人の真似をすれば学習は促進されるという話
唐突ですが、もしダンスを始めようとしても、誰かから教わったり、動画を見たりしてしながら上手くなろうとしますよね?
何かを覚えたり経験したりしようとする学習は、直接的に経験をしなくても、人が行っている行動を見たりするだけでも学習が進むと言われています。
このような、他者からの影響を受けながら、自分の価値観や行動などを身につけていくという社会的学習理論という考え方があります。
なんとなく当たり前のようにも聞こえますが、学習の過程などを少し整理していくと、学習方法に気づきがあると思いますので是非最後までお付き合いください。
社会的学習理論
カナダ人心理学者であるアルバート・バンデューラ(Albert Bandura)が唱えた理論です。
それまでは、学習という概念は自分で経験した直接的な学習によるものだけと考えられていましたが、他者の行動を観察して意識的に真似をするだけでも学習(観察学習)は成立すると主張しました。
モデリング(観察学習)
モデリングは、他者の行動を観察して行動を学習することを言います。
例を挙げると、Youtubeなどでプロ野球選手の投げ方をみて、フォームを真似するとうまく投げられるになるなどがあります。
自分が考えた練習を自己流で進めるよりも、誰かの真似をした方がうまくいくというのは皆さん経験あるのではないでしょうか。
では、モデリングの4つの過程について説明をします。
モデリングの4つの過程
注意過程:モデルを見る過程です。これは、実物を見るだけでなく、文章を読む、絵を見るなどの過程も含まれます。
保持過程:観察したモデルを記憶して保持する過程です。頭の中でリハーサルをして模倣していきます。
運動再生過程:頭の中で模倣した内容を実際に行動に起こしていく過程です。
動機づけ過程:学習を推進するために、動機づけが重要となります。外的強化(環境から与えられるもの)、代理強化(モデルから受けるもの)、自己強化(自分自身で行うもの)の3つがあります。これはモデリングを推進する条件になります。ですので、不可欠条件ではありません。
自分への使い方
自分がもし、違う分野への転職活動で悩んでいるとします。
転職する先で自分がうまくやっていけるか、どうやって仕事を覚えていったらいいのか、想像するだけで不安な気持ちになると思います。
モデリングを活用すれば、たとえば知り合いで同じ分野で働いている人がいれば話を聞いてみて(注意過程)、自分が転職した後に仕事をすることを頭の中で何度もリハーサルをします(保持過程)。
そして、自分のイメージを実際に転職後に行動として移します。できるようなことであれば仕事を始める前に練習をしてみるのもいいでしょう(運動再生過程)。
今回の転職がうまくいったことで、今後違うキャリアを考えた時にまた転職することにポジティブな感情を抱けるようになります。(動機付け過程)
このように当たり前のようにやっているようなことですが、自分の中で整理してみると、何か新しいことを始めようとして上手くいかない時に、何が原因で上手くできないのか分かるかもしれませんね。
まとめ
観察学習(モデリング)のについてお話をしました。
まとめると、モデリングは他者の行動を観察して行動を学習するものであり、①注意過程、②保持過程、③運動再生過程、④動機づけ過程に分かれます。
余談ですが、観察学習を提唱したバンデューラは自己効力感を唱えた理論家でもあります。
次回の記事で取り上げますのでぜひご興味があればチェックしてみてください。
アルバート・バンデューラについてはこちらの書籍がおすすめです
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