腰痛の原因の分類
国民病とも言える「腰痛」について
腰痛の原因には色々あります、ありすぎる。
なので、まずザックリとその原因を分類するところから始めたいと思います。
原因の分類
①骨
図の①に当たるのが『骨』
当然ながら骨が傷つく=骨折したら痛みがあるのはイメージできますよね。
主な原因は事故などによるケガ。
これの場合腰痛どころか生命の危機にさらされます。(そりゃそうだ)
※以前ネイマールも飛び膝蹴りで腰椎を骨折しましたが、これはマジでやばいやつです。椎骨の骨折だけで済んだらしいので良いですが、場所が場所だけに少しズレていたら神経が損傷し、下半身不随の可能性もありました。
あとは腰椎分離症や辷り(すべり)症といった慢性的な負荷による疲労骨折のようなものがあります。主に10代後半の子に起きやすいですね。
こちらは慢性的な筋肉の硬さ(からの姿勢不良)も関連するので⑥の混合型に入ります。
ちなみに②は『関節』なんですが、そこに包まれる繋がる部分は普通の白い骨と違ってもう少し柔軟性の高い「軟骨」に覆われます。焼き鳥でコリっとして美味しいアレです、アレ。
②関節
図の②に当たるのが先に述べました『関節』
骨と骨をつなぐ部分であり、関節は可動しないといけない場所。可動部は負担に対して弱くなります。(建築とかでも同じですよね)
その為、「関節包(かんせつほう)」という硬い繊維でできた膜で覆われます。
この関節包は内外で機能が変わります。
外側は骨(関節)を守る為に硬い繊維で覆われます。その為、簡単に骨と骨が外れる=脱臼(だっきゅう)せずに済みます。
もし、この繊維が弱かったら手の指をパキパキ鳴らした時に指が大変な方向にすぐに曲がってしまいます。
対して内側は滑液包(かつえきほう)と呼ばれていて、滑液という関節の潤滑油が出る仕組みになっています。
関節が可動部なので動かないといけません。しかし、その滑りが悪くてはその関節に含まれる骨や軟骨を摩擦で傷つけてしまいます。
なので潤滑油を出すことで動きを滑らかにしてスムーズに関節が動くようにサポートします。別件ですがあるCMによって石原良純氏は世間一般に「滑液」の存在を認知させた関節アンバサダー的な確固たる地位を確立したと勝手に思っています。
機械も潤滑油をささないと軋んで音がしますよね。それと同じです。
この関節(軟骨も含む)が損傷する場合は骨と同様でかなりの衝撃が無いと簡単に傷つきません。手の指で言うならば突き指するくらいの外力が必要です。
よく「関節がズレているから痛い」と言うことを耳にしますが、少し違います。
関節は自ら動くことはできません。あくまで受動的に「動かされている」だけです。関節を動かすには外力(例:リラックスしてる状態で誰かが腕を持ち上げる)が加えられる以外では必ず「筋肉」の力が必要です。
筋肉が伸び縮みすることで関節が動かされて、身体が動く。
のが正しい順番です。なので多くの場合、
関節のズレ=筋肉の硬さ
が必ず併発しています。この場合、原因の筋肉の硬さがなくなれば関節も正しい位置に戻ります。(関節部分そのものの変形が起きている場合は完全には戻りませんが)もちろん、関節内の軟骨が折れていたり、関節包が損傷していたら関節部分が痛みます。一般的な慢性痛ではありえません。
③筋肉
図の③が『筋肉』
人間の身体に図のような骨はありませんがあくまで説明用としてご理解ください。
現実では筋肉の硬さ由来の腰痛が圧倒的に多いです。
というか色々原因があって同時に筋肉の硬さやしこりができてその結果、神経が刺激されて痛みとして感じる。といった感じです。文末に簡単な図を載せますね。
前回の肩首編の初めにも書きましたが、筋肉が硬くなると血行不良に陥り、それを痛みとして感知します。
前回の記事はこちら
特に腰は上半身の重さがかかる+足からのバランスを取る部分なので負担が大きいです。しかし、上半身と下半身を繋ぐ大切な部分ですのでそう簡単にダメージを感じていられないんですね。
