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春分の京都旅行「因幡薬師 後篇」町衆に愛された町堂


こんにちは。

そういえば気づかぬうちに第24回京都検定が実施されていたのですね。3級試験に1522人が挑戦し一年前の第22回と比べて受験者数が51人増加しました。これは大変喜ばしいことです。しばらくしてから京都新聞HPで全問題と解答が掲載されるので私もチャレンジしようと思っています。勉強していないから100点は絶対ムリだろうなぁ。

わたくし昨年末に京都検定二級を受験し見事合格を果たすことが出来ました。もちろん本年も受験する予定です。ターゲットは一級、・・・ではなく二級です。二年連続合格を目指します。

「参加することに意義がある」というオリンピック精神なるものがありますが今の私では準一級さえ届くことはないでしょう。過去問というのがありますから傾向を知るためだけに受験する意味はまったくありません。最近文章量が多くなった私のnoteですが、一級試験では小論文が五問ほど出題されるので実はその練習を兼ねていました。早ければ来年あたりに一級チャレンジできるよう調整していきたいですね。

そんなわけで、私の観光記は9月あたりから年末頃まで内容がガラリと変わります。今考えている企画は京都検定学習状況のご報告と京都本のご紹介です。アニメや映画の感想も書くかも。やはり一年ずっと同じペースを保ちづつけるって大変ですね。2024年の旅は近日予定している猛暑の嵐山ほか、秋頃に二回くらい行ければいいかなって。

京都の魅力は底が大変深くて全容がまだ明らかになっていません。今後も驚きと発見をたくさん伝えていきたいと思っています。皆様にとっても楽しい京都観光になれるよう試行錯誤しつついろいろとがんばっていきますね。

それでは旅の続きに参ります。今回は後篇です。


正面に見えるは観音堂です。

洛陽三十三所観音第二十七番霊場になります。平安時代に西国三十三所の代わりとして後白河法皇が洛陽三十三所観音巡礼を定めたそうです。

私は以前西国三十三所や水曜どうでしょうに憧れて四国八十八ヶ所お遍路の旅を考えたことがありました。これらは両方とも交通の便が整った現代でさえ高難易度の巡礼旅です。さすがの私もそれらを完遂するほどの信仰心は持ち合わせていなくて今日まで行動に移すことが出来ませんでした。

その点、洛陽三十三所観音霊場はすべて京都市内にあります。京都市交通の地下鉄・バス1日券を活用すれば旅費負担はかなり軽減することができます。京都観光初心者にこそオススメしたい京都のお寺めぐりコースですね。

後白河法皇グッジョブ。


左から順に歓喜天、和娯地蔵尊、十九所権現になります。

赤提灯って妙な魅力がありますよね。昼間でもふらふら立ち寄りたくなってしまいます。


大日如来及び両脇侍像の祠です。

両脇に控えているのは不動明王と弘法大師でしょうか。


因幡薬師は真言宗智山派寺院ということで、大日如来の脇侍は不動明王と弘法大師様であるに違いないと勝手に思いこんでいました。再調査したところ上記のブログを発見。「金剛夜叉明王像」と「毘沙門天像」であることが判明しました。真言宗ではなく五大明王の方向性で考えるべきでしたね。まだまだ仏像初心者の私です。しっかり特徴を捉えて説明がなくても判別できるようになっていきたいですね。

2024.07.20《追記》


御神木のあるお庭になります。


右に見える威厳のある坐像は閻魔天になります。

ドラゴンボールや幽☆遊☆白書世代にとっては説明不要の閻魔様ですが、日本昔ばなしを知らない十代あたりは知らない人が多いかもしれませんね。公立学校では政教分離原則により宗教観を教えてはくれません。もしそっち方面に詳しい小中学生がいたとしたら、彼らはきっとサブカル大好き少年少女だと思われます。私も死の概念や戦争の無慈悲さを漫画やアニメで教わりました。


こちらは本堂大屋根の巴蓋として1886年よりお堂を守ってきた贔屓ひきになります。

127年ぶりに地に降りて現在はこのように展示されています。皆様御存知の贔屓ひいきは、龍が生んだ九頭の神獣"ひき"が語源だったのです。


地面に置かれていた巴瓦。

佛光寺でも同じ光景をみました。なぜ屋根に置くべき瓦を地面に置いているのか。先日好奇心と探究心を持てと説教したばかり。疑問のままにしておくのはさすがにどうかと思ったので本格的にインターネットで調べてみることにしました。

マニアックな謎はだいたいYahoo知恵袋に書かれていますが今回は見つからず。手当たり次第検索をかけて、ようやく求めている情報に近しいサイトが二つありましたので上記にリンクを貼りました。地面に瓦を置く理由をシンプルにまとめるとこんな感じになります。


