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教員の増加で残業問題は解決する?低コストな働き方改革を考えてみた!

今回は、以前にXでつぶやいた以下のポストについてです。

このポストに意外と多くの人にいいねをいただくことができ、いろんな方からのリプライもいただきました。

今回は、このポストに込めた自分の考えと、なかなか進まない学校の働き方改革を進めるために必要なことを"前向きかつ柔軟に"考えてみました。

「現状や事実、規則を正確に理解できてないよ!」とか、「そんなの実現不可能だよ」などのツッコミがあれば、コメント欄にドシドシ書き込んでください。


(1)冒頭のポストで言いたかったこと

冒頭のポストには、後日こんなポストを追加しました。

お分かりいただけるでしょうか?

冒頭のポストで言いたかったのは、"教員が増えたとしても、教員のマインドを変えない限り、残業は減らない。教員がマインドを変えよう!"です。

現在の教育現場では、ほぼ全員が100%の全力を出して働いているにも関わらず、定時出勤・定時退勤が困難な状況が続いています。

教師の担う仕事量が非常に多いため、勤務時間前から出勤し、勤務時間終了後も残業し、ようやく仕事が片付くという先生が大半です。
※一般企業なら残業代や手当が出ますが、教員にはそれもありません

教員の過大な仕事量や、残業の固定化の原因として、
・文科省の施策
・教育委員会からの要求
・管理職の方針
・地域や保護者からの要望
などが考えられますし、文科省・教育委員会・管理職の取り組みが不十分な点もあると思います。

しかし、もう一つの大きな問題が現場で働く教員のマインドだと思います。

教員(学校)は、2つ目のポストにあるように、仕事時間が減ると(残業してる分が減っただけなのにも関わらず)、
・新しい仕事を作り出す
・これまで以上に教材研究に時間を割く
などの動きをすることで結果的に残業時間が減らないことがよくあります。

2つ目のポストで言いたいことをもう少しわかりやすく図にまとめると以下のようになります。

① 現在1人あたり1日10時間仕事をしているとする

② そうすると、1人につき1日2時間残業をしていることになる

③ この1人あたり1日2時間の残業を抑制するために教員を1人加配する。結果として、全員が8時間の労働とするハズ。

④ ところが、教員(学校)は減った2時間を使って、新しい仕事を始めたり、既存の仕事に欠ける時間を長くする。結果として残業が減少しない。

教育現場で働いている方は、こういった現象をよく見るのではないでしょうか。

このような状況では、外部がどんな手を打っても一向に残業は減少しません。

今回の記事では、
・こういった教員のマインドがどこからきているのか
・どう解決したらいいのか
という点から、現場の教員一人一人が働き方改革を進め、時間的・精神的余裕を確保するためにできることは何なのか考えていきたいと思います。

(2)仕事を減らせない教師のマインド

教師が仕事を減らせないマインドになってしまう原因を考えていきます。

・終わりのない仕事

教師の仕事は、ここまでやったら終わりというラインを決めるのが非常に難しい仕事です。

一つの授業を展開するための手段が多種多様であり、準備したとおりに子どもが反応するかはわからないからです。

また、子どもに対するアプローチや手立ても無数に存在します。

そのため、ここまで準備したらOKというラインを決めるのが非常に難しく、「もう少し準備しておこう」、「もっと改善する方法はないか」と際限なく仕事ができてしまいます。

どこまで準備したら完璧な授業ができるというラインがないことは、教職の魅力である一方、仕事を減らす際のハードルとなっています。

・「子どものため」に頑張ってしまう

教師が働く際のモチベーションは、「子どものため」という気持ちであることが多いです。

多くの教員が、子どもが好きですし、目の前の子どもたちが成長する手助けをしたいと考えています。

「子どものため」になるのなら多少の残業は厭わない、という考えを多くの先生がもっているのも事実です。
※定時退勤を心がけている先生方もいらっしゃいますが、全体としては少数派です。ホントは定時退勤が望ましいと思いますが…。

自分の時間や家族との時間を犠牲にしてでも、「子どものため」に尽くす教員がいい教員として評価される雰囲気もあり、これも仕事の削減を阻害する要因の一つです。

・「熱心な教師」というあいまいな評価基準

教師に対する評価も非常はあいまいです。

・クラスの学力や意欲が○○%向上した
・不登校生徒が〇人登校できた
・生徒や保護者のうち、指導に満足している割合が〇%以上

など、具体的な数字で評価されることはなく、

・与えられた仕事をどれだけ早く正確にこなしている(ように見えるか)

