短歌52

2022/4/4

ありあまるアリア踏み切りの向こうに今もあなたがいる気がしてる


2022/4/7

ふたしかなものほどきれいきれいではなくていいから確かでいてよ


夜桜に喩えてくれた人がいてブルーライトも光源だった


きおく、って言うくちびるの言う記憶 友達なのにだめだと思う


2022/4/14

どうせなら海から見える町がいい「海から?」って二人分の風


2022/4/23

ここが夏 目を細めれば少しだけ似てしまう顔が嫌いなんだよ


情だった 水面の上のきらきらか中のきらきらかを話せば


これは怠惰がゆえの白湯 他人から見える私はほぼ他人だよ


いちじくのパンを頬張るいちじくのパンはいちじくたっぷりで好き


春だったことわすれない遠くなるごとにあなたで満たされる街


2022/4/25

プールサイド・リバーサイド・バイユアサイド さよならぼくの眩しいすべて


2022/4/27

また垢を消したのだろう饒舌なほうのあなたがサークルにいる


2022/4/29

スカートを折ってネクタイを外してマクドできみと暮らしたかった


2022/4/30

着たいもん着たらええねん春風に数えてしまえばそれは春風


なんらかの虫鳴いていて虫は別に人に聞かせてはいないけど


2022/5/5

葉桜になりたての葉桜そよぐきみを待ったらきみが来たんだ


わたしのことをたいせつにしてくれたひとビー玉は透明だからきれい


ゼリーにはできなかったと言いながら作ってるそれがなんであろうと


そのさなか(それが夢でもうつつでも)わたしが触れた花びらがある

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