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残像


いま、あるテーマに基づいて、職人さんを取材している。
今日は、電気工事士さんにお話を伺った。
彼は父のお友だちであり、後輩だ。


彼のオフィスで、
「この椅子も僕が作ったの。ここに、アナタのお父さんが座って打ち合わせしていたんだよ。ここからなら、外の景色が見えて気持ちがいい、とよく言ってたなぁ」という、彼の言葉にあらためて、“やっぱりもう、父は過去の人間なんだなぁ”と。


でも、帰りしなに、その“椅子”に目をやると、
父の姿が、そこに……はっきりと見えた。
これは、勘違いでもなく本当に、そこに父の姿が見えた。


そしてまた、そこのオフィスにお邪魔したときの……
小学生のときの、私が、父の隣にいた。
そんな様子が、見えてしまった。

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