といった感覚的であいまいな評価が行われています。

朝早く出勤して夜遅くまで働いている先生ほど、仕事熱心でやる気がある優秀な教員と評価される傾向もあります。

逆に、仕事を効率的に進めて定時で帰るように努力している先生は、余裕があるとみなされて、新しい仕事を割り振られることもあります。

残業して仕事をする教師が評価され、定時で帰る教員が評価されない職員室内の雰囲気は、仕事の削減を阻害する要因と言えます。

・残業代が出ない

教員には、残業代が支払われることはありません。よって、残業代支給を避けるために業務削減を行うという力が働きにくい構造になっています。

逆に言えば、教員は自分がよければトコトン残業して、こだわりにこだわりぬいた授業を行うこともできます。

この構造に、

・「終わりのない仕事」という仕事の特性
・「子どものため」というモチベーション
・「熱心な教師」という周りからの評価

が掛け合わさることによって、なかなか仕事を減らすことができない状態になっている教師が多いのだと思います。

(3)残業の解決策

(2)で挙げたように、教師は残業を減らすのが難しい仕組み・雰囲気の中で仕事をしています。

外部が残業を減らすための取り組みをしているにも関わらず、一向に教員の残業時間が減少しないという原因もここにあると思います。

残業が減らない結果、教職はブラックだというイメージが定着し、教員志望者が減少、人員不足によって多忙化が進み、さらにブラックな職業と化すという悪循環が続いています。

また、教員志望者の減少は教師の質の低下にもつながっており、様々なトラブルの原因となってくることも予測されます。

この状況を改善するためには、教師のマインドと仕組みを改善し、教職を魅力あるものにしていく必要があります。そのための方法を考えていきます。

・教師のマインドの変化

まずは、教師がマインドを変える必要があります。

僕は、"教師全員が定時に帰宅できる状態になるまで、業務削減と効率化を行うべきで、どうしても必要な業務であれば残業代を支給して行えばいい"と考えています。

今の授業や学校行事の多くは、教員の時間外勤務で成り立っています。これを一度見直すべきではないでしょうか。

ずっと荷物をかかえたまま、時間的にも精神的にも余裕のない状態で展開される教育がいいものであるはずがありません。
・決まった勤務時間の中で、どうしたらより良い教育ができるか考える
・時間的、精神的余裕があるほうが、良い教育ができる
という共通認識をもつことが必要だと思います。

そして、聖域なくすべての業務を見直し、時間外勤務の原因となっているものについては削減または効率化し、時間内で教育的な目標を達成するためにはどのような方法があるかを考える必要があると思います。

多くの教員が"時間外勤務につながっている業務は見直すべきだ""しっかりと休息をとるべきだと"マインドを変えることで、働き方改革を進めることにつながると思います。

・教師の残業=社会的コストへ

教師がマインドを変えるだけでは、働き方改革は進みません。制度の変更も必要だと思います。

教師の残業問題を解決するには、"教師の残業が社会にとって損な仕組みにする"ことが有効だと思います。

現在は、教員に残業代が支払われていないため、教員をどれだけ残業させても、教員に支払うコストは上昇しません。

むしろ、なるべく長い時間でなるべく多くの仕事を与えた方が、一仕事あたりのコストが下がることになります。

これでは、教師の残業を減らそうとはなりません。多くの人は、自分がコストを払うことになって、ようやく教師の働き方改革を進めようと考え始めると思います。

・残業代の支給

まずは、残業代の支給です。残業代はそのままコスト増加につながります。財政的な余裕のない自治体は、残業代支給を抑制するために、学校の業務削減や効率化に対して、積極的な働きかけをしてくると思います。

また、残業代は通常よりも割増しになるため、4人が8時間残業するなら、正規の教員をもう一人雇った方が安く済むというケースも出てきます。

教育現場に人が増えることで、一人当たりの仕事を削減することができるかもしれません。

・管理職のマインド変化

管理職の考えによって、働き方改革が阻害されることも多いです。

管理職は、
・職員の方を向いて積極的に働き方改革を行うタイプ
・子ども、保護者の方を向いて、要望を積極的に取り入れるタイプ
・変化によるリスクを避け、現状変更を望まないタイプ
などのタイプがありますが、このうち職員の方を向いていない管理職が多い印象です。

