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物語と作業療法 part2

さて、物語の定義の続きから書いていこう。

この本の中では物語について次のように定義される。
「物語とは語りの連なりであり、語りは言葉の連なりである」
つまり、物語というひとまとまりに対し、
語りは物語の一片であり
言葉は語りを構成するものである。
ということだ。

そして、社会構成主義においては
世界が言葉を作るのではなく、
言葉が先にあり、その言葉が指し示す形で世界が経験されると言うことである。

これは実になるほど!と驚いた。
私たちはあたかも
世界を言葉で表現しているようで、
言葉が世界を表現している

確かにその通りである。
私たちは自分の体験や経験を、感覚ー知覚ー認知したことを表現する時に主に「言葉」を使う。
しかし、一人一人が持っている言葉というのは、広辞苑が頭の中に入っているならともかく、種類はまばらであり、また共通の「言葉」であったとしてもその定義や言葉の持つ色味・深みというのは千差万別であろう。
その人が体感している世界、生きている世界というのは、その人の持つ「言葉」によって異なるのだ。

物語というのは、ある人が経験した言葉の連なりであり
言葉はその人が歩いた世界を形作るものなのである。

成り立ちで言えば
言葉→語り→物語
という構成になる。

作業療法で言うならば
言葉はその人個人が用いるものであり、
語りはインタビューなどで聞かれる物語のごく一部であり
物語はナラティブスロープのような時間的な連なりと空間的な広がりを持ったものなのである。

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