山雀ぐり

↑ やまがらぐり と読みます。 2020年現在 50歳男、詩を書いています。 所属:ネ…

山雀ぐり

↑ やまがらぐり と読みます。 2020年現在 50歳男、詩を書いています。 所属:ネット詩誌「MY DEAR」,中日詩人会。 趣味は、バードウォッチング。 エリック・クラプトン好きのなぜかベーシストです・・・ ※作品の盗用・無断転載を禁じます

マガジン

  • 詩(2019年~)

    30代前半以降 詩作から離れていましたが、 49歳の 2019年から再開しました。 その詩を掲載していきます。

  • 詩(20~30代の作品)

    私がまだ二十歳の頃の 1990年頃の詩と、30歳過ぎの 2001~2003年頃の作品を掲載しています。

最近の記事

夕暮れ   2024/8/23

金属疲労ってほんとだろうか あんなに…… あんなに硬い金属がだよ 疲れるなんて 街灯に聞いてみた ねえ 君 疲れてるの もしそうなら言ってね 急に倒れられても危ないし 駅前の時計台にも聞いてみた ねえ 君 疲れてるの もしそうなら教えてね 君がいなくなると寂しいし どっちも答えてはくれなかった 答える力もないくらい 疲れきっているのだろうか だとしたらみんなだね 電車やバスも コンクリートも おりしも夕日が包みこむ 世界を すべての疲れし者たちを そのときだ

    • ショータイム   2024/8/23

      影はすてきな水墨画 ついつい見逃しがちだけど 瞬間瞬間 今いまの 光とモノの位置をとらえて 最もあるべき形を描く どんなシミュレーションより早く 特に夜 街灯の下を歩くとき くるっと回転するのはおもしろい そう 影はすてきな水墨画 ボールは偉大な数学者 これまた瞬間瞬間の 種々条件をかんがみて 物理の法則を一瞬で解く パソコンなしの暗算で このスピードで飛んできて この角度で打たれたら どこまで飛ぶか どう飛ぶか そう ボールは偉大な数学者 ピッチャー 第一球を投げました

      • 蒸発   2024/7/27

        コップから汗が噴きだす 玉のような汗が そうか コップも暑いのか 机がもうびちゃびちゃだ  (いったいどこから来たのだろう この水たちは) 職場は暑い 今日も暑い やがて水はなくなった いわゆる蒸発という現象をした  (いったいどこへ消えたのだろう あの水たちは) どこからともなく現れて どこへともなく消えていく まるでもう人間じゃないか そういえば子供の頃 〝人間が蒸発する〟は ほんとに蒸発すると思ってたっけ そんなわけない ほんとだったらコワいわ あれっ A

        • 物欲の果て   2024/7/27

          炎天下を歩く くらっとした うわっ倒れる 何とか耐えた でも考えたら無理もないか だってこんな足の裏だけで 全身を支えているんだもの しかも動物なら足四本 かつ体型は横長なのに われわれヒトは足二本 かつ体型は超タテ長で それで歩いたり走ったり しかもこんな炎天下をば そりゃ倒れそうにもなるというもの じゃあなぜご先祖様の猿人は 二足歩行なんかになったのか 「手で物を運ぶためだった」 という説が有力らしい えっ 物欲? でも ほんとだ 俺 今 確かに買い物袋を 両

        夕暮れ   2024/8/23

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        • 詩(2019年~)
          121本
        • 詩(20~30代の作品)
          45本

        記事

          二〇二四年   2024/6/29

          今年は 西暦二〇二四年 一年後 西暦二〇二五年 まあOK 十年後 西暦二〇三四年 まあOK 百年後 西暦二一二四年 まだOK 千年後 西暦三〇二四年 やや微妙 一万年後 西暦一二〇二四年 いや ムリでしょう 年数が五桁なんてありえないでしょう 世界中のコンピューターがトラブるよ いや 五桁云々より前に たとえば西暦六八九二年とか もう多すぎておかしいでしょう 変えるべきだ 年号を できれば二五〇〇年くらいまでに じゃあ いつ変える 願わくはイエスキリストみたいな人が

          二〇二四年   2024/6/29

          時間ゴム   2024/6/29

          うさぎの寿命は七~八年 人間の約十分の一 きっとうさぎから見た人間は とんでもなく長寿な生き物だろう 人間の感覚で言うならば 樹齢千年の大樹のような 逆に大樹からしてみれば 人間はうさぎだろうか そう 時間は変わる 目線しだいでどうにでも きっと時間はゴムなんだ そう考えたらおもしろいでしょ 楽しい一日はうさぎ目線で 十日に伸ばして楽しもう 悲しいときは大樹目線で 十分の一に縮めちゃおう うさぎやペットとふれあうときは 十日分の濃縮ラブでお願いします 人生が短くはかな

          時間ゴム   2024/6/29

          新・維新の志士   2024/5/30

          うちに坂本龍馬がいます はい あの坂本龍馬です 袴にブーツ 右手にピストル 懐手して 遠くを見つめて立っています 何を見つめているのでしょう 日本の夜明け? いや 布団袋です 何しろここは ぼろアパートの ウォーキングクローゼットの中 前の住人が剥がし忘れた? いや こんな巨大ポスター どう考えたってわざとでしょう 大家さんも見て見ぬふりしたか おかげでここに住んでから 毎日 龍馬と こんにちは 毎晩 龍馬と こんばんは 龍馬さん いつもテンション高く 特に朝はマ

          新・維新の志士   2024/5/30

          千年後のキミへ   2024/5/30

          うちにペンギンがいます 亜熱帯の部屋に しかも三羽も その名も シャンプー コンディショナー ボディソープ くちばしの向きをそろえて いや そうでもないですね 自由な向きで立っています くちばしからは普段は液体 でもときどき空砲が出ます すると私も空砲を出す ああ また〝儀式〟の日が来たか ため息という名の空砲を よかったら想像してみてください 夜浴室でいい歳をした男がひとり 裸でシャンプーを詰め替える図を こんなわびしさ あるでしょうか でもいま気がつきま

          千年後のキミへ   2024/5/30

          三六六季   2024/5/2

          季節の変わり目ですのでご自愛ください というけれど 季節の変わり目っていつだろう 毎日なのではなかろうか 同じ春でも 今日の春は昨日と違う 明日の春もきっと違う 明日はもう春の絵の具に 夏が混ざっているかもしれない 地面の中でセミの子が もうそろそろかなと目をあけて けだるく伸びをするかもしれない 空の上では入道雲が ごしごしと頭をみがいて 組立体操の練習を始めるかもしれない 四つじゃないよ 毎日です 季節 しかり 人生 しかり あっ 今も変わっています

          三六六季   2024/5/2

          地球儀ゲーム   2024/5/2

          くるくる回す 地球儀 回す 目をつむって 指でストップ さてどこだ? 海だった 海のもくずか… また回す また止める おっ 陸だ ハロー アメリカ! もう一回 また海か ぶくぶくぶく… よし 今度こそ おっ ここは? 你好 チャイナ! しかしあれだね やっぱレアだね 日本の上に止まるのは 大陸でさえ困難なのに いわんやこんな島国じゃ 確率はほぼほぼゼロか いや そうでもないよ 足元をよく見てごらん ほら もう止まってる アメリカでもない チャイナでもない

          地球儀ゲーム   2024/5/2

          シカとも   2024/4/5

          シカバネちゃんが歩いてく ゆらゆらと 柳のように シカバネちゃんが歩いてく まるで生きてるかのように いや もちろん生きてるんだけどね れっきとしたニンゲンなんだけどね でも彼女はシカバネちゃん まるで生きてる気がしない だって音がしないもの そう 彼女は音をたてない ドアを閉めるときも 階段を降りるときも そういえば話し声も まだ聞いてないかも 世界は音であふれてる でも美しい音はほとんどない 世界は言葉であふれてる でも美しい言葉もほとんどない だからや

          シカとも   2024/4/5

          幻桜   2024/4/5

          ある春の夜 つきあいで遅くなり タクシーで家に向かった ふと見ると みごとな桜 「すみません 止めてください」 タクシーが路肩に止まる 「ここで待っていてください  すぐ戻ります  かばんを置いていきます」 スマホを持って車を降りた 数枚撮って戻るつもりが 間近で見るとつい見とれた 花びらが淡く光って まるで浮かんでいるようだ 桜に限らず およそ花びらというものは 実はかすかに発光しているのではないか 私はつねづねそう思っているのだが だとしたらこの無数の花は

          幻桜   2024/4/5

          グリとぐり   2024/3/9

          うさぎは鳴く 知らなかった 鳴かないと思っていた でもグリが教えてくれた うさぎは鳴きます うれしいとき なでられたとき 心が弾んでとまらないとき グッ グッ グッ 小さな声で ごくごくまれに なんてかわいい声だろう 詩かもしれない 心ある者 ずっと黙してきた者が ついに放つ至上の言葉 無垢な歌 そんな詩を ぼくも書けたら グリちゃん ぼくも ぐりになったよ ペンネーム ぐりにしたよ グッ グッ グッ グリが笑った

          グリとぐり   2024/3/9

          巡礼者(ピルグリム)   2024/3/9

          つまずいた 今日もまた 街なかで わずかな段差で 世界は段差で満ちている すきあらば私を転ばせようと 果たせるかな 私はこけた 右手のスマホ 左手のかばん 財布にカギに社員証 一切合切投げだして 腹ばった 大地のうえに 転がった まるで五体投地のように そうか これは巡礼なんだ とするとここはチベットか ビルはヒマラヤ 喧騒は祈りの声か  ころびつつ まろびつつ  すすみゆく わが旅路かな  いざ行かん 聖地ラサへ  いつの日か 安息の地へ 立ちあがる 気をとり

          巡礼者(ピルグリム)   2024/3/9

          夕陽の勇者   20204/2/10

          影がのびる 東へのびる ということは 背後から照るあれは 夕陽だろうか 燃える赤 炎の城だ 影があるく 東へあるく ということは僕はまだ 生きているということか こんなにも満〝心〟創痍というに しぶとい奴だ 心は弱い でも体は案外強い 今日もちゃっかり生きている 交差点 影がずんずん車道へのびる その上をバスが走った 今度こそ万事休すか 再起不能か けれども影は慣れたもの 忍者のようにバスに張りつき すぐまた地面に戻った

          夕陽の勇者   20204/2/10

          朝陽の勇者   2024/2/10

          ぼくは美男子 ではないけれど でもたまにある 図々しくも自分の顔を いい顔だなと思う日が 逆もある 何だ このヘンな顔 鏡の前で落ちこむ日 そう 顔は違う 同じようで毎日違う たぶん動いてるんだろう 大陸みたいにじわじわと 顔プレートがじりじりと 心というマグマを抱いて 鉄面皮という〝顔〟盤が そうか 顔は地球なんだ 目は湖 鼻は山 口は巨大な海溝か ときどきニヤッと裂けて 今日も生きる この顔で はるか地平のおでこから 今日も眩しい朝陽が昇る

          朝陽の勇者   2024/2/10