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地域経済と私⑥:肌で感じる意義と直感からくる直観

各地で感じてきた手触り感

新卒で入社した会社では、2~3年おきに全国を転々と転勤し、その土地の金融情勢や経済分析を行ってきました。その後、東京都内の本部に戻ってくることになります。

エコノミストの仕事とは、あくまで様々に出てくる経済統計をみながら、足もとの経済情勢に関する仮説を立てて、それをもとに景気判断を行うという作業の積み重ねなわけです。そこで大事になってくるのは、いかにもっともな仮説を立てられるかという点だと思っていますが、私が特に重視しているのは現地で感じる手触り感。

例えば、各都道府県で生産された工業製品の出荷額の合計を表す製造品出荷額という指標がありますが、このランキング(20年)を見ると1位から愛知、神奈川、静岡、大阪、兵庫と並んでおり、見事に太平洋ベルト、東海道山陽新幹線沿いですよね。そして規模で言うと、神奈川や静岡1県で、ほぼ東北6県の出荷額と同額です。

私はそうした違いを、転勤の異動発令されて乗り込む新幹線で感じることが多く、やはり東北新幹線よりも東海道新幹線沿線の都市の方がかなり活気を感じます。直感からくる印象が、実は意外と芯をとらえていて、直観に繋がるということかと思います。

もちろん、個別の都市で調査をすると、例えば、神戸や静岡は人口流出、人口減少の問題を抱えていて、地元の方は浮かない顔をするわけですが、状況的にもっと厳しいところがあるのもまた事実です。

どちらが経済環境的により厳しいかというダメ比べをすることに価値はないですが、一方で自分たちの何が優れているのかという点を見つめなおすためには、やはりデータを見ることと他の世界を肌で感じ取ることも大事なことだと感じます。

だからこそ感じるイマへの違和感

私は、現職では、立場上、マクロな視点で日本経済をみることが多くなっており、日本各地で起きる小さな現象や変化は極力捨象し、どちらかといえば世界経済の動向を含めて大きな潮流をつかむことが重視されます。それはそれで大事なこと。

でも、どちらかというと自分の嗜好はその真逆で、大きな潮流の中で逆をいくような、キラリと光る異分子みたいなものを探すのが好きで、それを世の中に発信していきたいと思っています。

特に、地域で頑張る経営者の方や、面白い取り組み、まちづくり、そんなものをこの目で確かめて外に発信していきたい。

だから私は地域で生きていく。

今週もご覧いただきありがとうございました。


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