なので感覚的には「なんか重いな」「あー、少しこの方向に伸ばすと痛いな」程度が初期段階。これくらいだと割と生活できます。体動かすと楽になる。というのもまだ軽度。運動による一時的な血行促進で改善がみられるのであれば何とかまだ大丈夫(ほんとは良くないですが)。
筋肉の繊維が一時的に縮んで一過性の虚血(筋肉に血が流れていない)状態なので動けばとりあえずOK。(とりあえず、です。)
ここで注意して欲しいのが以下のことが当てはまる方
バリッバリのビジネスパーソンに当てはまることが多いです。
なぜ注意して欲しいのかと言いますと、人間の感覚と実際の筋肉の状態に差異があるのは割とあります。
上記に当てはまる方はその差が結構激しい。
常に刺激にさらされていて感覚が鈍くなっている、麻痺してるんですね。自律神経で言う「交感神経」が常に刺激されている状態。興奮状態です。
興奮状態の時は痛みや不調は感じづらいのです。
で、引き起こされるのが皆様ご存知
「ぎっくり腰」
ぎっくり腰といってもどこのダメージなのかはまた分かれますが、ほとんどが腰の筋肉の過緊張(+腰の関節の瞬間的なズレ)です。
元々、硬さが増しに増した状態でふとした瞬間に腹圧(お腹に力を入れている時の状態、力んでいる感じ)が抜けた瞬間にめちゃ硬くなった腰の筋繊維が腰椎間の関節を動かします。
「ビキッ!」
関節の周りには靭帯がありますのでそれが損傷する可能性もたまにはあります。しかし、そもそも背骨の腰に当たる部分(腰椎)の靭帯はめちゃくちゃしっかりしてます。なのでそこまで傷つきません。
また、慢性的な腰痛もほぼ筋肉由来の痛み。
一番負担を受けやすく、衝撃吸収しやすく、不良姿勢でも何とか対応できるのが筋肉なのでほぼ筋肉の硬さが原因です。
元々の素因があった上で瞬間的な刺激によるものなのか、持続的な負荷(姿勢や動き方など)によるかの違いです。
④筋膜
図の④が『筋膜』
最近では一般的にも認知されてきた筋膜の存在。
全身の筋肉をひとまとめにするシートとイメージしてもらうといいかと思います。
例えば、図の右端のような足から背中を通り頭まで繋がる筋膜があります。
この筋膜周辺の別々の筋肉を繋げているものが筋膜です。
身体にはこの繋がりが前面や側面、斜めにもあります。この筋膜が身体の硬さの原因になったり痛みの原因になったりします。
余談ですが、筋膜の繋がりと東洋医学で言う「経絡」はほぼ一緒です。(この話は割愛)
この筋膜の影響で足の裏の硬さが腰の痛みやその他全身の不調に関係することもあります。
筋肉と筋膜がいわゆる慢性痛の9割くらいを占めていると思います。
実は原因はシンプルなんです。ほんと。
⑤内臓
図の⑤が『内臓』。図は人間の体を横から見たと思ってください。
⑤のあたりに胃腸、肝臓など臓器があるとします。
暴飲暴食やストレスで下痢や便秘になる方、いますよね。
その結果、内臓のすぐ後ろの筋肉(主に腸腰筋)へ影響が出て、神経を刺激され腰痛を感じます。内臓と筋肉の神経の繋がり・関連がありますので。
内臓由来の腰痛も割と多くあります。下痢気味で腰が痛かったけど、便を出してスッキリしたら腰も良くなった。など。
脳腸相関といって脳と腸は密接な関係がありますので腸内環境が悪化したら脳へも悪影響→神経刺激、と言う流れもイメージできるのでは無いかと思います。
⑥混合型
実際は①〜⑤が割合が変化すれども関係して腰痛が発生します。
例えばその割合が筋肉が原因の9割であれば、筋肉がほぐれれば9割の痛みが取れる、といった感じです。マッサージを受けたりストレッチするだけで劇的に改善される場合はこのパターンです。
逆に内臓由来だと改善が遅かったりなど腰痛といえども十人十色です。
なので私の場合、治療の際には腰だけを診たり触ったりするのではなく、お腹の調子を聞いたり、姿勢を見たり全体を診るようにしています。
そうした方が改善した後の身体の管理や注意すべき点がわかりやすいですからね。
ぜひ、腰痛をお持ちの方は上記の①〜⑥でどれが当てはまるか確認してみてください。
今後もより良質な発信をしていくためのサポートをできる範囲でお願いします!