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コラム9 回復期リハ病院を退院直後の訪問リハビリテーション

2021年介護報酬改定において、病院・診療所・老健からの訪問リハビリテーションはいくつかの改定がありました。

退院直後の訪問リハ 文書名 _参考資料1_令和3年度介護報酬改定におけ-5

文書名 _算定構造 訪問リハ

1つは退院直後の訪問リハの回数が1週間当たり12回まで実施可能になったということ。1回は20分なので、40分なら週6回の訪問リハが可能になります。

リハマネ加算を算定していれば週2日以上の訪問で短期集中リハ実施加算も算定できるようなので、

訪問リハ2回(40分) 614単位 + 短期集中 200単位 となり814単位になると計算できる。退院直後で週3日くらいの訪問ができるなら、814単位×3日となるわけですよね。

退院直後なのでもちろんその病院の医師が指示書を書くことになるだろうから未実施減算の対象にもならないでしょう。

高齢者の維持期リハの外来が困難となり、短時間の通所リハの開設を検討していたような回復期リハ病院が通所リハをするのか訪問リハをするのかということを考えると、訪問リハをする病院が増えるのではないかと予測しています。

訪問リハには当然移動時間が含まれますので、病院周囲の環境により1日あたりの訪問件数が異なります。院内業務もありますので、訪問専属にするのか院内と兼務にするのかという課題や院内業務との収益の比較なども含めて考えると病院により色んな状況があると思います。

それらを検討しても40分の訪問リハを週6回まで算定することが可能となる報酬改定はかなり魅力的。

退院後3カ月以内であればという条件付きなので、目標を明確にする必要がありますし、4カ月目以降のサービス提供をどうするのかという課題に対してリハビリテーション専門職がきちんとケアマネと向き合えば、この改定はかなり魅力だと思うわけです。

ただ色々と考えるべきポイントもあるのでそのあたりについて考えてみます。

回復期リハ病院だけではなく、訪問リハに取り組んでいる病院、診療所、を受けんの方にも参考になると思います。

通所リハでは対応できないケースのみ訪問リハが基本だけど

退院・退所直後から3カ月間に限り、普段は週6回の訪問リハを週12回提供することができるようになります。介護保険の1回は20分のサービス提供ですので、20分×12回を1週間行えます。

40分の訪問だと6回、60分の訪問だと4回になりますね。

回復期リハ病院の環境と利用者さんの在宅生活の環境は大きく異なりますので退院直後に集中的に訪問リハを実施する意義は大きいと思います。

時間の短い中途半端な退院前訪問指導で手すりやベッドの提案などを行うよりも、退院直後にガッツリと訪問リハで介入することで、退院直後の短期間でその時の心身機能に合わせて環境を調整する方が効果的・効率的だと思うのです。

そこで必要になるのが

どれくらいの期間、何を目的に介入するのかということを明確にすることだと思います。

そもそも訪問リハの実施にあたっては以下のような通知があり、その内容については今回の改定で訪問看護からのリハにも同じ文言が明記されました。

訪問リハビリテーション費
(3)「通院が困難な利用者」について
訪問リハビリテーション費は「通院が困難な利用者」に対して給付することとされているが、通所リハビリテーションのみでは、家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況の確認を含めた訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合は訪問リハビリテーション費を算定できるものである。「通院が困難な利用者」の趣旨は、通院により、同様のサービスが担保されるのであれば、通所系サービスを優先すべきということである。

退院直後の患者さんの状態が比較的ADLの遂行能力が高い状態であっても、病院と在宅の環境は大きく異なることを考えると

通所リハビリテーションのみでは、家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況の確認を含めた訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合

環境調整を目的に短期的に集中的に訪問リハとして介入する必要性はあると思います。

だから、はっきり書くと退院直前のリハを退院直後に在宅に持ち込んでで実施するつもりなら、モミモミリハだけを他院直後の訪問リハで実施するつもりなら訪問リハで介入する必要はないと思う。

目的と期間の明確化とまずすべきこと

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