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【探究堂日記 #32】京都の隠れた名所「花園教会水族館」を探索 一番人気ゾウガメのお出迎えとは

「外来生物」をテーマにしたプロジェクトに取り組み中のたくらみ低学年(小学1・2年生)クラス。
先日の授業ではいつもの教室を飛び出し、みんなで花園教会水族館を見学しに出かけました。

花園教会水族館とは、住宅街の中にある教会の一階部分(元ガレージ)を改装した私設博物館です。
館内にいる生き物は99%外来種で、引取り個体が6割程度という大変珍しい展示構成になっています。
子どもたちが気軽に生き物に触れられる場所にしたいという思いから、花園教会の牧師さんが館長として入場無料かつ寄付のみでの運営を守り続けていらっしゃいます。

探究堂の教室がある出町から市営バスと地下鉄東西線を乗り継ぎ水族館へ向かうと、現地直行組もちょうど到着したところでした。

「どんな生き物がいるんやろ?」

たくらみキッズはみな、早く水族館に入りたいとそわそわしています。
この少し変わった水族館は保護者の興味もひいたようで、ご家族総出で参加される方も多くいらっしゃいました。

まずは全員で館長の篠澤牧師へご挨拶し、簡単なオリエンテーションを受けたのち、早速館内を自由に見てまわります。

「これ、図鑑で見たことある!」

ピラルク、アリゲーター・ガー、ピラニア、デンキナマズ・・・
館内では世界各地の淡水魚が大小さまざまな水槽の中を所狭しと泳いでいました。

部屋の奥まったところには、オーストラリア原産のフトアゴヒゲトカゲやハリネズミなど陸の生き物が展示されているコーナーも。
国内ではここでしか見られないような珍しい生き物がおり、子どもだけでなく大人もテンションが上がります。

ふと視線を下げると、水槽に挟まれた狭い通路の向こう側から何やら大きな物体が近づいてきました。
花園教会水族館で一番の人気者であるアルダブラゾウガメです。

「うわっ、指なめられた!」

餌をあげようとした男の子が思わず声をあげました。
頭を撫でられると喜び、首をにゅっと伸ばすこのゾウガメの姿になんとも愛らしさを感じます。

お気に入りの生き物の水槽をじっくり眺めたり、水槽の魚の餌やり体験をしたり、見逃したものがないか通路を行き来したり。
子どもたちはしばらく思い思いの時間を過ごしました。

予約していた見学時間の半分を過ぎたあたりで一旦全員集合し、館長・篠澤さんによる特別講義の始まりです。

この日は特別にカミツキガメの実物を水槽から出して見せていただきました。
カミツキガメは特定外来生物に指定され、口に入るものは何でも補食する獰猛で攻撃的なカメです。
そのため、普段は水槽のフタに重しをして、万が一にも出てこないようにしているそうです。

「……」

館長の両手に抱えられながらも必死に抵抗するカミツキガメ。
筋肉質な体の力強さや動きの俊敏さは私たちの想像をはるかに超えており、たくらみキッズはその様子を固唾を飲んで見守ります。

次に動画やスライドを使って、外来生物が日本にきたきっかけを中心に解説していただきました。
外来生物の問題が生じる原因は、様々な形で人為的に生物が運ばれ、野外に放たれることです。
外来生物が及ぼす影響を正しく理解することは大切ですが、だからと言って「外来生物は悪者だ」という判断は一面的です。
それらが日本に住み着くことで新たな生態系ができつつあり、一筋縄ではいかない問題であることを改めて実感させられました。

個人的には館長のお話を真剣に聞き入る子どもたちの表情がとても印象的でした。
きっと今回の見学は彼らの学びを深めるうえで重要な体験になったことでしょう。

プロジェクトは中盤戦に差し掛かり、いよいよ調査フェーズに突入します。
子どもたちは京都市内で増えていると考えられる外来生物の中から自分が一番気になるものを選び調査を進めていきます。


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