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PMから見て「イケてるエンジニア」とはどんな人か(業界歴7年目より)

どうもこんにちは。本日は大変不遜ながら「イケてるエンジニアとは何か」について論じさせて頂こうと思います。エンジニア同士のコミュニティではキャリア論は活発なのに対し、意外に開発チームと密接に関係するPM職がエンジニアにキャリア論や人物評価を共有している場面は見かけません。しかし、現実にエンジニアが大組織でバリューを発揮するには他職種とのコミュニケーションが必須であり、私のような非エンジニアPMからの評価というのは実は大事なのではないかと考えています。不慣れな文章ではありますが、エンジニアもそれ以外の職種の方も、珍しい書き物くらいに思って一読頂ければと思います。

本論の考え方・進め方

そもそも「イケてる」とはどういう意味でしょうか。PMの観点で述べさせて頂くと、「プロジェクトが発足した時に真っ先に声をかける人」です。これを分解してさらに考えると、要は技術力とかよりも周囲からの評価が高く、仕事を多くもらえて選べる立場の人が「イケてる」といえるのではないでしょうか。そのため、本論では「イケてる」の意味は「依頼される仕事の数が多い / 多そう」で定義しようと思います。

このように定義した時、あまりロジカルな議論は正直難しいです。というのも、論理上は「0円で無限に働くスーパーエンジニア」みたいなものが成立するからで、あまり想定に意味を見出せないからです。ここでは、筆者の経験を元にイケてた人たちを洗い出していくことで、結果として何かしらの汎用的な特徴を見出せないかを図ろうかと思います。

イケてた人たちの事例から行う特徴抽出では、4名挙げた内の3名以上に当てはまる特徴を言語化していこうと思います。これもあまりロジカルな手法ではありませんが、人物を完全に言語化するのは難しいので、あくまで「筆者という1人のPMの感想を言語化していく作業」として捉えていただければ幸いです。

最終的には、これらの「イケてる」を先天的な蝶々と後天的な特徴で改めて整理し、先天的なものについては採用の観点で役立つようにまとめ、後天的なものについては読者の中のエンジニアがキャリアアップする上で役立つようにまとめようと思います。なお、この分析の特性上、どうしても独善的な書き方になるため、ご意見があればコメント頂けると幸いです。

イケてる4人を紹介するぜ

最初に挙げるのは、大手企業に派遣されていたエンジニアのAさんです。Aさんは子会社SESから派遣され、ある大手企業に長年1人のエンジニアとして配属されていましたが、顧客側の部長の信頼を得てPMを任された人物です。彼がすごいのは、忘年会やゴルフにも出席して上流工程の人間を把握した上で、上流工程が触れるドキュメント(仕様書や要件定義書など)の作成・レビュー会設定などをしていた点です。単なる「事実を書いた紙」ではなく、「誰かが読むコミュニケーション媒体」として、ドキュメントを整備しているのには感服しました。勿論、開発・運用・保守の人間向けのドキュメントはそれぞれに合わせて調整していました。

2人目に挙げるのは、ベンチャー界隈で多くの会社を経験していたBさんです。Bさんは当時は管理職をしていましたが、本人はどうも合わなかったみたいです。彼がすごいのは、開発の成果物をきちんと「ベンチャー経営における単なるアセットの一つ」として適切に捉えたチーム運営です。そのためフェーズによって、過度な保守性を求めず即席でプロトタイプを作ったり、リファクタリング要員を確保する長期的なチームリソース配分をしたり、高度なチーム管理を技術的な理解の元で行っていました。ある種、PM要らずであり、私のような非エンジニアPMでは敵わない相手でもあります。

3人目に挙げるのは、大手→ベンチャーの経歴を持つCさんです。Cさんは非常に技術力が高く、常に最新の技術を勉強していました。彼がすごいのは、その技術力の高さにも関わらずQCDを意識して今必要なものを作れる点と初心者や他部署の人にも積極的に技術を教える点です。技術力の高さはあくまで引き出しの多さであり、それをどう使うかが重要であるということを体現していた人物と言えます。

最後に挙げるのが、現在フリーランスのDさんです。Dさんはフリーランスのため、これまでの人と異なりチーム運営には寄与しませんが、結果にコミットしていた人物です。彼がすごいのは、限られた接点(ドキュメントやチャットのみ)で要件を正しく把握し、求められている成果を想像以上に出していた点です。発注側からしたら仕事を片付けてくれる妖精さんのような存在で、要件定義書さえ整備しておけばいつの間にか機能ができていました。開発背景の理解力も非常に高く、こちらがチケットを書く前に「XXを作った方がよくないですか?」と聞いてくるので、導かれるままに結果が出ていくといった次第でした。

