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初めて観た素劇「楢山節考」

私は松山市民劇場と言う観劇会に入っています。演劇を観るのが好きな人たちの会員制の演劇鑑賞団体です。
自分が観たいと思う芝居をチケットを買って観劇するのではなく、会員たちが事前に投票で決めたお芝居を2ヶ月に一度観劇するのです
自分の好みではない芝居も含めて、様々なジャンルの芝居を観られるのがいいところだと思っています。

先日観たのが「楢山節考ならやまぶしこう」でした。
タイトルを見た途端「暗いテーマだな、姥捨てのお話なんて、なんだか身につまされる」そんな感覚を覚えました。

深沢七郎原作の「楢山節考」は、これまで映画やドラマで何度か見た記憶がありました。
特に映画は名匠今村昌平監督の作品が有名で、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞したこともあって印象深く残っています。40年も前の作品です。映画を観たのは、私が20代後半だったのでテーマの受け止め方が今とは大きく違っていました。

パンフレットには素劇すげきと書いてありました
「素劇」って何だろう。
演劇通の友人と「舞台のセットが無いのかな」
「衣装だけで、装置が無いのかもね、朗読劇じゃないよね・・」
などと話しながら、予備知識なく見始めました。

舞台には箱のようなものが数個置かれているだけで、役者は全員作業着のような格好で、衣装と思えるものは着けていません。黒子が演じているような雰囲気です。建物も何も無いのですが、紐を使って建物の存在を表現しています。

舞台の下手に演奏者が一人いて、様々な効果音を生で聞かせます。音楽劇のように歌唱する部分もあり、不思議な舞台構成でした。
舞台は休憩なしの2時間でしたが、退屈することはありませんでした。
役者の存在感、演技力、セリフ回し、歌唱すべてが問われる舞台だったと思います。

観る人は、自分の想像力を柔軟にして、物語にのめり込んでいきます
とてもいい舞台だったと思います。
難しくなく、おとぎ話のようにテンポよくその世界に引き込まれていきました。

私は、後2年で70歳になります。
芝居の中では70歳を向かえたら、村ではみんな姥捨て山に行くのです。何とも貧しい時代の切ないお話で、深く深く考えました。

劇団1980の「素劇 楢山節考」私にとって素劇の魅力に初めて触れたお芝居です


【毎日がバトル:山田家の女たち】

《演じる人の素の力が大事なんかなー》

※92歳のばあばと娘の会話です。

「私も昔、本を読んだことがあるし、この年になっても作者の名前も覚えとるくらい胸に迫る物語じゃったわい、それから何回かテレビでも見たけどその度に涙が出たわい、おりんさんの名前も覚えとる」

「お母さん、素劇って知らんかったろ」

「セットがほとんど無いんかね、それは余計に演じる人の素の力が大事なんかなー、あんた物凄い舞台を観たんじゃねー

見終わって何日か経っても心に残る不思議な力がある舞台でした。

最後までお読みいただいてありがとうございました。
たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。
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また明日お会いしましょう。💗


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