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【探究堂日記 #14】3世代の遊びを探究してわかった「違いと共通点」 現代っ子が失ったものとは?

約2ヶ月に渡り「子どもの遊びの歴史」を探究してきた中学年クラス(小学3・4年生)のプロジェクト。

上中下と3分割された模造紙には、自分たち・両親・祖父母の3世代それぞれが小学生の頃にどんな遊びをしていたか(しているか)が丁寧にまとめられていました。
いずれも祖父母や両親が書いてくれた、子ども時代の遊びについての手紙をしっかり読んできたことがわかります。

探究堂キッズは年表や資料をもとに、両親・祖父母の子ども時代がどんな時代だったのかも調べました。
子どもの遊びと世の中の動きに何かしらの関係性を見出せないかと考えたからです。

彼らにとって資料集に掲載されている写真はどれも新鮮な驚きがあったようです。
特に戦中・戦後の暮らしを切り取った写真をいつになく真剣な表情で見つめる姿が印象に残っています。

我々は本プロジェクトの最終課題として、子どもの遊びについて昔と今で変わったことと変わらないことについて考察することにしました。
各自の模造紙を並べて見比べながら、みんなで意見を出し合います。

「鬼ごっことかくれんぼは昔から変わらずあるよね!」
「そうそう、道具がなくても体だけあれば良いし」
「工作や折り紙は今でも人気やで」
「やっぱり自由にいろいろなものを作れるところが面白いねんなあ」

道具不要でいつでもどこでもできる遊びや自分のアイデアを形にできる遊び。
そういう遊びはいつの時代も子どもたちの心を惹きつけるのではないかという仮説が浮かび上がってきます。

一方で昔と今で大きく様変わりしていることもあるようです。

「自然で遊ぶことはだいぶ少なくなってると思うわ」
「あと、遊べる場所もだんだん減ってるんちゃう?今やったら家の前の道で遊ぶことなんてほとんどないし」
「公園遊びは最近全然してへんなあ」
「そもそも私、習い事が忙しくて、あんまり遊ぶ時間ないねん……」

都市化や少子化の進行、塾や習い事の増加などにより、子どもの生活環境が大きく変わってきていることを彼らも身をもって体感しているようです。

「たまに公園で遊んだら、それはそれで面白いねんけど」という意見が出てきたので、「じゃあ、なんで普段は公園に行かへんの?」とさらに問いかけます。
すると、「やっぱり家でテレビゲームで遊びたいし……」と今ひとつ歯切れが悪い返事が返ってきました。

ゲームが面白くてやめられないというのは紛れもない本音でしょう。
しかし、そこには自分なりの工夫が全くないことに彼らも気づき始めていたのです。

私はこのやりとりを通じて、探究堂の遊びの時間は子どもたちにとって貴重な外遊びの機会になっていることを改めて実感しました。

「じゃあ、最後に子どもの遊びと社会の動きがどうつながっているかについて考えてみよか」

私からの問いかけに対し、子どもたちは少し思案しながら語り始めます。

「おじいちゃんやおばあちゃんが子どもの頃は、戦後でものがないから、(身近にあるもので)工夫して遊ぶしかなかったんやなあ」
「家にテレビがないっていうのも、外遊びに出かける理由の一つなんやと思うわ」
「アスファルトじゃない土の道もまだあったみたいやし」
「(団塊の世代で)近所に子どもも多かったから、遊び仲間には困らへんもんね」

年表や資料で当時の深刻な経済や社会情勢を学んだことで、祖父母からの手紙の内容をより具体的にイメージできるようになった様子が伺えます。

親世代の特徴に関しては、以下のような意見が挙がりました。

・テレビ番組やCMをきっかけにして流行る遊びが多い
・家庭用コンピュータゲーム機の登場が子どもの遊びの歴史を大きく変えた
・遊具が充実している公園が増えてきた
 →遊べる場所が限られてきたことの裏返しではないか?

最後に、中学年クラスのメンバーは自分たち世代の遊びの特徴をユニークな表現で説明していました。

「お父さんたちは隣の人とゲームしてたやろ。けど、僕らは世界中の人とつながって一緒にゲームをプレイしてるよね」

インターネットの普及により、国を超えてつながっているという感覚。
何ともデジタルネイティブの彼ららしい意見だと妙に感心したことを覚えています。

子どもの遊びと世の中の動きのつながりを探究する営みもいよいよプロジェクト発表会を残すのみとなりました。

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