東のお庭

一つは飾りのため。もう一つの理由は厄除けのためです。


そういえば京都には鬼門除けのために白い小石を置く風習があります。鬼瓦は魔除け、巴瓦は火防のまじないのために使用されてきました。古くなった瓦を廃棄処分にはせず再利用のために地面に置く。古くからある持続可能な開発目標、SDGsの先駆けですね。

あっ、ちなみにこれ全部推測です。お寺の関係者に話を聞けば完璧な解答が返ってくると思います。いつも寺務所や社務所が開く前に観光を終えてしまうのでお話する機会がまったくない私でございます。

それでは、最後に二つの像を紹介して因幡薬師の締めと致します。


馬頭観音像です。

馬頭という名称から「RPGに出てくるモンスター」をイメージしがちですが決してそうではありません。三面六臂のお姿をしていて頭上に馬の姿が見られるのが特徴になっています。

しかし元々は名前通りのお姿をしていました。インド神話の絵画やヒンドゥー教の像を調べてみると「馬頭人身」になっています。おそらく日本に仏教文化が流れてきた際に変化していったのでしょうね。牛頭天王の像も日本に現存しているもののほとんどが人の顔をしています。

そういえば平成初期頃に人面魚やシーマンが流行りました。あれは身体は魚で顔は人になっています。ドラゴンボールの初期に犬の顔をした国王や子豚のウーロンが登場していました。あまり人気に繋がらなかったのか気づけば世界からいなくなっていました。古来より顔が動物の獣人キャラは日本だと受け入れられないみたいですね。


馬頭観音
力強く、速やかに、願が叶う観音様です。
柔和な表情、お姿を現される観音様の中で、忿怒ふんぬ(怒りの形相)で表される観音様です。すべての観音様の忿怒を表現し、衆生の煩悩を取り除き、諸魔、諸悪を砕破する。
正しい道から外れた者や悪魔などをねじ伏せて、正しい道に戻す観音様です。また、そのお姿から、馬の守護仏、生類の守護観音として信仰されております。

因幡堂 平等寺

毎日のように誰彼構わず噛みついている御方が今大きな話題になっています。人は怒りの感情ばかりに支配されると心がどんどん壊れていきます。他人を叩いて自分を際立たせる手法は一部の人を熱狂させます。大きな富を生み出すこともあるでしょう。しかし彼らのやっていることは諸刃の剣となんら変わりありません。修羅の道に安寧は永遠にやってこないのです。

最近の時事ニュースを見ていると観音信仰が一昔前に流行った理由が少しわかった気がしました。宗教は紡がれてきた「知恵」を伝える性質を持っています。おそらく当時も誹謗中傷を繰り返す人間がいたのでしょう。

生きていると感情が爆発する場面に何度も出くわすことがあります。親しき人に八つ当たりをすることもあるでしょう。そんな時には怒りを馬頭観音様にすべてお任せすればいいのです。ブームが去り細々と続く観音信仰ではありますが、今こそ見つめ直すべきアンガーマネジメントだと思いますよ。


賓頭盧尊者像です。

びんずる様といえば"日本三如来"の一つに数えられている長野市の善光寺が有名ですね。昨年窃盗騒ぎがあったのは記憶に新しいかと思います。犯人は「びんずる像があるからたたりがある」「どこかに埋めてやろうと思った」と意味不明の動機を口にしました。

ここだけの話ですが、実は私も『令和は不吉だから年号を変えたほうがいいんじゃないのか』と思った口なので彼を一概に批判することは出来ません。ただ、思うだけなのと実際に行動に移すのはまったくの別問題です。無傷で返還されたことからその男は不起訴となりました。科学技術が進んだ現代においても彼のように思い込みの強い人は一定数存在します。彼らを矯正することは絶対に出来ません。自分が正しいと信じているからです。日食を不吉だと信じた平安時代の人たちを決して笑うことは出来ませんね。


本堂の中の様子をご覧になりたい方はぜひ皆様の目で確かめてみてください。

地下鉄四条駅からすぐ近くにあるのでアクセスしやすいです。非日常的な空間と神秘的な雰囲気が感じられますよ。因幡薬師は町民の多種多様な願望に応えたことで百貨店のようなお堂となりました。同じ町堂である革堂行願寺との共通点は多いです。

これで京都市内にある三つの町堂を参拝しました。どれも行きたいところだったので目的を達成できて嬉しいです。さて次の目的地で春分の京都旅は終わりとなります。次回もぜひ見に来てくださいね。



今回の参拝スポット


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