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その質問は本当にクライアント(相談者)のためになるのか?

あーー、相談しなきゃよかった

だれかに相談して「あーー、相談しなきゃよかった」と思ったことはないだろうか?わたしはある。何度もある(笑)。それはどんな時かというと、わたしの話をろくに聞かず、一方的にアドバイスされたり決めつけられたりしたときや、わたしはもっと違うことを話したかったのに、聴き手から質問攻めにあって、話したかったことが話せなかったときなどに「あーー、この人に相談しなきゃよかった」と思ってしまう。

だからこそ「相談」に携わっている人は、スーパーバイズを受けたり、事例検討をして、わたしの相談対応のどこがいけなかったのか、いまひとつクライアントがしっくりこないまま終了してしまったのは、なにがいけなかったのか、つぎがあるとしたらどのようにすればいいのかを学んでいく必要がある。

先日参加した事例検討会が消化不良で本を読んでみたので、その感想をnoteしてみたいと思う。

新しい事例検討法 PCAGIP入門 パーソン・センタード・アプローチの視点から

先日参加したPCAGIP法をつかった事例検討会が消化不良だったので、『新しい事例検討法 PCAGIP入門 パーソン・センタード・アプローチの視点から』を読んでみた。

図書館で借りてきて、前半しか読めてないのに返却期限が来てしまい、返却したのだけど、もう一度借りてきて、さいごまで読んでみた。

結果、さいごまで読んでよかった。

もやもやとした余韻をのこした検討会

わたしの消化不良は、事例検討会では記録係をやったのだけど、さいごに、その記録をみながらふりかえりをしたときにうまくできなくて(わたしの書いた記録があままり役目を果たせなくて)、どこがいけなかったのかが、その時間の中ではわからなくて、もやもやとした余韻をのこしてしまったのだ。

で、この本を読んでみて気づいたのが、3つ。

この本を読んでみて気づいたこと

1、事例の共有
“事例の提示については100-200文字ぐらいの短い資料で十分である。かえって質問が活発になる”

と本には書いてあった。先の会での事例は2000字ぐらいあったので、事例を読むことに集中してしまい、質問が活発にならなかった。いや、質問はでたのだけど、紙に書いてあることやそこから想像することについて質問してしまい、事例発表者にとって役立つための質問ができなかった。

2、記録係
”ファシリテーターの経験があるものもしくは事前に訓練を受けたものが担当するのが好ましい”

手挙げ方式で率先して記録係に名乗り出たのはよかったのだけど、どう進めて良いかわからないまま、ただただ記録してしまったのが間違いだった。本読んでから手を挙げればよかった(次回はもうだいじょうぶ)。

3、事前課題
”検討してもらいたい事例を、必ず受講者全員にレポートとして提出してもらうことにしている”

当日事例として取り上げてもらえる人はひとりだとしても、そこに参加する人が事前に(もしくは当日の冒頭で)、100-200字程度にまとめて、「事例の提示」として出して、その中から当日事例として取り上げるものをファシリテーターがまたは、みんなで選ぶことが大事だと思った。これをすることにより、その場に参加している全ても者が、当事者意識をもって参加できる検討会となる。

PCAGIP法をつかってみたい場面

わたしにはまだ事例検討を必要とする場面が少ないのだけど、PCAGIP法は、事例検討だけでなく、グループ研修やミーティングなど、だれかの困りごとやもやもやを何人かのグループで、その困りごとやもやもやがどこから来ているのかなどを検討するときにも使える手法だと思った。

というのも、本著にも書いてあるとおり、PCAGIP法を体験した人が、「質問に答えながらフォーカシング※をしていたように見えました」といっていて、内省を深めたり、気づいていなかった視点に、メンバーからの質問によって気づくことができるといった可能性があると思ったのだ。

これは、カウンセリングの事例検討だけでなく、伴走支援におけるブラッシュアップの機会にも応用できると感じた。もう少し練習してから試してみたいと思う。

※フォーカシングとは、心理療法のひとつで、いまここのわたしはどんなことを感じているのかに意識をむけて(ぐぐぐっーーと焦点をあわせて)いき、気持ちを言語化しながら整理していく方法。

(山咲サクラの解釈)

ロジャーズに会ったことがある人

冒頭でいったように、図書館で2度借りてきて、さいごまで読んでよかったのは、とくに後半の第3部「PCAGIP体験記」と第4部「講演」の内容がおもしろかったのだ。

第4部の「講演」は、著者である臨床心理学者の村山正治さんが大学院生と座談会を行った際の内容を書き起こしたもの。先生がまだ大学院生だった1961年にロジャーズが京大にきたときの案内役をつとめたことがあったとあり、村山正治さんのことは、この本を手にするまで存じ上げなかったのだけど、ロジャーズに会ったことがある人と知り、すごい人だーと思った。(ミーハーでスミマセン)

いい情報は、人がもっている

”こうやって、まずは探さないとダメですね、自分の問題意識を。それとやっぱり、人を訪ねて行かないとだめです。本も大事だけど「いい情報は、人がもっている」のです”

”迷っている時というのは、1人で抱え込まないことが大事です。いろんなひとにもあたってみて、自分を明確にしていくことです”

”does it work?(それは役に立つのか?)”

新しい事例検討法 PCAGIP入門 パーソン・センタード・アプローチの視点から

わたしはなにか知りたいと思ったときに、本を読み漁るのだけど、やっぱり人に会いにいかなきゃだめだなと改めて思った。それでも、この3月はだいぶ意識して人に会うようにしてきたし、そして、人に自分のことを話すことで、自分を明確にしていくということをやってきた。やってみて思うのは、人に会って自分の話を聴いてもらうことは、なによりのカウンセリングだと思う。

does it work?

そして、4月から相談支援の現場に立つうえで、「does it work?」はつねに念頭に置いておこうと思う。「その質問は本当にクライアント(相談者)のためになるのか?」(手帳に書いた!)

ライター|山咲サクラ
女性のための相談員|産業カウンセラー|キャリアコンサルタント
会社員を寿退社後、出産・子育てを経てパートにて女性センターで働きはじめる。転居後パート・派遣社員を経てフルタイムにてNPOの伴走支援をする公益法人で働く。やりがいはあるが残業に追われた毎日を一新しテレワークにて女性起業家支援を企画・運営。子どもの巣立ちを機に現職にて再スタート。


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