「イケてる」の分析と言語化

ここまで、イケてると思った人物をピックアップして記述してみましたが、どれも単に強いだけで、特徴を挙げてもしょうがないような気もします。でも、それだと記事にならないので、きちんと共通する項目を挙げていこうと思います。

組織のルールに忠実(4名中4名が該当)
社会人としては当たり前かもしれませんが、意外と、世の中でできている人は少ないように感じます。自分の職位・権限に応じて、適切に振る舞い、責任をとるのは思いのほか難しいです。ここに挙げた人物はみんなこれを完璧にしていたように思います。エンジニアとしてというより、単に社会人としての完成度が高いと言えるでしょう。

課題の解決策がすぐに出てくる(4名中3名が該当)
エンジニアなら誰もが憧れるスーパーハカーみたいな話ではないです。当然、最新技術に詳しいとか開発言語そのものをハックできるとか、色々できるに越したことはないですが、どちらかというと「過去の知見を元に解決策を出す能力が高い」というのが重要に思えます。多くの課題はそこまで高度な技術を要しないので、技術力も経験の豊富さが大事ということかもしれません。

コミュニケーション回数が少なくても問題ない(4名中3名が該当)
PMとしては非常に重宝する能力です。そもそも100点満点の仕様書をPMが書けたら良いのですが、それも難しいので、適宜質問してくれるコミュニケーションはほぼ必須です。この際、最小回数で必要なことを会話するには、お互いの共通言語をさぐったり、それを漏れなく伝えたりする技術が要ります。これもエンジニアだけでなく、あらゆる職種でも必要な能力かもしれません。

開発チームのハブになっていて、PMが相談しやすい(4名中3名が該当)
ワガママな発注者との会話だけでも潰れそうなPMにとって、開発チームまでもが敵に回るのは最悪の事態です。この時、「この人をおさえたら開発チームが回る」という存在は非常にありがたいです。どんな不満が出ているのか、要望はないのかなど、開発チームをよくするための提案アイディアを授けてくれる存在は、直接的なコーディングやテストでの貢献よりも重宝します。

「イケてる」エンジニア像の活用

最後の章では、読んだ読者の多くが思う「じゃあどうしたらええねん」について話していこうと思います。非エンジニアの経営者・管理職の方は、先天的な特徴を通して面接で能力を見抜くためのヒントを与えられたらと思います。また、イケてるエンジニアになりたい人には、後天的な特徴を通して、普段から心がけることで成長できる習慣について記述したいと思います。

まず、先天的な特徴としては「結果思考」という部分が共通していたような気がします。自分がどうあるかより、自分が作るものでチームや世の中をどう変えるのかを意識しているという意味です。これは採用面接の場だと、自社プロジェクトの状況を説明した時に、解像度の高い「僕ならこうします」が出てくる人物の印象です。技術的な解決だけでなく、プロジェクト管理方法や開発環境の整備などでも良いです。「私はこうしてみたい」ではなく、1人の社会人として結果を出すために「私ならこう動くことで、周囲をこう変える」を具体的に考えることができるかを見てみたいですね。

次に、後天的な特徴としては「丁寧さ」という部分に尽きると思います。雑な仕事というのは、本人の手戻りだけでなく周囲のレビュー工数を無駄にします。間違えることを恐れる必要はありませんが、一方でイージーミスを減らす気遣いも大事でしょう。丁寧な人には積極的に重要な仕事を任せますし、結果として成長速度も他を圧倒すると思われます。まだ、自分の時間単価が伸びないなど悩んでいる方は、

・過去のチケットを読み込んで開発の背景を把握する
・個別チケットで、一つ先まで考えた網羅的な質問をする
・Pull Requestの前にセルフレビューする

などを習慣化して、「丁寧さ」を重視してみてはどうでしょうか。

最後にアピールです。弊社では、こんなことを考えている社長の元で正社員エンジニア一人目を募集しています。幹部になりたいかは人によると思うので適宜相談です。業務委託は何名かいますが、みんなここに挙げたような素晴らしいエンジニアなので勉強にもなるかと思います。「力試ししたい」という方も、「成長したい」とこれからの方も、ぜひぜひ一度お声がけ頂けると幸いです。