詩 - 2019-10｜山田萌

音楽がやむと
雨音がきこえる
しとしとしとしと

小鳥のさえずり
二羽のおしゃべり

彼方の飛行機
低いうなり

耳のそば髪がゆれ
かすかな衣擦れ

世界は音に溢れている

橙の電燈
ピアノソナタ
硬質な残響
極微量の

頁をめくるめくるめくる
夜毎繰り返される
正しく眠るためのそれ

あのひどい嵐の翌日
秋の香りが鼻腔をくすぐった

呼び覚まされた記憶
引き戻される鼓動

季節は僕らを置いていく
先へ先へと歩みを進め
芳しい花かくも儚く散ったなら
次に来たるは何色か
#詩 #自由詩 #秋

あらゆる事象に君の影を見る
ほんとうに止むのかと疑われた雨は
いつの間にか上がり
オリオン座のはしっこに手紙を託した

未来のはなし
とおい未来のはなし
かと思えばほんとうはちかい未来のはなし
宇宙空間に散りばめられ
ひっそりと交わす
紛れてもこぼさぬように

詩