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企業の取り組み(有給休暇の取得促進や職場の人間関係等の円滑化)と働きやすさ(令和元年版「労働経済の分析」より)

本日は、企業の取り組み(有給休暇の取得促進や職場の人間関係等の円滑化)と働きやすさの関係について紹介します。
以下、特記するものを除き、令和元年版労働経済の分析からの引用またはキャプチャーです。

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第2節 働きやすさの向上に資する企業の取組
1 企業の取組が働きやすさに与える影響
●有給休暇の取得促進や職場の人間関係等の円滑化が働きやすさの向上には重要

前節では、企業で働く労働者の視点から職場の「働きやすさ」を捉え、労働時間、年次有給休暇、柔軟な働き方、職場の人間関係やコミュニケーションなど、職場の働きやすさの向上のために重要な要素について分析するとともに、人手不足が「働きやすさ」へ与える影響について考察した。
本節では、企業の立場から、職場の「働きやすさ」の向上に資する雇用管理やワーク・ライフ・バランスに関する取組について分析するとともに、これらの取組が企業の従業員の離職率、新入社員の定着率、求人募集の充足率の改善などを通じて人手不足の緩和に資する可能性などについて考察する。ここでは、主に、(独)労働政策研究・研修機構が2019年に行った「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査」の企業調査票と正社員調査票の個票を紐付けしたデータの分析結果を元にみていく。
まず、企業の雇用管理が職場の働きやすさにどのような影響を及ぼしているのかをみていく。

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第2-(2)-13図の左図により、正社員が働きやすいと感じている企業における雇用管理の項目ごとの実施率をみると、「能力・成果等に見合った昇進や賃金アップ」「有給休暇の取得促進」が高く、次いで「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」「人事評価に関する公平性・納得性の向上」「仕事と育児の両立支援」などが高くなっていることが分かる。

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第2-(2)-13図の右図により、雇用管理の項目ごとに、実施企業において働きやすいと感じている労働者の割合と未実施企業における当該割合との差をみると、「有給休暇の取得促進」「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」「業務遂行に伴う裁量権の拡大」などが大きくなっており、これらの雇用管理を行うことにより労働者の働きやすさが向上する可能性が示
唆される。

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また、第2-(2)-14図により、正社員が働きやすさの向上のために重要だと考える雇用管理と企業が実施している雇用管理を比較すると、上位5項目中3項目(「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」「有給休暇の取得促進」「仕事と育児との両立支援」)が一致していることが分かる。

このように、仕事と育児の両立支援などのワーク・ライフ・バランスを推進する取組は、正社員の働きやすさの向上のために重要であると労使いずれもが認識されていることが分かる。
ここでは、仕事と育児の両立支援の代表的な取組である育児休業制度が、労働者にどのような影響を及ぼしているのかをみていく。

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第2-(2)-15図の左図により、育児休業制度の規定がある事業所の割合の推移をみると、1996年度以降上昇傾向にあり、2017年度には75.0%となっている。

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第2-(2)-15図の右図により、出産前の妻の職場の育児休業制度の有無別にみた出産後の妻の就業状況をみると、妻の就業形態で利用可能な育児休業制度があると、出産後も転職や離職せずに同一就業を継続する女性の割合が大幅に高くなっていることが分かる。その割合は、育児休業制度を利用しやすい雰囲気があると、さらに高くなっていることが分かる。

●働きやすさの向上には休暇等を申請しやすい職場の雰囲気や人員配置が重要

続いて、企業の雇用管理の取組のうち、ワーク・ライフ・バランスを推進する取組と働きやすさの関係をみていく。

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第2-(2)-16図の左図により、正社員が働きやすいと感じている企業におけるワーク・ライフ・バランスを推進するための取組の実施率をみると、「休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気の醸成」が最も高く、次いで「時間単位、半日単位など柔軟な有給取得制度の導入・推進」「育児休業制度や介護休業制度の利用促進」などが高くなっていることが分かる。

