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新潟県阿賀北地域を題材にした小説の表紙をデザインしました。

「阿賀北ノベルジャム2021」というハッカソンイベントで生まれた小説「あがのあねさま」「宵闇の盃」の表紙デザインを担当しました。

また、わたしが提案した仮タイトルを著者さんが最後まで使ってくれて、発売できました。感謝感激✨

「あがのあねさま」米田淳一著

作品紹介

SDGsを掲げた世界は、達成目標1年前の2029年を迎えてもなお目標達成できないでいた。人類も日本政府も努力したが、結局達成には間に合わないことが確実になり、人々は悲観しつつ、その責任を互いに醜く押し付けあった。
だが、そのとき、3隻の女性形女性サイズ移動要塞が進空した。
阿賀野と能代と矢矧。日本政府が一発逆転の目標達成のために建造した女性形女性サイズ巡洋艦三姉妹である。その彼女たちが秘密裏に配属されたのは、なんと、阿賀北地域の実験都市。
今、人類の運命をかけたSDGs一発逆転達成計画が開始された!


制作・デザイン裏話

表紙の帯にも書きましたが著者米田さんは海上自衛隊戦術航海士の家に生まれた方。こどもの頃から戦艦やロボット、そして鉄道が大好きなで、過去にも商業出版や自主出版で軍もの・鉄道ものSFを多数書かれてきました。今回の作品では新潟県を舞台に対SDGs施策として投入されたロボット3姉妹という形でストーリー化。全7話+神奈川県在住の著者米田さんによる阿賀北旅行記を掲載した、盛りだくさんな内容となっています。

デザイン裏話としては「あがのあねさま」は、はじめに著者さんから「女性形女性サイズ移動要塞」と聞いた時に「どんな表紙にしたら…😱」と頭が真っ白になりました😂かつての日本海軍が建造した戦艦をモデルに作った女性型ロボット…わかりやすく例を挙げると「艦これ」みたいな感じです。わたし自身、SF小説は多少読んだことはあるものの、表紙化となると、大変悩みました…情報収集のため米田さんにヒアリングし、「戦艦 阿賀野型」を調べて、日本海軍時代の制服を調べたり、武器の名前を調べたり、「艦これ」のキャラクター設定図鑑やその他のSF作品の表紙を収集したり、思いつく限りの事をして、表紙デザインを考えていきました。

軍ものが好きな方向けのSFではありますが、SDGsというテーマもあって、行政職員の方や阿賀北地域に興味を持っている方が職場で休み時間に読んでくれたらいいな!というヤマシタの思いを込めました。

背景については阿賀北地域を流れる加治川の近くをイメージ。著者米田さんが「阿賀北で実験都市をつくるとしたらここしかない」とのことで、ここを選びました💡阿賀北のいろんな地域が登場するので「お、こんなところが舞台に」と地域のことを調べながら読むのも楽しいです。

「宵闇の盃」茶山日縁著

作品紹介

舞台は明治時代の新発田。日本を代表するとまで言われた陶芸家・津崎紅山の自宅(通称:椿屋敷)で「お手伝いさん」として働く五十嵐千代は、ある秘密を抱えていた。それは千代こそが津崎紅山の唯一の弟子と噂される人物「紅千」だということ。
 明治の陶芸界は男社会。女性である千代は、紅山のもとで素性を隠しながら活動していた。そんなある日、かつて新発田の地を飛び出した陶芸嫌いの弟・清吾が帰郷。清吾にも陶芸をしていることを隠していた千代は内心穏やかではいられない。一方、「紅千」としては作品を展覧会に出すチャンスが訪れる。ただし、そのためには会場に顔を出し作家として在廊しなければならないと言われてしまう。悩んだ千代が選んだ方法とは…?
 すれ違う姉弟の愛情と、男社会の波に揉まれながらも、己の生き方を見出そうと葛藤する姿を描いた歴史小説。


制作・デザイン裏話

著者の茶山日縁さんは1998年生まれの若い方なのですが、今回時代小説というジャンルで骨太な文章を書いてくださいました💪いきなり文章を書くよりも全体的な設定を固めてから書いていくというスタイルで取り組む作家さんなので、編集者の佐藤さんを中心に、米田さん、ヤマシタも参加して、打ち合わせを開催し、設定を作っていきました。

設定を作っていく中で「明治時代〜大正時代」時代の細かい暮らしや仕事について考えることになったのですが、印象に残っているのは交通手段です。その頃、新発田から新潟はどうやって行ってた?新潟から東京は?新潟から京都は?と考えていく中で、北前船⛴のことを考えたり、鉄道🚃はいつ開通したのかと考えたり…新潟県や阿賀北地域がどのように発展して行ったかを考える機会となりました。

タイトル「宵闇の盃」は、素性を隠しながら著名な陶芸家の弟子「紅千」として活動する主人公・千代を思ってつけました。宵闇は月がなく暗い空や時間のことを指す言葉です。女人禁制とされていた当時の陶芸界で、女性の千代がひっそりと活動している、その姿を表ししました。

絵や小説、雑貨やアクセサリーなどのものづくりや、まちづくりに関わること…活動していることを「自分はこの道で行きます」と宣言するのは評価・批判される機会もありえますから、勇気のいることだと思います。でも活動を続けていくことでしか、花ひらく瞬間はやってきません。勇気を持って活動するかたの活動が花開きますようにという思いでタイトルと表紙デザインを考えました。

最終的に採用した椿の花のデザインのほかに、主人公・千代やその弟・清吾の幼い頃も描いてみたのですが、この作品の中で椿の持つ役割がかなり大きいこともあって、現在の表紙となりました🌺書籍巻末には、採用しなかったデザイン案も掲載しましたので、そちらも見ていただけたら嬉しいです。


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