なぜなら、現状維持や子どもや保護者の要望を聞く方が、リスクが低いからです。

働き方改革を行えば、行事の縮小や部活動の短縮など、子どもや保護者にとってはマイナスになるような改革も行わなくてはいけません。

やりたいと思う管理職がどれだけいるでしょうか?管理職にとっては働き方改革の実行は、保護者や地域の反発を招くリスクを抱えており、積極的に推進する理由に乏しい状態になってしまっていると思います。
※もちろん、職員のために頑張ってくれる管理職の先生もたくさんいます

管理職にとって、働き方改革を進めるための後押しが必要だと思います。

その方法の1つとして、"自治体内の各校で平均残業時間を算出し、自治体のHPで公開する"というのはどうでしょう?

HPで公開することで、他校との違いが明確になるとともに、市民の目にさらされることで、働き方改革への協力を呼び掛けやすくなります。

現在集計している勤怠管理のデータをうまく活用すれば、それほどコストをかけずに、
・管理職の働き方改革へのモチベーションを高められる
・学校の残業時間の多さが視覚化され、働き方改革への協力を求められる
などのメリットを得られます。

管理職のマインドは、学校の業務量を考えるうえで非常に重要なので、「早く帰れよ~」と口で言うだけでなく、具体的に業務削減に乗り出そうと思えるような仕組みづくりをする必要があると思います。

・管理職に対する職員からの評価

管理職はどうしても職員よりも、子どもや保護者、地域を優先しがちです。職員の方を向いて、残業抑制に力を入れるようにするために、年度末に職員が管理職を評価する機会をつくるのはどうでしょう。

管理職が職員を評価するだけでなく、管理職も職員から評価されることになれば、これまでよりも職員の方を向いて働き方改革を進めようと考える管理職が増えるかもしれません。

アンケート結果は、教育委員会で集計され、集計結果のみが通知される方式だと、職員も正直に回答できるかもしれません。

・仕事の分担や評価:業務量の可視化で公平に行う

学校の仕事は、完全に平等には分担されていません。仕事の早い人(仕事ができる人)に多くの仕事が集まってしまいます。

残業する時間も人によって様々で、抱えている仕事が多すぎる人はどれだけ一生懸命仕事に取り組んでも、残業せざるを得ないような状況になっていることもあります。

こうした仕事分担の不平等感を解消し、全員で均等に仕事を分担するためには、現在抱えている仕事や残業時間を可視化する必要があると思います。

学校では、誰がどんな仕事をしているかはなんとなく把握されているだけですし、同僚の残業時間もなんとなくしかわかりません。

勤怠管理と連動して各教員の残業時間が見えるようになると、仕事負担の偏りも見えるようになります。それにより、
・不要な業務を削減する
・余裕のない先生から余裕のある先生へ仕事を移す
などの対応が可能になります。

・年齢層や家庭環境に応じた働き方

年齢や家庭環境によって、どれくらい仕事に比重を置くことができるかは変化していきます。独身の先生なら自分の好きなだけ仕事に時間を使えますが、子どもがいたり介護が必要だったりするとそうはいきません。

多様な年齢や家庭環境に応じた働き方を導入するのも残業の解決になるのではないでしょうか。

この辺りは、デジタルの力を使いつつ、フレックス制や10時間×週4日勤務、複数校の掛け持ちや在宅勤務など、今の時代に合わせた柔軟な働き方を実現する必要があると思います。

こうした柔軟な働き方を実現するためには、学級担任制度が一つのハードルになります。時代の変化に伴って、学級担任制も見直していく時期に来ているのかもしれません。

(5)まとめ

今回は、働き方改革を進めるためには教員のマインドチェンジが大切という話をしてきましたが、いかがだったでしょうか。

教員の働き方改革が中々進まないのは、文科省や教育委員会、管理職だけの問題ではなく、現場で働く一人一人の意識の問題でもあります。

教員がマインドを変化させ、時間と心に余裕をもって教育にとりくめる職場環境が実現してほしいと思います。

また、そのために外部ができる低コストな改革案を導入し、学校の働き方改革を一層推進していってほしいと考えます。

今回の記事が、みなさんの参考になれば幸いです。

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