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「移住」は地方創生の切り札じゃない。移住促進の前に考えたいこと(宮川の場合)

こんにちは!山梨移住計画メンバーの宮川です。
現在、妊娠・出産を経て子育て奮闘中の34歳一児の母です。(10月から徐々に仕事に復帰中)


私は、山梨でDEPOT Inc.というブランディング会社を経営しています。
「地域や社会を豊かにする仕事に、クリエイティブな力を掛け合わせる」をコンセプトに、沢山の県内外のクリエイターとチームを組み、企業、自治体、NPOなどのCI・VI、広報PR、商品サービス、建築空間に関わる総合ブランディングを行う会社です。
http://www.depot-yamanashi.jp/
また、地域に開いたシェアスペースやレンタルオフィスの開発運営事業などにも取り組んでいます。
https://studiopellet.com/space/

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▲2020年7月まで使っていたオフィス。現在は手放し新しい働き方に向けてテレワークに移行。

私自身もプランナー・ディレクターとして数多くのクライアント、クリエイターと共に様々なプロジェクトに携わってきました。
私が山梨にUターンしてからは、会社員時代&フリーランス時代を含めると約10年が経ち、地方のいいところも大変なところもそれなりに見て来た気がします。


移住者の目線、地元民の目線。

今日は、私の目線から他のメンバーとはちょっとだけ違った切り口で、移住について書きたいと思います。

この山梨移住計画は、UIターン経験があったり、都内との二拠点で活動するメンバーで多く構成されているため、移住者目線の記事多めでお伝えしています。

しかし今回の記事は、地元民、特に移住政策に関わる地域の方などにぜひ読んで頂きたいなと思って書いています。

というのも私は、京都の大学を卒業後すぐ、「地元をなんとかしたい!」という思いで山梨の会社にUターン就職しました。そして、そのままずっと山梨に住んでいます。(帰ってきた理由や経緯などはまた別の記事で)
よく仕事で都内や県外には行っていたものの、住まいはずっと山梨。「移住者」と言えるか怪しいところです。笑
とはいえ一度外に出て、京都で4年間を過ごし戻ってきた私としては、「Uターン移住組」でもあり、「長く山梨にいた地元民」でもある立場として、二つの目線から移住について伝えられることがあるかなと思います。


「人口を増やそう」の考えに違和感

ここ数年、地方創生の流れで様々な自治体が移住促進をやっています。
また、新型コロナウイルスの影響でテレワークが一気に加速し、移住を考える人も多い中、「なんとしてもうちのまちに呼び込みたい」と思っている自治体も多いはず。
しかし私は、移住者で人を増やせば地域が良くなる、地方創生に繋がる!という考えに疑問を抱いています。

というのも、「移住者を増やせば地域が良くなる」のではなく「いい地域だから移住者が来る」と思うからです。
そもそも、人口を増やす考えには無理があると思ってます。
というのは、日本の人口はこの先もしばらく減っていくことがデータなどでもわかっています。
そんな中、「自分の地域の人口を増やすぞ!」と意気込んでいる政策などを見たり、
「移住」が人口増加や地方創生の切り札のように語られているとき、とてつもない違和感を感じるのです。(「子供を多く産む」的な考えにも言いたいことがありますが長くなるのでまた別の記事で。笑)

こんな時代だからこそ、「人口を増やそう」ではなく「住む人が幸せな街を作るにはどうしたらよいか」「いい地域とは何か?」を考えることが大切ではないでしょうか。

移住は、「運命の相手」を選ぶのに似ている。

「いい地域だから移住者が来る」と言いましたが、移住者が来たことで街が良く変わっていく事例はあると思います。外の世界で培ったスキルや感性、人脈やノウハウなどで、地元民だけでは出来ないような開拓をしたり、変化を与えるケースです。
また、もともと地元民だったUターン組は地域の課題を自分ごととして捉えている人が多いので、「この街に何かしたい」という思いを持った人も多いです。
そういう人たちがお店や事業をはじめ、地域の雰囲気や変わることで移住者が来たくなるような街になることもあります。

私は、移住とは人口を増やすことが目的ではなく、その人の人生が地域を、地域がその人の人生を、豊かにするためのパートナー選びのようなものではないかと思っています。
移住者にとっては、自分に合いそうなら移り住むし、合わなそうであれば別の地域に行くまでのことです。

今では、「移住」といっても、二拠点居住やアドレスホッパーなどのその地域に対して多様な暮らし方が存在しますので、一人ひとりの人生が豊かになるような暮らし方と地域を選べる環境こそが大切なんだと思います。

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住んでる人が幸せじゃない地域に、外から人は来ない。

本人の人生と地域の相性が大事という話をしましたが、移り住む人があとを絶たない「選ばれる地域」というのは存在しますよね。
移住者が移住者を呼び、そのコミュニティが地域をさらに豊かにするようなムーブメントに変化する、いい循環が生まれています。
そういった地域が人気なのは、決して大々的な移住政策やPRを行ったからではなく、
住んでいる人がとても幸せだからこそ、周りにおすすめしたり、暮らしを発信したり、もっと良くしたいと思えたりするのだと思います。

私たちはこの山梨移住計画をやる中で、そこを大切にしたい感覚があります。
人を呼び込みたくて発信しているのではなく、山梨での暮らしで感じる豊かさや面白さを伝え、その感性を共有でき、住むことに興味を持つ人がいたとしたら、その一歩を踏み出すサポートをしたい。
そして、山梨をもっと良いまちにしていきたい。
皆、そんな思いでやっています。

自然があり気持ちの良い環境か?
景観が守られていて美しい風景か?
子育てがしたいと思える環境か?
自分が馴染めそうな雰囲気があるか?
楽しいイベントやコミュニティがあるか?
よい住まいがあるか?
よい仕事があるか?
医療や教育は?
負担になりそうな近所付き合いやしがらみが無いか?
・・・

地元に住む人々が「移住」の受け入れについて考える時、
「自分たちの街が幸せか?」
「どうすればもっと良くなるか?」
に向き合うことが、必要とされているのではないでしょうか。
それはきっと、自分たちも、移住者の人生も、豊かにしてくれるはずです。


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