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パガニーニのコンサートに行ったシューベルト

ヴァイオリンが上手すぎて悪魔と契約していると本気で信じられたパガニーニ。
1828年に始まったヨーロッパツアーの皮切りはウィーンの街でした。
その演奏会に行ったお客の中には、かの有名な作曲家の姿もありました。





パガニーニの演奏会に行くために家財道具を売った話はデマ

シューベルトがパガニーニのチケットを捻出するために、家財道具を売り払ったというエピソードが広まっていますが、これはデマです。漫画でも描いているとおり、シューベルトは3月に自分の演奏会を開いて、珍しく両手にいっぱいになるくらいお金があったと述べていました。ただし実際に家財道具を売ってまでパガニーニの演奏会に行く人々はいたようで、そんな貧乏人エピソードが、「貧乏といえばシューベルト…」(失礼)とくっついてできた話なのでしょう。

また、演奏会で得たお金がたまたまあったとはいえ、家賃の半額分もするチケットを友達のために買ってあげるシューベルトはかなりお人好しですよね。

シューベルトの演奏会の講評は新聞に載った!けど…

ではシューベルト自身の演奏会の評判はどうだったのでしょうか。
シューベルトの作品だけで構成されたプログラムでは、歌曲、弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏曲など盛りだくさんで、なかなかの好評だったと言われています。
ところが、その3日後にパガニーニの演奏会が開かれたため、皆の話題はパガニーニ一色になってしまうのです。当時の新聞には、

好ましい作曲家、シューベルトのプライヴェート・コンサートにも触れておこう。すべての人、すべての作品に多かれ少なかれ拍手が送られた。しかし、以下のことも明らかである。音楽の天球に輝く彗星(パガニーニ)の前では、小振りの星は光を失うのである。

音楽之友社 作曲家◎人と作品シリーズ シューベルト 村田千尋著 P118より

と書かれる始末。なかなかショックな内容ですよね涙 
しかしシューベルトはあまり気にしていないというか、本人もパガニーニの演奏に夢中だったようです。


このエピソードからも垣間見える、シューベルトのおおらかな感じも私は大好きです。



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