を言えた食事前挨拶でした。参加してくださったお客様の、楽しみにしてくださる表情や実際に笑いながら体験されている姿を見るとこの体験が開催出来てよかったと思えます。

また次回も、お客様と農家さんを繋いでいく取り組みを実施していきたいと思っております。引き続き、応援のほどよろしくお願い致します。