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【探究堂日記 #31】食べられるどんぐりを発見! 小さな博士が驚いたスダジイのお味とは

「どんぐり博士になろう」を合言葉にスタートしたぷれりか(幼児)クラスのプロジェクト。
私たちはたくさんの種類のどんぐりを拾うため、京都御苑内で毎回異なる場所へ出かけました。
母と子の森ではクヌギやアベマキやコナラを、京都迎賓館沿いに長く続く小道ではアラカシやマテバシイを、有栖川宮邸跡ではスダジイを主に拾うことができました。

拾ったどんぐりの中で特に人気を集めたのは「食べられるどんぐり」のスダジイです。
電子レンジでチンしたスダジイを子どもたちは最初は物珍しそうに眺めていました。
勇気を出して一口食べてみると、口の中にほんのり優しい甘みが広がります。

本プロジェクトでは、ただどんぐりを拾うだけでなく、どんぐりの同定作業にも挑戦しました。
たとえ同じ種類のどんぐりでも、長細いものもあれば丸っこいもあったり、形や色の違いはさまざま。
どんぐり検索表に加えて、どんぐり図鑑も駆使し、楽しみながら種類を特定していきます。
特にアラカシとシラカシ、クヌギとアベマキの区別は大人でもかなり難しく、葉っぱも含めて総合的に判断する必要性を感じました。

6週間のプロジェクトを締めくくるのは、恒例のふりかえりタイムです。

「プロジェクトをやってきて、『どんぐり』について新しく知ったことを教えてくれへん?」

ふりかえりではまずはじめにお決まりの問いを子どもたちに投げかけました。
現時点でテーマに対して、どのようなイメージを持っているかを確認するためです。

「どんぐりからゾウムシの幼虫が出てくんねん。気持ち悪ぅ~」

Nちゃんの発言には保護者の方の多くも納得の表情をされていました。
クヌギの殻の内側から穴を開けて、外にはい出てくる白い幼虫。
その柔らかい体をうねうねさせる姿に愛着を持つのは彼女にとってなかなか難しそうです。

「どんぐりが木になることかなあ」

Sちゃんにとって、これまでどんぐりと言えば地面に落ちているイメージしかなかったとのこと。
絵本の読み聞かせを通じて、生育条件を満たしたほんの一握りのどんぐりが木に成長し、やがてまたどんぐりの実をつけるという自然の循環を学びました。

「どんぐりには食べられる種類がある!」

ほとんどのどんぐりは苦くて食べられないなか、シイの実の存在を知ったことはプロジェクトをさらに活性化させました。
ただ、スダジイはたくさん拾ったものの、それよりも美味しいとされるツブラジイを見つけられなかったのがKくんには若干心残りのようです。

せっかくなので保護者の方にも聞いてみると、以下のような返答が返ってきました。

・どんぐりの形のバリエーションが多いことにとても驚いた
・チューリップの形に似ている殻斗(パンツ)の存在を初めて知った
・山のどんぐりはころころ転がるので、どの木についていたかを調べるのが難しい
・どんぐりの木は毎年実をつけると思っていたが、そうではないもの(2年成)がある

どんぐりは身近な存在でありながら、実は知らないことがたくさんあることを親御さんも実感されたのではないでしょうか。

「これから『どんぐり』でどんな遊びをしてみたい?」

最後にそう子どもたちに尋ねると、クラス唯一の男の子が「シリブカガシをもっと拾いに行きたい!」と真っ先に答えてくれました。
彼は表面を少し磨くとたちまち漆器のような光沢を放つこの美しいどんぐりにすっかり魅了されたみたいです。

私が今回のプロジェクトで特に印象に残ったのは、探究堂の授業で実施したアクティビティが家での遊びに波及していた点です。

授業後や休日に、それぞれお気に入りのどんぐりを京都御苑に探しに出かけたという話を複数のご家族から伺いました。
スダジイを食べたり、シリブカガシを磨いたり、それらのエピソードから家族全員でどんぐりプロジェクトに熱心に取り組んでいる様子が伝わってきました。

どんぐりは子どもだけでなく、大人も夢中にさせる不思議な木の実ですね。

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