自分に正直に生きる
立秋。日が落ちる時刻が早くなってきた。
盆が明けると、地域で夏祭りが行われる予定で
私は今回、地元の中学生・Mちゃんとコラボ出店をする。
Mちゃんは、これまで何度かイベント出店をしてきていて
6月のお祭りではたこせんを作っていた。
(これがすごく美味しくって!)
そのときに私も梅ソーダのコーナーを出していて、
今度、いっしょに出店してみない?と誘ってくれたのだ。
Mちゃんは、パウンドケーキを、私はドリンクを担当。
梅ソーダを出す? → ケーキに合わないのでは…?
コーヒーを出す? → Mちゃんがコーヒー苦手…!
なんとなく、フルーツティーなんてどうか、という話に落ち着く。
パウンドケーキには合うし、Mちゃんだって飲める。
冷凍フルーツに紅茶をそそぐだけで映えそうだし…
さっそく次の日、冷凍フルーツと紅茶を購入、自宅に戻り、さて、試作だ〜
…のはずが、う〜ん、イマイチ気分が乗らない。
結局その日は試作をしないまま、翌日を迎えてしまった。
夜眠っている間に、考えていた。
今日はどうして手が動かなかったのだろう。
あぁ、いま私はMちゃんに遠慮してるんだなぁ。
せっかく一緒にやってみたい!と声をかけてくれたのに、
Mちゃんは「パウンドケーキがやりたい」と正面から
自分の希望をぶつけてきてくれたのに
私はそれに対して格好つけて、自分のやりたいことを正直に伝えようとせず
対等にならず、聞き分けのよい大人のフリをしてしまっているんだな。
…それって、なんと傲慢で、失礼な態度なんだろうか。
翌日、改めて買い出しに出る。
買い物かばんには、隣町のお気に入りのカフェで焙煎された深入りコーヒー豆と
それから、業務用バニラアイス。
試してみたいのは、
アイスコーヒーとコーヒーフロート、それからアフォガード。
これならコーヒーの苦味が苦手なMちゃんでも、食べてもらえるかもしれないし。
エスプレッソを抽出している間、出店用のコップとカメラを準備する。
アイスも冷凍庫から出して少し溶かしておく。
盛り付けて、写真を撮り、食べてみる。
う、うまー!
パウンドケーキにも絶対に合うわー!
思わずMちゃんの(正確にはMちゃんにお母さんの)LINEへ、写真を送る。
終始心が躍り、手が勝手に動く。私は今、楽しいんだな、と思う。
結果的に、Mちゃんはコーヒーが苦手にもかかわらず
たぶん、けっこう喜んでくれた。
お母さんも、おいしそうと言ってくれたらしい。
Mちゃんとは今度一緒に試作をするので、ちょっと食べてみてもらおうと思う。
(もちろん、押し付けるつもりはないけれど)
それから、Mちゃんが前回の出店で気に入ってくれた
梅ソーダも、メニューに加えてみよう。
私は自分以外のひとに対して、誠実でありたいと思ってきた。
でもそれは、相手に対して勝手に遠慮して、
自分の中の違和感を見て見ぬふりをすることとは別の話だ。
私は私のやりたいこと好きなこと、こだわりなんかを
私自身が大切にしてあげること。それは私にしかできないし
結局のところそのほうが、自分にも他者に対しても正直に、のびのびとやれる。
そうすることがいちばん、周りにも喜んでもらえる気がする。
日々、学ばせてもらうことばかりである。Mちゃんに感謝。