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第2-(2)-16図の右図により、ワーク・ライフ・バランスを推進するための取組ごとに、実施企業において働きやすいと感じている者の割合と未実施企業における当該割合との差をみると、実施率は低いものの「テレワーク等の柔軟な働き方の導入・推進」が最も差が大きく、続いて「休暇・急な早退等が必要な際、従業員間で融通し合えるよう、十分な人員数を配置」「休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気の醸成」などにおいて差が大きくなっており、これらを実施することにより労働者の働きやすさが向上する可能性が示唆される。
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本日のデータの元になっているのは、以下の20項目の雇用管理について会社と正社員に調査したものです。
①人事評価に関する公正性・納得性の向上
②本人の希望を踏まえた配属、配置転換
③業務遂行に伴う裁量権の拡大
④優秀な人材の抜擢・登用、
⑤優秀な人材の正社員への登用
⑥いわゆる正社員と限定正社員との間での相互転換の柔軟化
⑦能力・成果等に見合った昇進や賃金アップ、
⑧能力開発機会の充実や従業員の自己啓発への支援
⑨労働時間の短縮や働き方の柔軟化
⑩採用時に職務内容を文書で明確化
⑪長時間労働対策やメンタルヘルス対策
⑫有給休暇の取得促進
⑬職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化
⑭仕事と育児との両立支援
⑮仕事と介護との両立支援
⑯仕事と病気治療との両立支援
⑰育児・介護・病気治療等により離職された方への復職支援
⑱従業員間の不合理な待遇格差の解消(男女間、正規・非正規間等)
⑲経営戦略情報、部門・職場での目標の共有化、浸透促進
⑳副業・兼業の推進

この中で、正社員が働きやすいと感じている企業における雇用管理の項目ごとの実施率(会社答え)上位5つは次の通り。
「能力・成果等に見合った昇進や賃金アップ」
「有給休暇の取得促進」
「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」
「人事評価に関する公平性・納得性の向上」
「仕事と育児の両立支援」

これに対して、社員が重要だと思っている項目上位5つは、
「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」
「有給休暇の取得促進」
「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」
「仕事と育児との両立支援」
「本人の希望を踏まえた配属、配置転換」

上記太字の「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」と「本人の希望を踏まえた配属、配置転換」が会社側と働くメンバーとで合致しない部分です。
大変参考になります。

続いて、ライフ・ワーク・バランスの取り組みとして本調査であげられた項目が次の通りです。
①アンケート調査の実施などによる実態面の把握
②業務プロセスの見直し(組織間・従業員間の業務配分のムラを解消する等)
③休暇・急な早退等が必要な際、従業員間で融通し合えるよう、十分な人員数を配置
④休暇が必要な際、従業員間で融通し合えるよう、中期的な休暇予定を従業員間で見える化する
⑤休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気の醸成
⑥有給休暇を取得する必要のある下限を設定する
⑦残業時間に上限を設定する
⑧まとまった日数での休暇取得の奨励
⑨ノー残業日の設定
⑩長時間勤務労働者やその上司等に対する指導・助言
⑪残業させず、有給休暇取得を促す上司が評価されるような仕組みを導入する
⑫労働時間管理、有給休暇取得、健康確保に係る、管理職向けの研修・意識啓発
⑬労働時間管理、有給休暇取得、健康確保に係る、非管理職向けの研修・意識啓発
⑭経営トップからの呼び掛けや経営戦略化による意識啓発
⑮部門間の取組状況の見える化・情報共有
⑯短時間勤務制度やフレックスタイム制度等、より柔軟な労働時間制度を導入・推進
⑰時間単位、半日単位など柔軟な有給取得制度の導入・推進
⑱テレワーク等の柔軟な働き方の導入・推進
⑲育児休業制度や介護休業制度の利用促進
⑳企業内に託児所を併設

正社員が働きやすいと感じている企業におけるワーク・ライフ・バランスを推進するための取組の実施率上位5項目は、
「休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気の醸成」
「時間単位、半日単位など柔軟な有給取得制度の導入・推進」
「育児休業制度や介護休業制度の利用促進」
「長時間勤務労働者やその上司等に対する指導・助言」
「業務プロセスの見直し(組織間・従業員間の業務配分のムラを解消する等)」
となります。

ワーク・ライフ・バランスを推進するための取組ごとに、実施企業において働きやすいと感じている者の割合と未実施企業における当該割合との差の大きいものは次の通りです。
「テレワーク等の柔軟な働き方の導入・推進」
「休暇・急な早退等が必要な際、従業員間で融通し合えるよう、十分な人員数を配置」
「休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気の醸成」
「まとまった日数での休暇取得の奨励」
「休暇が必要な際、従業員間で融通し合えるよう、中期的な休暇予定を従業員間で見える化する」

休暇が柔軟に取れることが、働きやすさにつながっていることがうかがえるデータです。
ある程度人員に余裕がないと、こういう対応がしにくいですね。
伍魚福でも、年に1度の5〜7連休制度や、有給休暇の計画取得、出勤時間の選択制度、時間単位の有給休暇制度、3年を上限とする育児休業制度、介護休業制度などを整備してきました。
また、新型コロナウイルスの蔓延により「テレワーク」も可能な体制が整備できました。
今後も、働きやすい職場づくりに取り組んでいきたいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan