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"Being"(ビーイング)について再び完璧な言語化を試みた件[後編]

 お世話になります。山田です。この記事はビーイング"Being"に関する前編後編に分かれた2本立ての記事の2本目です。前回の記事では、ビーイング"Being"について、その成り立ちや「内側の安心」というポイントなどを解説しました。

 今回は、[Be=在る]を感じる方法について3つの観点を紹介させていただきます。



[Be=在る]を感じるためのポイント①「開く」

「開く」を通してあらゆる声や感覚に耳を傾けオープンであることで、[Be=在る]を感じるスペースができる

 ここからは、[Be=在る]を感じるための実際的な方針について書いていきます。一つ目は、「開く」です。

 「開く」と逆の感覚から説明させていただきます。「閉じる」とは「守る」「防御する」とか、あるいは「逃避する」といった言葉が連想できます。例えば、西洋の甲冑をイメージしてください。「守る」ことには優れていますが、自由で柔軟な動き、表現は難しいでしょう。

 「開く」というのは、そのような甲冑を脱ぎ捨てた状態です。あらゆる感絵、感覚、願いに対してオープンであること。受容的であること。判断や皮肉もなく関わりつながろうとすることを意味します。

 ここに、具体的な3つの「開く」ポイントがあり得ます。
-開かれた思考:好奇心
-開かれた心:思いやり
-開かれた意志:勇気

 不思議さと驚嘆を持って好奇の目を向けることは、評価や判断で硬直した思考をブレイクスルーします。心の底から深い共感を感じる思いやりによって、皮肉や諦めといったシニカルさを越えてつながることができます。開かれた思考と心によって浮かび上がってきた願いを実践するために、最後にはえいという勇気と意志の力が必要で、それは恐れを越えていく原動力になります。

 この「評価・判断の声」「皮肉・諦めの声」「恐れの声」が「開く」を実践する上で大きな壁となります。しかし、大事なことはこれらの声も無視しないことです。全ての反応に耳を傾け、完全に無視されることがないようにするイメージです。もう少し簡単に言うと、どこまでも内面に正直であること、が重要だったり。

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[Be=在る]を感じるためのポイント②「今ここに根ざす」

「今ここに根ざす」を通して、過去でも未来でもない今この瞬間を、とりわけ身体のパワーに委ねながら、地面にしっかりと立つ

 [Be=在る]を感じる2つ目のポイントとして、「今ここに根ざす」について書いていきます。「今ここ」というのはやはり現在です。[Be=在る]の「在る」から連想される熟語としての「現在」は難しくないでしょう。「今ここ」というのは、現在をさらに主観的な体験に寄せた表現と考えてください。ゾーンやフローのような、その瞬間や行動に没頭している時の時間間隔です。

 では「今ここ」すなわち現在に対して浮かぶ「過去」「未来」は[Be=在る]とどのような点でマッチしないのでしょうか?

 ここでは、[過去:後悔][未来:不安、恐れ]を想定します。過去に意識が囚われすぎるとき、人は後悔をどうこうしようというエネルギーから動きます。また、未来へと囚われすぎると、不安や恐れをなんとかしようという動きになります。

 何が問題なのか。過去への執着は固定的なパターンに固執してしまうことにあり、未来への過度な対策は地に足がつかなかったり現在の幸福を感じられなかったりということにあります。どちらも、「今ここ」つまり現実に根を張っていないのです。内側が安心で満ちていないとも言えます

 では「今ここに根ざす」ためにどんなTipsがあるのでしょうか?ヒントは身体です。身体は「今ここ」の時制しか知らないからです。「あっちに向かいたい」「これはちょっと怖い」などと、自律神経や筋緊張のレベルで身体はメッセージを発信してくれています。

 そのため、身体がどんなメッセージを発しているかに耳を傾ける、というのがすごく大切になります。喜びをもって自然と動いてしまうような時、身体はどういう反応をしているか?それはだいたいどんな時、条件なのでしょうか?

