コロナ禍下で売上が昨対越えした話
5月昨対越えしたB2C事業
コロナ禍により、2月後半~3月と1年で最も売上と収益があがる繁盛期に大ダメージをうけました。そこから店舗は世の中の流れと同じで思うようにはいかず、売上はボロボロです。
その中で、3月半ばにはECに注力する事を決めました。
現時点でもまだECはやるべき事リストの半分も完了していないですが、3月後半から、4月、5月と地道に一つ一つ改善して5月単体でB2C事業が売上昨対越えました。
もちろん前提としては、世の中が自粛でECでの購買が増えたという運の要素も大きいです。
そして、それ以上に素敵なお客さんに支えられています。
本当にありがとうございます!
会社としてはB2B事業もあり全てのカバーはもちろん全然できていないですが、この状況では会社のメンバー全員の大きな成果であります。
しかし、私たちもまだまだ変化適応過程で大した事でもないし、書くか迷いましたが、私たちのプロセスを共有する事で少しでもEC化に準備している皆様に参考になれば嬉しいなと思って筆をとりました。
手放しで喜べないほど激動だった3ヶ月を少し振り返りたいと思います。
すべてはチームの力、チームの成果
この結果は意思決定の速さもあるのですが、そこに商品開発、工房拡張、製造体制変更、発送オペレーション変更、ECサイト改修、マーケPRと全てを一気に素早く変更に対応できたチームの力があることは間違いないと思っています。(実は全てフェーズで変更改修は最低限でまだ全体30%程度の進捗ですが)
実は、昨年10月に人事制度を変更して、Minimalはプロフェッショナルなクラフト集団として個のパフォーマンス磨きながら、1+1=3以上のチーム成果を出すという明確な方針を打ち出してそれに合わせて組織や役割を変更して、個人のマインドセットも行ってきました。
(個々の力は目指す姿にはまだまだですが)
コロナという激しい環境の変化に組織が適応したことが、この暗い状況で少しでも前向きな成果を上げた大きな要因です。
今まさに各チームのスタッフ憲章も策定し、チームとしてパフォーマンスを最大化しているお話はまた別の機会に書きたいと思います。
商品開発のプロトタイピングを短期間で回せるものづくり力
Minimalの強みは、
チョコ造りの原材料開発と調達から徹底的にものづくりの力を磨いてきたことです。創業からそれしかやっていないといっても過言ではありません。(まだまだ力不足ですが、努力は怠りませんでした)
そのため、オーダーからチョコレート菓子の試作が1日あれば可能です。競合や市場調査を含めて製品化までどんなに遅くても2週間程度なのです。それを誰か個人に依存することなくチームでできるのが良いポイントです。
超高速で商品のプロトタイピングできるものづくり集団として技術を磨いてきました。
商品開発したいと思った時に、かかるのは社内コストのみで、短期間でプロトタイピングが自社のみでできるものづくりの力は、このコロナ禍下で圧倒的に活かすことができたといえます。
実施施策① 組織マインドセット
この状況でまず最初にやったことは各メンバーの環境変化へのマインドセットです。
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である』 byチャールズ・ダーウィン
Minimalはもちろん徹底した専門家集団です。
■三つ星レストランや国家職人賞パティスリーなどを経験した職人チーム
■ソムリエやバリスタといた専門知識とスキルを持つサービスチーム
■ビジネスフィールドでそれぞれ専門性を磨いたビジネスチーム。
各人の専門性を活かし、磨く職場環境でしたが、コロナの状況でガラッと環境を変えないといけませんでした。
そのため、4月頭に全社員に向けて私から、
「今までの役割意識を一度ゼロリセットしてほしい。専門性へのこだわりはもったまま、でも役割への固執は捨ててほしい。全ての人がやれる事を増やして、チーム成果を上げるためにできるとやるべきことに注力してほしい。今やるべきことは、これまでの商慣習を捨てて全力でECを伸ばす事です。」
と伝えました。
実施施策② ECで売れる商品開発
店頭中心で売ってきたMinimalにおいて、店頭で売れる商品とECで売れる商品は違うはずという仮設のもと商品開発を行いました。
気をつけたことは情報の種類の違いです。
店頭は意思決定に無意識的に多くの情報が影響を与えています。
•店頭やスタッフの雰囲気(視覚
•焙煎香やチョコの甘い香り(嗅覚
•会話や接客(聴覚
•試食(味覚
•パッケージ(触覚
五感の全てから情報インプットがある店頭に比べてECは極端に言うと視覚以外機能しないです。
これは売れる商品も売り方の前提を変えないといけません。そのため、これまでECで売ってきた中で売れている商品をある程度分析して、視覚優位な商品を選定して開発を行いました(レシピが残っているモノはそのレシピを再現改良。)
現状のECでトップ3を走る以下がその商品。
① チョコレートレアチーズケーキ
② 生ガトーショコラ(SPRING)
③ 生ガトーショコラ(NUTTY)
① は3月のホワイトデーで一瞬でWebで完売した商品のリニューアル。
②③はこれまでWebで完売してきたシリーズの新商品。
として開発しました。
3月半ばに意思決定して、4月にローンチしました。
商品詳細は以下から参照してみて下さい!
実施施策③ 工房の改築と最適化
売上が落ちている中で、実は板チョコからお菓子作りに最適な工房へのレイアウト変更と拡張に投資しました。
正直経営者としてこの時期に少額でも投資する事はとても勇気がいりました。
経営メンバーと議論を重ねて、慎重に最低限で最も効率的で効果的な投資を意思決定しました。(実はこの意思決定にはEC化促進だけでない要素もありましたが)
製造チームと迅速にコミュニケーション取りながら、これまでの製造効率を残しながら、新たに商品を造るためにどのようなレイアウトと機能を持たせればいいかを考えました。
職人チームが感じる現場での動きやすさや目に見えない連携を言語化可視化して、最後は客観的に私が決めるというプロセスです。
実は私が製造担当役員を兼務しており、1年以上をかけてチーム再編と個々人との面談を繰り返してきた事で、各人との信頼関係とそれぞれの癖みたいなモノを考慮しながら最適な意見をくみ上げてることができました。
(ただ、頭で考えたことと実際の運用で違うことが起こることが常なので、日々改善を続けています)
実施施策④ 製造チームへの効率面での課題提示
次に工房が稼働してからは、品質を高めながら効率を最高に高める方法を探っています。
これまで板チョコレート製造に最適してきた工房にお菓子作りというファクターを入れて、効率を最大限まで高める。
工房チームには具体的な数値として今できている1日の製造数の2.5倍目標を提示して、課題を抽出して、何をすれば(改善や機材投資)それが達成できるかを考えて、一つ一つ取り組み始めています。
実施施策⑤ EC発送オペレーションの最適化
実はここがまだまだなポイントの一つですが、ECはすべて自社発送で行っています。規模を考えてコスト最適を計算して自社発送を選択しました。
自社でできる最大限のキャパシティーを導き、1日に平均して出している数の約3倍の発送件数の目標数値をおきました。
そのために発送場所のレイアウトを担当と考えて、議論して進め、同時に保管キャパシティーの最大化と人員の配置を見直しました。本格稼働は6月末を目指して少しずつ改善しています。
実施施策⑥ ECサイトの最適化
ここも同じくまだまだなポイントの一つですが、細かいページ変更や仕様変更を繰り返して数字に変化を追っています。
チョコレートが手仕事でなかなか造れない事もあり、ありがたいことに店頭で商品は売り切れてしまっていました。そのためECを本格的に始めたのは1年と少し前です。
ここまで担当は0.5人という感じでしたが、3月に1名仲間がジョインしてもらい、7月にもジョイン予定で、いよいよ本格的にECに舵を切れる体制になりつつあります。
いざ本格的に始めて見ると改善点しかない。
という恥ずかしい状況ですが、テストを繰り返して、パーセプションの進化とサイトの最適化を行い、ここから大幅に改修改善を繰り返して年内を目処に生まれ変わりたいと思います。
現状はまだまだで恥ずかしいですが以下から↓
実施施策⑦ 送料無料
コロナ禍で少しでもお菓子で幸せな瞬間をお客さんに届けたいと決めて送料無料を2月後半に意思決定し、現在まで続けてきました。
Yahooニュースにも取り上げられるくらい早い段階から。
正直、送料無料はかなり利益を圧迫してますし、相当薄利ですが、それでも社会にできることを考えた結果です。
洋菓子はまだまだ実店舗で買うという慣習が強いですが、3月頭からすぐ送料無料を始めたことで、かなり多くの方が気軽に利用して頂き、認知の拡大に繋がったと思います。
いつまで送料無料が続けられるかわかりませんが、できるところまで続けたいと思います。
厳しい勝負はここから。withコロナの時代に生き残りかけて
短期的には一つの成果をだせましたが、ここから先がもっと厳しくなると思います。そのために変化に敏感に、適応のスピードを高めて行きたいと思います。
世界最高のレストランのnomaの記事です。世界一のレストランさえ、過去慣性を捨てて、適応しているのだから私たちができないはずはないと思います。
もちろんMinimalもまだまだこれからですが、僕らのプロセスが少しでも何か皆さんのヒントになれば幸いです。
環境が激しく変化するこの時代に生きている事を嘆いても現状は変わりません。この変化を捉え、変化を内側に取り込んで最適に進化するために今後も努力したいと思います。
希望はあるはず。皆さん、共に生き残りましょう!
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最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは私がブランド経営やモノづくりを行う中で悩み失敗した中からのリアルな学びです。何かお役に立てたら嬉しいです。良い気づきや学びがあれば投げ銭的にサポートして頂ければ喜びます、全てMinimalの活動に使いたいと思います^_^