 また、身体の硬直を感じた際にそのメッセージに耳を傾けるのは、ある意味「開く」の実践とも言えます。ネガティブと言われているような反応や感情にスペースをつくってあげるイメージです。「開く」ことで「今ここ」に戻りやすくなるのです。

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[Be=在る]を感じるためのポイント③「大切なことをする」

「開き」「今ここに根ざす」ことを実践した上で、改めて気づいた「自分にとって大切なことをする」のが[Be=在る]の核心

 ここまででオープンで、現在に根を下ろした自然な在り方を手に入れたとします。しかし、それだけではなんだかフワフワと浮いた蓮の花のようです。しなやかに、したたかにビーイング"Being"を探求し「自分は何者か」を表現する上では、3つ目のポイントである「大切なことをする」ことが大切になります。

 なぜ改めて当たり前のことを言うのか。「大切だと思っていること」はあまり大切ではないケースが多いからです。意識はたった一部で、深い無意識が人間を動かしています。無意識下での影(シャドー)を表面化しないために、意識上のモチベーションや価値づけは歪曲されているのです。そのため、意識で「大切」と思っていることは、あくまで「大切なことの一部」に過ぎません。その背景には、無意識下にある他の大切なこと(それは多くのケースで何よりも大切なこと)がなかったことにされています

 自分や他者に対して開かれ、今現在に根を下ろしたならば、それまでとは違った質感・手触りの「大切にしたいこと」が現れてくるかもしれません。それは家族や恋人かもしれませんし、クライアントかもしれませんし、「発展途上国」の子どもたちの笑顔かもしれませんし、刺激のある都会での暮らしかもしれませんし、情熱の溢れる事業を起こすことかもしれません。

 「開く」ことで、不安や怖れに依存しづらくなります。「今ここに根ざす」ことで過去や未来に振り回されづらくなります。このように内側が安心で満ちたときに、自分の望む世界に対して才能も弱さも認めて「大切だと思うこと」にコミットする。ここに、[Be=在る]の核があり、[Be=在る]状態そのものがビーイング"Being"なのだと言えるのではないでしょうか

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ビーイング"Being"がどう世界を変えるのか?

ビーイング"Being"によって、個々の深い構造の変容が起きた時、その氷山の一角としての出来事(現実)が変わっていく

 なぜこれほど一生懸命にビーイング"Being"を解説するのか。それは、ビーイング"Being"が世界を変えるのではないかという仮説を持っているからです。

 [Be=在る]において、無意識は徐々に意識化されて安心の中に自分を置くことができます。そうすることで、自己防衛のための固定観念を保留することができ、「今その瞬間」で本当に重要なことに舵取りを行えるようになります

 これを日常的に自分が行っている姿を想像してほしいのですが、ものすごい成長がそこには見えないでしょうか?それも、自分の中にアプリを積み上げていくというより、OSそのものが更新されるような深い構造の変化(≒発達)です。成人発達に関する知見では、発達を「自己中心性の減少」と表現します。「あらゆるものを順番に包み込んでいくこと」とぼくは解釈しています。ビーイング"Being"に取り組むというのは、人間の本質的な発達・進化(変容)をもたらすのです。

 また、そのような個人的な変容が、集合的に起こるとしたら?ぼくのnoteでは毎度おなじみの氷山モデルにおける「できごと」が変わりうるのではないでしょうか?(集団のそれぞれが持つ「無意識の前提」に大きな変化があるからです)

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 本記事を通して伝えたかったのは、ビーイング"Being"のなんたるかではなく、ビーイング"Being"の可能性についてです。本当に世界を変えてしまうかもしれないこの概念が、深く広く染み透ることを祈っています。この記事の存在が、その一助となることも併せて。



*おまけ告知
対話による自己理解のオンラインスクール「生き方テラコヤ」では、今回解説したビーイング"Being"を始め心理学などに基づく自己理解の知見を動画コンテンツで配信しています!

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